台湾は人口比で見ると世界で最もコンビニが多い地域。最も多いセブンイレブンは、一店一特色を進めていて、バラエティに富んだコンビニが生まれていると捜狐が報じた。
日本よりも密度が高い台湾のコンビニ事情
台湾のコンビニは、人口比で見ると世界一高密度だ。2211人に1店のコンビニがある。日本フランチャイズチェーン協会の統計によると、日本のコンビニは5万5743店なので、2275人に1店となり、台湾にわずかながら及ばない。
コンビニ全体の売上は3173億台湾ドル(約1兆1500億円)。日本の10兆9646億円と比べると小さく、物価の違いを考慮しても、台湾のコンビニはまだまだ伸び代を残している。
台湾で最も多いコンビニはセブンイレブン
台湾のコンビニで、最も多いのは「統一超商」が運営する「セブンイレブン」だ。2016年末の統計では、セブンイレブンが5107店、ファミリーマートが3057店、国内系の「ハイ・ライフ」が1273店、「OKマート」(サークルKのアジアブランド)が873店となっている。
スマホがなくてもネット決済できる「アイボン」端末
台湾のコンビニの特徴は、ibon(アイボン)と呼ばれる便利な端末が置かれていることだ。ibonはセブンイレブンのものだが、ファミリーマートは「ファミポート」、ハイ・ライフは「ライフET」、OKマートは「OK GO」と同様のものがある。人々の間では、総称して「アイボン」と呼んでいることが多いようだ。
この端末では、あらゆるチケットが買える。新幹線、長距離バス、映画、イベントなどで、新幹線のように指定席のものは、直接空きを確かめて購入できる。発券されたら、コンビニのレジで支払いをする。この他、光熱費、税金、交通罰金の支払い、銀行AMT、電子マネー、交通カードのチャージ、タクシーを呼ぶなど、さまざまなことができる。
▲セブンイレブンにあるibon。列車やバスのチケットも購入できる。発券をしてレジで支払う方式なので、現金でも決済できる。
コンビニが便利すぎてキャッシュレスが進まない
現在では、スマホアプリで発券をしておき、それから店舗のibonに行って、QRコードをかざして発券、レジで支払いをするということができるようになっていて、さらに便利になっている。
ポイントは、支払いはコンビニのレジを利用するということだ。支払いは通常のコンビと同じように、クレジットカード、電子マネー、現金いずれでもOK。台湾もキャッシュレス決済を推進しているが、日本と同じように今ひとつ利用率が上がらないのは、このibonがあるためだ。中国がスマホで予約、決済をしてしまうようなことがすべて近所のibonでできる。現金派であっても、ネットの利便性を享受できるため、ことさらキャッシュレスにする強いモチベーションが生まれない。
台湾特有の「一店一特色」セブンイレブン
台湾にコンビニが上陸したのは、1979年に開店したセブンイレブンで、日本からわずか5年後のことで、マクドナルドの上陸よりも3年早かった。上陸当初のセブンイレブンとマクドナルドは、高級な店と思われ、中高年が店に入る時に、靴を脱いだという笑話もある。
それから40年、台湾のコンビニは、人口比密度世界一だけではなく、バラエティーも世界一になっている。セブンイレブンは、2008年から「一店一特色」を推進しており、その店ならではの商品を販売するだけでなく、コンセプトそのものがバラエティーに富んだ店舗の展開を始めている。
複合店のBig 7
昨年暮れにオープンしたのが「Big 7」と呼ばれる店舗だ。台北市台大公館店で、焙煎したてのコーヒーを提供するカフェが併設されている。さらに、読書、お菓子、化粧品など7つの機能が集まったコンビニだ。
▲台北市台大公館店、通称Big 7。カフェが併設されている他、書籍、化粧品など7つの機能が備わっているコンビニ。
▲書籍も置かれている。ここで本を買って、カフェで読書するという人が増えている。
▲スイーツのコーナーは、女性を意識したデザインになっている。
無人コンビニのXストア
台北市の統一超商本部ビルには、無人コンビニ「Xストア」が2018年初めから開設されている。入り口にあるパネルで顔認証登録をし、セルフレジ決済するというものだ。無人コンビニ技術の実験店舗となっている。
▲台北市の本部ビル内にある無人コンビニ「Xストア」。実験店舗ではあるが、台湾では話題になっている。
▲顔認証をして入店し、セルフレジで決済する。
複合店も続々
また、複合店も広がっている。他の業種と複合したコンビニだ。台北市中山区にはスポーツジムと複合した「7イレブン×BEING fit」が登場した。1階がコンビニ、2階がスポーツジムというものだ。
台北市信義区には、ベーカリーとの複合店が登場している。焼きたてのパンが買えるだけでなく、店内のカフェで食べることもできる。
▲台北市中山区の7イレブン×BEING fit。1階がコンビニ。2階がスポーツジム。
▲2階が本格的なスポーツジムになっている。
▲台北市信義区のベーカリーとの複合店。外観は、コンビニというよりブティックに見える豪華さだ。
▲焼きたてのパンをイートインコーナーで食べることができる。
ブランドとのコラボも
また、ブランドとコラボする店舗もある。2016年に台南にティファニーとコラボした店舗がオープンしている。ティファニーのカラーである「ティファニーブルー」を使った店舗で、観光客が訪れて、店の前や中で記念写真を撮っていくという。
▲台南のティファニーとコラボした店舗。外観がティファニーの模様で彩られている。
▲インテリアもティファニーブルーで統一されている。
コンセプト店舗も
特定のコンセプトで統一した店舗も増えている。台中市后里区には若い女性をターゲットにした店舗がある。全体をピンクで統一し、菓子類を充実させた店舗で、リボンがアイコンのように使われており、公式な提携関係はないものの、利用者からは「キティーちゃんの店」として人気になっている。
台中市清水区の億承店は、レゴをコンセプトにしている。外観もレゴをあしらったデザインで、店内にはレゴで作った作品が展示されている。
▲台中の后糖店。外観もピンクに塗られ、中ではスイーツを楽しむことができる。
▲インスタ映えしそうなスポットも用意されている。
▲スイーツを楽しめるイートインコーナーも女性から人気だ。
▲台中にはレゴをコンセプトにした店舗がある。
▲イートインコーナーもレゴが使われている。
▲店内にはレゴの作品が展示されている。
▲トイレの表示までレゴで作られている。
コンビニ巡りを楽しむ人も
この他、特徴のある外観の店舗も多数生まれている。その多くが、撮影スポットになっていて、台湾のセブンイレブン各店を回って、ブログにアップするマニアも生まれているほどだ。
台湾にとって、コンビニは日用品が買えるだけの場所ではなくなっている。新しいものはコンビニから広がる。そういう場所になっている。
▲台北と台中の間にある苗栗県の竜躍店。カラーをテーマにした店舗。
▲新竹市の騰達店。桜と鉄道をテーマにした店舗。春には桜が咲いて、観光スポットになる。
▲中庭にもイートインコーナーが用意されている。