2023年Q4の統計によると、婚姻数が768.0万組となり、昨年同時期から12.36%も増加をした。さまざまな要因が重なった結果によるものだが、少子化の流れを変えることができるか重要な2年間になると許戈財経が報じた。
中国でも少子化が社会問題に
どの先進国でも婚姻率と出生率の低下が大きな社会課題となっている。人口が減少するということは、労働人口、消費者人口ともに減るということで、経済が縮小していくことを示している。
中国はもともと「子どもをたくさん産むことは幸福」と考える国で、出生率はアジアの中でも高かったが、1980年前後から人口抑制策である一人っ子政策が始まり、出生率は大きく下がった。しかし、今度は人口減少が社会課題となり、2015年前後から一人っ子政策を緩和した。ところが、出生率があがることが期待されたのに、出生率はかえって減少するという事態になっている。
経済成長をする一方、生活コストは上昇し続けたために、子どもをつくるよりは、自分の生活を楽しみたいと考える人が増えているからだ。婚姻率も下がる一方になっている。
婚姻率が上昇するという意外な現象が
ところが、民生部が2023年第4四半期の民生統計を発表(https://www.mca.gov.cn/mzsj/tjsj/2023/202304tjsj.html)では、結婚登記数が増加をするという意外な現象が起きた。2023年に結婚登記をしたのは768.0万組となり、前年2022年の683.5万組から12.36%も増えることになった。なぜ、急に結婚する人が増えたのか。
理由1:コロナ禍からのリバウンド
理由は3つある。ひとつはコロナ禍によるリバウンド効果だ。2022年は新型コロナの感染が再拡大をした年であり、結婚式を開くことも新婚旅行に行くことも難しかった。これにより、翌年の2023年に結婚を延期したカップルが多かったと見られる。
理由2:2024年に結婚した女性は未亡人になるという伝承
2つ目の理由は、2024年は「寡婦年」と呼ばれ、この年に結婚した女性は未亡人になるという言い伝えがあり、結婚を2023年に前倒ししたカップルが多かったことだ。
中国は公には西暦(太陽暦)を使っているが、生活上の行事などは農歴(太陰暦)に基づいている。新年が始まる春節も、太陰暦による新年にあたる。ところが、立春は春の始まりであり、地球と太陽の位置関係で決まる。つまり、太陽暦に基づいている。このため、2024年の立春(2月4日)は、新年の始まりである春節(2月10日)よりも前にきてしまった。つまり、農歴では2024年には立春がないことになる(2023年は立春が2回あった)。
このような年は、中国では「寡婦年」と言われ、この年に結婚した女性は未亡人になってしまうという言い伝えがある。それで2024年を避けて、2023年に結婚をしたカップルが多かったと見られる。
理由3:辰年である2024年に子どもを産みたい
3つ目の理由は、2024年が辰年だということだ。辰年に生まれた子どもは「龍の子」であり、人生で成功できると信じられている。そのため、2024年に子どもを産みたいと考えるカップルが多い。
つまり、2023年中に結婚をして、2024年に子どもを産むというのが理想的なスケジュールになっているのだ。実際、2024年に入って、どこの産院もなかなか予約が取れないほど混雑をしているという。
少子化を変える重要な2年間
これは、少子化に悩む中国にとって大きなチャンスとなっている。2023年の結婚、2024年の出産をきっかけに、婚姻率、出生率を回復していくことができるか。あるいは逆に、このチャンスの反動で、2025年以降、より深刻な少子化が進んでしまうのか。中国社会は重要な2年間を迎えている。