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北京市が世界最初で完全自動運転車が走る都市を目指す

米国のグーグル(ウェイモー)と中国の百度の完全自動運転車(ドライバーレスカー)の開発競争が最終段階に入っている。商店となっているのは、一般の自動車との混在状況での試験走行だ。北京市は、自動運転車の走行試験の細則を定め、開発を推進し、世界で最初に自動運転車が走る都市を目指すとGeek Parkが報じた。

 

人間との混在状況での走行が自動運転の課題

各国で自動運転車の試験走行が行われているが、閉鎖区間での試験はさほどニュース価値は高くない。条件が制御できる閉鎖区間内での走行に失敗する自動運転では、話にならないからだ。問題は、不合理な運転を平気でしてしまう人間運転車の中に混ざって、それでも安全に運行できる技術を開発しなければならないことだ。そのためには、一般公道での試験運転が重要になる。

しかし、当然ながら、一般公道で人間と人工知能が混ざって運転をする場合、事故が起きることが避けられない。その場合どうするのか。そのような法的な問題、施策の問題が完全自動運転車の技術開発の大きな障害になっている。

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勝手に公道走行試験をやっていた百度

中国で完全自動運転技術を開発しているのは百度で、すでにアポロという人工知能プラットフォームを公表し、さらには北京市内で一般車両に混ざって、試験運行を始めている。

今年7月5日に北京国家会議センターで開催された百度AI開発者会議で、百度は市街地試験走行の映像を公開した。北京市の第五環状線で、一般車両に混ざって、無人運転走行をする様子がネットに公開された。

ところが、北京市の交通管理局がこの映像にクレームをつけた。無人運転走行は危険運転にあたり、交通違反であるというのだ。どうやら、百度は、交通管理局と事前交渉することなく、勝手に試験走行をしていたようなのだ。

この問題について、交通管理局と百度の交渉が続いていたが、北京市交通委員会は12月18日に「北京市自動運転車両試験を促進するための指導意見」「北京市自動車両道路試験管理実施細則」を発表した。この2つのガイドラインに従うのであれば、北京市内の一般公道で、自動運転車の試験走行が可能になった。

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百度AI開発者会議で公開された行動試験走行の様子。ロビン・リーCEOが助手席に乗車していた。走っているのは、北京市の環状5号線。周囲は普通の人間が運転する自動車だ。

 

乗車する試験運転者が事故の責任を負う

その細則によると、自動運転車には、試験運転者が乗車しなければならないとしている。試験運転者は運転はしないものの、運転に対する責任を負う。万が一、事故が起きた場合は、試験運転者が運転をしていたものとして事故処理が行われる。そのため、自動運転中に危険な状況に遭遇した場合は、試験運転者が自分の判断で、手動運転に切り替えて、危険を回避する必要がある。試験運転者は、自動車免許を取得してから3年以上経過し、過去に薬物や飲酒による運転の逮捕歴がない者とされている。

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百度が開発したドライバーレスかー。自動運転プラットフォームを「アポロ」と名付け、自動車メーカーなど多くの企業が参加をしている。

 

世界で最初に完全自動運転車が走行する都市を目指す北京

また、周囲の一般車が、自動運転車の試験走行であるとわかるように、試験運転者は専用のナンバーを取得する必要がある。このナンバーは有効期間が30日間しかなく、毎月専門委員会の審査を受ける必要がある。また、この専用ナンバーは、1社で5つまでと当面は制限される。

また、試験走行をする企業は、最低保証金額500万元(約8600万円)以上の専用保険に加入をするか、500万元以上の金額を賠償金用に供託する必要がある。北京市は、試験走行に対する制限も段階的に緩めていき、世界で最初に完全自動運転車が自由に走行する都市になることを目指す。