胡潤研究院が公開した「2019胡潤グローバルユニコーン企業ランキング」によると、ユニコーン企業は世界に494社あり、国別では中国が米国を抜き、世界で最大のユニコーン企業を擁する国になった。貢献をしたのは物流企業で、自動化が進んでいると物流搬運機器人が報じた。
成長意欲の強いユニコーン企業
ユニコーン起業は、企業価値10億ドル以上、創業10年以内、未上場の企業のこと。上場する実力がありながら、上場をしない理由は、各社さまざまあるが、最も大きいのは意思決定の速度を重視するからだ。上場をすると、意思決定をするのに上場企業として必要な手順を経なければならない。しかし、非上場企業であれば、内部ルールに基づいて素早い意思決定が行える。つまり、まだ大きな成長をする意思を持っている企業ということになる。
▲世界のユニコーン企業ランキング。上位10位は米国と中国で占められている。「2019胡潤グローバルユニコーン企業ランキング」(胡潤研究院)より作成。
▲ユニコーン企業の国別ランキング。中国が米国を抜いた。「2019胡潤グローバルユニコーン企業ランキング」(胡潤研究院)より作成。
物流系ユニコーンが多い中国
そのユニコーン企業の数で、中国は米国を抜いた。ユニコーン企業のジャンルでは、クラウド、フィンテック、人工知能、製造小売が最も多いが、中国の場合、特徴的なのはメディア、物流のユニコーンが多いことだ。物流系ユニコーンは16社もある。ロボット、自動仕分け、スマート倉庫など、テクノロジーを導入し、成長に結びつけているからだ。
▲ジャンル別の世界のユニコーン企業。EC、フィンテックが多いのは世界共通だが、物流が多いのが中国の特色になっている。「2019胡潤グローバルユニコーン企業ランキング」(胡潤研究院)より作成。
▲ユニコーン企業に投資をしているVC、企業。ソフトバンクも数多く投資をしている。「2019胡潤グローバルユニコーン企業ランキング」(胡潤研究院)より作成。
菜鳥網絡(ツァイニャオ)
中国で最もテクノロジー導入が進んでいるアリババ系の物流企業。2018年には、江蘇省無錫に大規模な物流センターを開設し、IoT技術、人工知能、エッジコンピューティングなどを活用し、ほぼ無人の仕分けを可能にしている。2000平米ある仕分けセンターでは、350台のロボットが24時間仕分け作業を行い、1日に50万件の荷物を仕分けることができる。ロボットの走行距離は、3日で地球1周分になるという。
さらに、同様の物流センターを四川省、天津市、浙江省、広州市などにも開設し、全国29省、138都市をカバーしている。倉庫数は3417個、総面積は4757万平米に達している。
また、無人カートの研究開発も進んでいて、すでに閉鎖区域の中では無人カートによる配送を始めている。
▲アリババ傘下の菜鳥でも、仕分けの無人化が進んでいる。
京東物流(ジンドン)
無人倉庫、無人配送を進める京東系の物流企業。仕分けから配送まで、100%の無人化を目指している。すでに北京、上海、武漢、深圳、広州を始めとして、50の無人倉庫を設置している。
京東物流は、EC「京東」との関係が深く、多くのテクノロジー開発は、京東のX事業部(テクノロジー開発部門)と共同で行っている。無人カート、ドローン配送などはすでに実戦投入が行われている。
▲京東の無人物流センター。ロボットの上に荷物を置くと、自動仕分けをして穴に落としていく。穴の下には、袋が設置され、配送先別に分けられる。
日日順(リーリーシュン)
家電メーカー「ハイアール」から独立した物流企業。大型家電を主に扱う青島市の黄島倉庫では、15台の無人搬送車(AGV=Automated Guided Vehicle)を投入している。136のスマート倉庫を持ち、6000のミニ倉庫を配置し、3300の定期配送路線で全国を結んでいる。
▲ハイアール傘下の日日順では、AGVにより、必要な荷物が倉庫から搬出される。
安能物流(アンナン)
宅配物流を中心に、11月11日の独身の日セールで成長してきた物流企業。仕分けセンターのスマート化を進めていき、現在、全国に40カ所のスマート仕分けセンターを持っている。浙江省金華仕分けセンターでは、大型荷物では毎時2000件、小型荷物では毎時21600件の仕分け処理能力を持っている。
越海智能(ユエハイ)
配送請負を行う物流企業。独自の基地も大型が8カ所、中型が32カ所、小型が82カ所あり、総面積は330万平米を超える。また、マレーシア、タイ、フィリピン、ベトナム、欧州など一帯一路関連の海外拠点も持っている。
独自の無人搬送車(AGV)を活用し、作業の多くを自動化している。