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セルフ方式のビュッフェが続々登場。スイーツやホテルの高価格帯ビュッフェも

経済が冷え込む中国で、飲食店がセルフ方式のビュッフェに活路を見出している。オフピークの時間帯に、バイキング方式で料理を提供するものだ。スイーツ店やホテルも参入し、セルフ方式ビュッフェが定着をしようとしていると餐飲老板内参が報じた。

 

続々登場するバイキング方式のセルフ朝食

中国経済が冷え込んで、人気となっているのが「自助餐」だ。ホテルの朝食のようなバイキング形式を取り入れた飲食のことだ。自助餐を取り入れる飲食チェーンが次々と登場している。

昨年2023年の初めに、台湾ブランドの豆漿を中心にした「永和大王」、お粥を中心にした「谷連天」、豆漿を中心にした「漿小白」などが、朝食の時間帯に3元などの格安価格で、好きなメニューを食べられるセルフサービスメニューを提供して人気となった。また、火鍋で有名な「海底撈」も今年1月に108元のセルフ朝食メニューのテスト販売を上海で行った。

自助餐の魅力は、安いということが最も大きいが、出費が事前に確定をするという点が好まれている。安いと思って入った飲食店で、追加のメニューを頼んでいたら結局高いものについた、そういうことが起こらない。出費を抑えたい、お金は計画的に使いたいという、今の市民の心理をうまくついた販売形式になっている。

▲台湾の豆漿チェーン永和大王も3元ビュッフェを始め、好評を得ている。

▲著名な火鍋チェーン「海底撈」も108元食べ放題のテスト販売を行ったところ好評だった。

 

高価格帯ビュッフェも盛況

安い価格で質素なメニューという自助餐のイメージも変わってきている。香港ブランドのスイーツチェーン「満記甜品」では、2023年6月に35元で食べ放題のデザートビュッフェをテスト運用し、その後、価格を48元に改定して、正式投入している。

このデザートビュッフェは、平日の10時から13時までで、利用するには、事前にオンラインで予約をする必要があるが、どの店舗でも満席状態になっている。デザート店にとっては、10時から13時という昼食の時間帯はオフピーク時間帯だった。朝食にスイーツを食べる人はいるが、昼食に食べる人は少ないからだ。このトラフィックの少ない時間帯をデザートビュッフェにあて、客数は10倍以上に増加をしたという。

▲スイーツチェーン満記甜品では、客数の少ない昼の時間帯に48元のデザートビュッフェを初めて、その時間帯の客数は10倍以上になった。48元のデザートは安くないが、食べ放題というところに魅力を感じて、多くの人が押し寄せている。

 

ホテルでもビュッフェサービスを始める

バイキング形式のビュッフェを朝食で提供してきたホテルも、ビュッフェのオープン化を進めている。マカオ市のMGMマカオでは、12888元で1年間ビュッフェを自由に利用できる年間パスの販売を始めている。価格は高いが、1日あたりにすればわずか35元で、食事の質を考えれば格安とも言え、近隣のオフィスワーカーに利用をされている。

 

3元朝食で成功した南城香

自助餐で有名になったのは、地域密着系の飲食チェーン「南城香」だ。八宝粥、豆漿など7種類の朝食メニューが3元で食べることができ、おかわり自由の食べ放題なのだ。

提供されているのは基本メニューが中心で、それを何杯もおかわりして満腹になるという人はあまりいない。日本の感覚で言えば、ご飯が食べ放題になっている感覚だ。そのため、ワンタン、油条(揚げパン)、サンドイッチなどを追加メニューとして取る人が多く、以前の単品注文の頃と比べて、朝食時間帯の売り上げは倍増をしている。

▲地域密着系飲食チェーン南城香では、3元の朝食を出して成功をしている。朝食だけでなく、通常価格の昼や夜の客数が伸びている。

 

オフピーク時間帯にセルフ方式であるため低価格が実現できる

自助餐は、来店客が自分で食事をとって自分の席に持っていく方式であるため、少人数のフロアスタッフで運営することができる。また、メニューもお粥や豆漿、パンなど作りおきが可能なものが中心となるため、調理スタッフの負担も少ない。

それぞれの飲食店のオフピーク時間帯にうまく自助餐を設定することができれば、売上が増加するばかりでなく、来店してもらうことで、メインの時間帯にもきてもらえるようになる。消費者の心理が萎縮をする中で、この自助餐は広範囲の飲食店に広がっていくのではないかと見られている。