景気が後退すると家計から真っ先に削られるのはスナック菓子などの嗜好品だ。しかし、各地に量販格安店が登場し、人気になっている。スナック菓子の世界では、スーパー、コンビニとは異なる流通経路が確立されようとしていると南方週末が報じた。
コロナ禍でスナック菓子の販売が低調
スナック菓子の売上の低迷傾向が続いている。コロナ禍で自宅にいる時間が長くなり、多くの人がスナック菓子による肥満、健康悪化を感じている。そして、コロナ後の経済の足取りが重たいため、生活の中での無駄な出費であるスナック菓子を買わない傾向が進んでいる。
スナック菓子メーカーの業績も低迷している。「良品舗子」（リャンピンプーズ、https://www.517lppz.com）の2023年Q1の営業収入は23.85億元で、前年同時期から18.94%の減少となった。「三只松鼠」（サンジーソンシュー、http://www.3songshu.com/）は19.0億元で38.48%の減少。「洽洽食品」（チャーチャー、http://www.qiaqiafood.com/）は13.36億元で6.73%の減少。「来伊份」（LYFEN、https://www.laiyifen.com/）は12.12億元で7.8%の減少と、主要メーカーは軒並み大幅な減収となっている。
スナック菓子のアウトレット店が人気に
この中で、人気を得てきたのが「スナック集合店」だ。スナック業界の量販店ともアウトレットショップとも呼ばれる。スナック菓子の専門店で、大量の商品を安く販売をしている。
最も有名なのは、「趙一鳴スナック」（ジャオイーミン、http://www.zymls.com/）だ。スナック菓子のアウトレットショップとも言えるもので、大量の商品が格安で販売されている。2019年に、創業者の趙一鳴が江西省宜春市に開店し、翌年10月にはフランチャイズの開放を行なった。これにより、地方都市を中心に店舗が広がり、今年2023年4月には1100店舗を突破した。
また、「スナック有鳴」（ヨウミン、https://www.cdlsym.com）は、2021年4月に1号店が登場し、今年2023年3月には地方都市を中心に1200店舗を突破し、2026年までに1万6000店舗に展開をする計画を発表している。
このようなスナック菓子の量販店とは別に、個人経営のセレクトショップも人気だ。多くの店舗が、大人をターゲットにし、レトロな内装で客を惹きつけ、子どもの頃に食べたスナック菓子を取り揃えている。スナック菓子だけでなく、当時の雑誌や玩具、家電製品といった骨董品の販売も行われ、若者の間で人気となっている。
通常の流通ルートでのスナック菓子は低迷をし、価格を下げたアウトレット、付加価値をつけたセレクトショップに消費者が移動をし始めている。
量販格安店が人気になる中国
趙一鳴や有鳴などの量販店は、スナック菓子の流通をも変えようとしている。従来、スナック菓子の消費者との接点はスーパーやコンビニだった。このような全国に展開する店舗に商品を配送するためには、スーパーやコンビニの配送物流に載せなければならない。さらに、小売業者の販売力が強い場合は、目立つ場所においてもらうためにリベートを渡す必要があったり、小売業者によっては「バーコード料金」「プロモーション料金」とさまざまな料金を請求される。このようなコストがかかるために、原価は安くても販売価格は一定額以上になってしまう。
しかし、量販店では、本部が一括仕入れをして一括配送をするため、中間コストが不要となる。そのため安く販売することができ、消費者も大量のまとめ買いをするため、利益が出るという仕組みだ。しかも、すでに販売力をつけてきたため、メーカーと交渉して納入価格を交渉することもできるようになっている。だいたい、スーパー価格の20％から30％は安い価格で販売ができている。
中国では、不動産価格が下がり始め、マンション投資をしていた人が多かったことから、財布の紐が固くなり始めている。先行きも不透明であることから、実際の景気以上に消費者心理が縮小をしている。今後も、あらゆる分野で、このような量販店タイプの格安店が頭角を表してくることになる。
