韓国最大のコンビニチェーン「CU」は、訪韓中国人旅行客のキャッシュレス決済の比率を公表した。それによると、90%が「アリペイ」「WeChatペイ」のスマホ決済を利用し、銀聯カードを使った人は10%程度まで減少したと鳳凰網が報じた。
韓国のキャッシュレス比率は90%
韓国は世界で最もキャッシュレス決済が進んでいる国のひとつだ。経済産業省が公開した「キャッシュレスビジョン」によると、2015年の韓国キャッシュレス決済比率は89.1%と図抜けている。中国でさえ60%(地方での普及がまだこれからであるため)。日本は18.4%と大きく遅れている。
韓国のキャッシュレスはクレジットカードが主体だった。政府が、加盟店への補助やキャッシュレス消費での税制優遇などの施策を打ち、かなり強引にキャッシュレス化を進めきた。あまりに急速だったため、クレジットカードによる個人破産が社会問題となり、現在はデビットカードでの決済を推進している。
訪韓中国人は、銀聯カードからスマホ決済へ
そのようなキャッシュレスの国に、中国人が観光で出かけた場合、当然キャッシュレス決済を希望する。しかし、この3年ほどで、キャッシュレスの内訳が大きく変化した。
2016年は、銀聯:スマホ決済の比率は65%:35%だった。翌2017年になると34.3%:65.7%と逆転し、2018年上半期では12.8%:87.2%と90%近くがスマホ決済を利用している。
▲訪韓する中国のキャッシュレス決済での銀聯とスマホ決済の比率。2016年は銀聯の方が多かったが、スマホ決済対応店が増えたこともあり、2017年に逆転をしている。現在では90%近くがスマホ決済になっている。
国内で使っているスマホ決済を海外でも使いたい
多くの中国人がスマホ決済の方が便利だと考えていることが最大の原因だ。銀聯カードは、以前は中国人が海外旅行をするときの主要決済手段だったが、スマホ決済が普及をすると財布を持たない習慣の人が増え、財布から出し入れしなければならないカードは面倒がられるようになっている。中国国内では、銀聯カードが使える店は限られているため、普段国内で使っているスマホ決済がそのまま使えるのであれば、海外でもスマホ決済を使いたいと考えるのは自然なことでもある。
銀聯では、QRコードスマホ決済サービスも提供し始めているが、すでに「アリペイ」「WeChatペイ」を多くの人が使っているため、わざわざ第3の決済手段をスマホにインストールしようとする人は少ない。
▲韓国観光産業にとって中国人旅行客はきわめて重要。そのため、早くから中国スマホ決済に対応してきた。
中国人観光客が重要な韓国は早くから中国スマホ決済に対応
また、韓国の商店が中国スマホ決済に早くから対応していたことも大きい。コンビニチェーン「CU」では、2015年にはアリペイに対応し、2018年1月にWeChatペイに対応をしている。
韓国に旅行をする中国人は年間400万人以上。日本の740万人の半分程度だが、割合で比較すると、韓国を訪れる外国人の1/3が中国人。日本を訪れる外国人のうち中国人の割合は1/4程度しかない。韓国の観光業にとっては、中国人旅行客は重要なお客様なのだ。
さらに、中韓関係が悪化したことにより、訪韓中国人が減少したこともあり、韓国観光業は積極的に中国スマホ決済に対応していった。
2017年、中国人の海外渡航者数は1.31億人。海外での消費は2611億ドル(28.7兆円)。この消費を巡って、タイ、日本、韓国、ベトナムなどの人気渡航先各国は中国スマホ決済への対応を進めている。
▲韓国で最大手のコンビニチェーン「CU」。2015年には早くもアリペイに対応している。現在では訪韓中国人も重要な顧客となっている。
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