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コロナ禍でも倍増しているユニコーン企業。最も多い都市はやはりサンフランシスコ

富豪ランキングなどを発表している調査会社「胡潤百富」が、「2023年グローバルユニコーン企業ランキング」を発表した。新型コロナが流行する前の2019年と比べて、世界のユニコーン企業は494から1361と倍増以上になり、所属国は24から48へと倍増した。ユニコーン企業が増加をし、同時に世界中に広がっていると財経雑誌が報じた。

 

コロナ禍でも増え、広がったユニコーン企業

調査会社「胡潤百富」(フールン)は、毎年富豪ランキングを発表していることで有名だが、年に1回、「グローバルユニコーン企業ランキング」も発表している。胡潤の定義によると、ユニコーン企業とは2000年以降に創業し、企業価値が10億ドル以上の未上場企業となる。

新型コロナが流行する前の2019年と比較して、世界のユニコーン企業の数、所属国、所属都市はいずれも倍増以上に増えている。新型コロナの感染拡大期間、すべてのビジネスが停滞をしているかのように見えたが、その間にも、投資は行われ、ユニコーン企業が急成長していることが明らかになった。

胡潤百富の胡潤会長兼主席研究官は財経雑誌の取材に応えた。「新型コロナの感染が拡大した3年間は、ユニコーン企業の活動が最も活発な3年間となりました。毎日1つのユニコーン企業が誕生し、世界のユニコーン企業の数は1361社となりました。特にこの1年は、世界の経済成長が鈍化をしているにもかかわらず世界で500社以上のユニコーン企業が誕生しました。これは毎週10社のユニコーン企業が誕生していることになります」。

 

UAEのTelegramが初ランキング

世界のユニコーン企業ランキングのトップ10は、昨年と大きな違いはないが、アラブ首長国連邦ドバイに拠点を置くTelegramが初めてランキングされながらトップ10に入るという躍進を見せた。また、4位のSHEIN(シーイン)は、前回16位から躍進をした。

▲グローバルのユニコーン企業ランキング。SNSのTelegramが初登場をした。

▲中国のユニコーンランキング。



カナダ、フランス、ドイツが躍進

国別に見ると、米国が圧倒的で中国が追いかけるという形は以前から変わっていない。しかし、どの国もコロナ前と比べてユニコーン企業数が大幅に伸びている。特に目覚ましいのがカナダで、コロナ前は0であったものが23社となり、第8位にランクインをした。増加率で見ると、フランス、ドイツ、ブラジルの躍進が目覚ましい。一方、中国は第2位でありながら増加率は35%となった。これは一国の増加率としてみれば決して悪い数字ではないが、その他の国の躍進ぶりが大きいために、相対的に低調に見える数字となった。

▲国別のグローバル企業ランキング。米国、中国がトップなのは変わらないが、インド、カナダ、欧州勢の躍進が目立つ。

▲増減率上位の国。カナダは0社から23社に急増した。フランスとドイツ、英国の躍進も目立つ。

 

都市別ではサンフランシスコ、ニューヨーク、北京

都市別に見ると、サンフランシスコがユニコーンの首都であることは変わっていない。一方で、広州市、ベルリンが躍進をしてランクインするようになった。

▲都市別にみると、やはりサンフランシスコが圧倒的。ベルリン、パリなどの欧州の都市もランクに入るようになった。

 

分野はフィンテックが1位

業種別ではフィンテックが最も多く171社となった。昨年からの増加数も32社となり、増加数でも1位であり、フィンテックユニコーンの中心になっている。そのうちの20%は決済テクノロジーを中心にした企業だ。

▲世界のユニコーン企業ランキング1361社の分野別統計。フィンテック分野が1位となった。

 

「将来を買う」に投資資金が流入

経済はコロナ禍により世界的に低迷をせざるを得なかった。しかし、その一方でユニコーン企業は大幅に増加をしている。その理由はベンチャーキャピタルなどの投資機関が積極的に活動をしたからだ。コロナ禍により、現業はどこも業績低迷をせざるを得なかった。そのため、資金が「将来を買う」ユニコーン投資に流れ込んだ。これにより、ユニコーン企業が倍増をする事態となった。

ユニコーン企業の投資案件の投資機関ランキング。セコイア、タイガーが強いが、日本のソフトバンクも存在感を示している。

 

増えたユニコーン企業はこれから選別をされていく

しかし、この3年から5年で、ユニコーン企業はテストを受けなければならない。投資家の求める上場に成功をするか、利益を出して投資家に配分をすることが求められる。コロナ禍が開け、経済活動が復活する中で、ユニコーン企業がどれだけ活躍できるかが試されている。