中国の投資家たちは、どの都市の企業に投資をするときに不動産価格が急上昇している都市に注目するという。今、中国で中心地の不動産価格が急上昇しているのが西安市だという。なぜなら、主要IT企業が次々と西安市に進出をしているからだと捜狐が報じた。
投資家たちは、北京、上海、広東から深圳、成都、杭州へ
中国の地図が大きく変わろうとしている。20年前、中国で発展している都市といえば、首都であり中国版シリコンバレー中関村がある北京、商業、金融が発展している上海、英国資本が入り流行の発信地である香港というのが相場だった。
しかし、SNS「QQ」「WeChat」で躍進をしたテンセントが深圳に現れ、タオバオ、アリペイなどで急成長をしたアリババが杭州に現れると、投資家たちに見えている中国地図は大きく変わった。現在では、「北上広から去り、深成杭を目指す」と言われるようになった。北京、上海、広州への投資が減り、深圳、成都、杭州への投資が増えているということだ。
不動産価格の上昇は、都市の成長のサイン
中国には人口800万人以上の都市が30都市あり、そのうち1000万人を超えている都市が13もある。最も人口の多い重慶市は人口3000万人を超えている。そのどれもが、明日の杭州となる可能性を秘めている。
次はどの都市が成長してくるのか。投資家たちはそれを見るのに、不動産価格を参考にするという。中心地の不動産価格が急上昇している都市は、新たな産業が興るサインだと考えるのだという。
その意味で、今、中国で最も不動産価格が上昇している都市は、昔の長安であり、シルクロードの出発点である陝西省西安市だという。実際、2017年、西安市のGDPは20%も増加した。
▲シルクロードの起点、以前の長安である西安市が、今急成長を始めている。中国国内外の投資家たちが、この古都に注目をし始めている。
主要IT企業はどこも西安市に注目
中国の主要なIT企業は、どこも西安に注目をしている。ECサイト「京東」は、大型物流拠点を建設する。アリババは、西北本部を設置し、西安交通大学とともにIT系のカレッジを創立する。百度はイノベーションセンターを創立する。アマゾンも、テンセントもイノベーション研究拠点を創立する。さらに、サムスン、吉利汽車、ZTEなども西安への進出を検討している。
2017年9月に、テクノパーク「西安創業大街」がオープンして以来、無数のIT系中小企業、スタートアップも西安に集まり始めている。
▲昨年9月にオープンした西安創業大街。イノベーションストリートと呼ばれ、IT企業の研究系オフィスが立ち並ぶ。また、巨大なショッピングセンターも併設された。
激しさを増す都市間競争が中国躍進の活力に
西安は、中西部にある内陸都市で、交通の便がいいとはいえない。しかし、広大な中国西部への入り口となっている。中国西部は、農村が多く、決して発展しているとは言えない。しかし、急速に地方都市への集約が始まっており、人口数百万規模の都市が続々と誕生している。当然ながら、市民の消費力も急上昇している。この消費力をカバーする拠点として西安市が注目されているのだ。
一方で、投資家たちが去り始めていると言われる北京、上海も手をこまねいているわけではない。北京は「世界で最初に完全自動運転車が走る都市」を目指す宣言をした。上海はアジアの人工知能開発の最先端拠点にするAI@SHプロジェクトを進めている。都市間で熾烈な競争をしている。これが中国の活力を生んでいる。

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