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ファーウェイの消しゴムマジック機能。すごすぎて、やりすぎマジックになってしまう

ファーウェイの新機種スマートフォン「Pura 70」には、写真の不要なものを指でなぞって消せる消しゴム機能が搭載された。しかし、女性の服まで消せるということから一部の男性の間で話題になり、ファーウェイは即日、アルゴリズムを修正するという騒ぎがあったと愛看劇場が報じた。

 

ファーウェイの新しいスマホは撮影性能が向上

2024年4月に発売となったファーウェイの新しいスマートフォン「Pura70」が好調に売れている。これまでファーウェイはスマホに「P」シリーズの型番を使っていたが、今後「Pura」になるようだ。ファーウェイのカムバック以来、すべての機種が好調に売れているが、Pura70は、これまでやや評価の低かった撮影まわりがかなり強化されている。特に動画撮影が改善をされ、iPhone Proなどと比べられるレベルに達していると評価されている。

 

女性の服まで消えてしまう消しゴム機能

Pura70では、AI機能も強化されている。撮影した写真のレタッチで、不要な物体、人物を指でなぞれば消すことができる機能は、すでに中国スマホでは標準機能とも言える状態になっていて、Pura70にも搭載されている。しかし、この消しゴム機能がすごすぎて問題を起こしてしまった。

というのは、女性の写真を読み込んで、肌と服の境目あたりをなぞっていくと、だんだん服が消えていってしまうのだ。一部の男性は大喜びをし、うまく服を消せた写真をSNSに投稿し、一部の女性は「女性を侮辱する機能だ」とファーウェイとそれを使う男性たちを非難した。

▲ファーウェイPura 70に搭載された消しゴム機能は、写真から不要な人物や対象物を指でなぞると消せるというもの。

▲コツは、肌と服の境目をなぞっていくことのようだ。どんどん服が削れていく。一気に消そうとしないで、何回かにわけて消していくと、うまく消えるというコツを指南する動画も数多く拡散した。

 

ファーウェイは即時対応

この機能は、発売日当日にSNSで大きな話題となり、それまでファーウェイに興味を示していなかった男性も、ファーウェイのショップに行き、Pura70を購入する事態となり、ファーウェイはすぐに事態を把握した。そして、すぐに「この機能にはフィックスされていない重大なバグが残っており、すぐに最適化をしてアップデートを行なう」とアナウンスし、その言葉のとおり、すぐにアップデートをし、この機能は利用できなくなった。写真内の不要な物体、人物、被写体が持っているモノなどは消去できるが、衣類を認識し、衣類を消すことはできないようなアルゴリズムに変更されたようだ。消そうとすると「この写真では消去機能が使用できません」というメッセージが出るようになった。

 

ネット民はがっかり

ファーウェイのこの対応は当然であり、対応も早かったが、SNSでは「だったら買わない」と失望する声も多い。

同様の機能は、小米(シャオミ)、OPPOvivoスマホにも搭載されており、動画共有サイトでは、どのスマホが最も除去機能が優秀なのかの比較動画も盛んにあがっている。そのような比較によると、シャオミの除去機能が優秀で、そういうことを楽しみたい男性たちを喜ばしているという。

▲ファーウェイが対策すると「注文したけど、修正するならキャンセルする」という声が一部の男性から相次いだ。

 

生成AIに規制を求める声もあがっている

中国では2023年、SNS「小紅書」(シャオホンシュー)にある女性が投稿した写真が悪用された。その女性は、広州地下鉄3号線の中で、自分の姿を撮影し、SNSで公開したが、その写真が生成AIにより、服が消され裸となった写真が拡散をした。女性に対する侮辱だけでなく、公開されている画像を勝手に改変し流布することの問題、生成AIの不正な利用の仕方など、さまざまな角度からの議論が沸き起こった。

生成AIで服を除去するというのは、非常にわかりやすい生成AIの悪用方法だが、さらに社会を混乱される使い方も可能であるため、生成AIに関する規制を求める声も高くなってきている。

▲生成AIを使って、服が除去された画像が、何者かによって作成され、ネットで拡散する事態となった。モザイクはメディアが加工したもので、拡散した写真は誰の目から見ても問題のあるものだった。