中華IT最新事情

中国を中心にしたアジアのテック最新事情

マインドシェアの高い生活ブランドはどこか?中国に定着できている海外ブランドは?

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今回は、生活ブランドのマインドシェアについてご紹介します。

 

私たちは、小腹が空いたなと思ったら、マクドナルドに行くか、スターバックスに行ってパウンドケーキを食べようかと考えます。もちろん、どのブランドを選ぶかは、人の好みにより異なりますし、価格などの条件によっても違ってきます。しかし、このように何かの行動を起こした時に、真っ先に頭に浮かぶブランドは「マインドシェアが高い」(心のシェア)ことになります。

このマインドシェアを取ることは、小売業にとって非常に重要です。強い生活ブランドというのは「とりえあず」が頭につきます。寒くなってきたから羽織るものがほしいなと思うと「とりあえずユニクロに行ってみようか」と考える人は多いはずです。最近では状況がかなり違ってきていますが、10年以上前までは、飲み会では「とりあえずビール」であり「やっぱりキリンでしょ」でした。

このように、消費者がその分野で真っ先に思いつくブランドがマインドシェアの高いブランドです。一方で、よく知られた販売額によるシェアはマーケットシェアと呼ばれます。

このマーケットシェアとマインドシェアは、長い時間かかって一致をするはずです。マインドシェアが高いブランドが、マーケットシェアも高くなるはずなのです。マインドシェア>マーケットシェアという状況は、決していい状況とは呼べませんが、チャンスに富んでいます。販売やマーケティングに何らかの問題があるはずで、それを解消することで売上をあげていく可能性があるからです。逆に、マインドシェア<マーケットシェアという状況は要注意です。「売れているから」と甘く見ていると、何かをきっかけとしてある日突然売上が落ち、あとは何をしようとしてもジリ貧になっていく可能性があるからです。

 

ですので、マーケターの最も重要な仕事はマインドシェアを高めることで、関係者はこの難問に日々頭を悩ませていると言っても過言ではありません。

マインドシェアは、通常、純粋想起法と呼ばれる方式で調査をします。簡単な方法で「カフェと言われて真っ先に思いつくチェーンはどこですか?」という単純な質問をしていけばいいだけです。ただし、たまたまその時、あるブランドが大プロモーションを展開していて露出度が高かったことに影響されたり、逆にネガティブな事件があるとそのブランドの名前があがったりということもあるので、時期を変えて定期的に調査を続けていくことが必要です。

 

そこで、今回は、中国の消費者にとって、どのようなブランドのマインドシェアが高いのかをご紹介してみたいと思います。

ゲームプラットフォーム「網易」(ワンイー、ネットイース)傘下の「網易文創」(https://www.163.com/necc/)は、網紅(ワンホン、ネット人気者)を育てマネージメントする企業ですが、毎年「国民好品ランキング」を発表しています。調査方法は単純で、ネット民による投票で好きなブランドを選んでもらうというものです(最新の2022年版では有効回答8094件)。ネット調査であるため、母集団に一定のバイアスはかかっていますが、マインドシェアを知る上で貴重な調査になっています。

今回は、この調査結果から、中国でどのようなブランドが人気があるのかをご紹介します。ブランドといっても、アパレルファッションだけでなく、飲食、日用品、娯楽品、デジタル製品など日常の身近なブランドが中心になっています。

 

今回は難しい話はなく、中国で各ジャンルで認知度の高いブランドをひたすらご紹介していきます。こんなブランドがあるのだと知っていただくこと、日本製品がどのくらいのポジションにいるのかを知っていただくことが目的です。その中で、全体を通して、考えていただきたいことがひとつあります。それは「国潮」(グオチャオ)です。

国潮とは中国市民の国産品回帰の現象を指す言葉です。これがしばしば、中国のナショナリズムの高まりと重ねて論じられることがありますが、私個人はまったくそういう印象を受けません。SNS愛国者を自称する人たちが「中国人は中国製品を使うべきだ」などと声高に叫ぶために、そういう誤解が生まれるのだと思いますが、多くの人は中国製品か海外製品かはほとんど気にしていません。それが中国製品の品質があがってきて、気がついたら中国製品を選ぶことが多くなっていたというのが国潮の実態です。また、若い層が、文化大革命で一度断絶してしまった中国の伝統文化を知って、新鮮な視点で伝統文化を再評価する動きが重なりました。漢服や寺院、中国茶などです。

処理水の問題を調べるためにSNSを見ていたら、「三得利(サントリー)は、中国企業だと我々を騙してきたが、実は日本企業だった」と訴えている人がいました。たくさんの人から「え?日本企業だって知らないの、君だけかもよ?」と突っ込まれいました。そんなものなのです。確かに、サントリーの中国語表記は上手で(サンダーリーに近い発音になります。音から取って、漢字表記にも意味を持たせています)、うまく中国語になじんでいるため、中国企業だと勘違いをしている人もいるのでしょう。花王も中国語になじみやすい社名で、中国企業だと勘違いしている人がけっこういます。私たちだって、デニーズやロイヤルホストなどのファミレスチェーンのうち、どれが海外系でどれが国内系なのかはあまり意識をしていません。

ですので、国潮は海外製品排斥のようなものではありません。実際、今回ご紹介するランキングにも海外企業が定番ブランドになっている例がいくつも出てきます。もちろん、消えてしまった海外ブランドもあります。どのような海外企業が定着をして、どのような企業が消えたのかを考えていただくことで、国潮というトレンドに対応するヒントが思いつけるかもしれません。

今回は、網易文創のブランド調査から、中国でマインドシェアの高いブランドをご紹介します。

 

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