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潜在能力は高いのに、成長ができない中国経済。その原因と処方箋。清華大学の論文を読む

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今回は、今後の中国経済の展望についてご紹介します。

 

中国経済の調子がよくないことは言うまでもありません。しかも、大手不動産デベロッパーの破綻だけが原因でなく、地方政府の財政、民間企業/消費者のマインドの萎縮、高い失業率、米中経済のデカップリングなど、さまざまな要因が重なっています。

当然ながら、日本や米国のメディアでは、「中国経済崩壊」という言葉が踊り、中国経済はもう終わると報道しているところが増えています。それを鵜呑みにされている方もたくさんいらっしゃるようです。しかし、最近、少し変化が起きているのは、このような中国経済崩壊報道に素朴な疑問を呈する人が現れ始めていることです。すなわち「何十年も前から、今年こそ中国経済は終わると言われているけど、いつになったらほんとうに終わるの?」という疑問です。

2024年こそ、中国経済はほんとうに終わってしまうのでしょうか。

 

そこで、今回は、清華大学中国経済思想・実践研究院(ACCEPT、http://www.accept.tsinghua.edu.cn/)が公開した論文をご紹介したいと思います。論文と言っても、「改革」という雑誌の2024年第1期号に掲載されたもので、私たちのような経済の専門家でない一般人でもじゅうぶん読めるように配慮されています。

その論文とは「穏中求進、以進促穏、先立后破ーー現在の中国経済の情勢分析と2024年の展望」というものです。3つ四字熟語を使った主題は「安定の中に発展を求める、発展をもって安定を促す、先に確立してそれを打破する」というような意味です。

 

https://www.accept.tsinghua.edu.cn/2024/0222/c22a5831/page.htm

中国経済思想・実践研究院の論文掲載サイト。オンラインで全文が読めるようになっている。

 

タイトルは言葉遊びのようにも見えますが、論文を読んでみると、内容をうまくまとめた、いいタイトルであることがわかってきます。論文を執筆したのは、マクロ経済予測課題チームで、李稲葵教授をリーダーにした5人の研究員たちです。清華大学の経済学の精鋭たちが執筆をしたものになります。

今回、ご紹介したいのは、清華大学の頭のいい人たちが書いたという理由ではなく、内容のバランスが非常にいいからです。この論文では、大雑把にいって次のようなことを言っています。

1)中国経済は、潜在能力はまだまだ高い。

2)しかし、現実にはそうなっていない。しかも、コロナ禍前から潜在能力以下のパフォーマンスしか発揮できていない。

3)その理由は、いくつかのリスクがあって、それに対応ができていないから。

4)そのリスクにうまく対応ができれば、中国経済は成長軌道に乗せることができる。

5)リスク対応するには、これまでの「過熱防止」から「過冷却防止」に転換をする必要がある。

というような内容で、論文の眼目は、政策として何をすべきか、その方向性を示していることです。この論文のクレジットが中国を代表する清華大学であること、そして全人代全国人民代表大会)の開幕直前に発表されたものであることに注意をしてください。どのような形であるかはわかりませんが、この論文中の提言は、中国政府の政策に反映をされる可能性がきわめて高いと考えるべきです。

つまり、この論文の内容を頭に入れておくと、中国経済の動向や政策などを読む参考になります。その意味で、かなり重要な論文ではないかと思います。しかも、一般の人に理解できる形で書いてくれています。

 

ということで、今回は、みなさんといっしょにこの論文を読んでいこうと思います。もちろん、私も経済学の専門家ではないので難しいことはわかりませんし、どうしても複雑なややこしい話もあります。そういう部分は省略して、骨格の部分だけをご紹介していこうと思います。中国経済の動向を読み、中国政府の経済政策の傾向を予測するのであればそれでじゅうぶんだと思います。それでも物足りないという方は、オリジナル論文を読んでみていただければと思います。割と読みやすい平易な文章なので、中国語がわからなくても、翻訳機能を使って日本語で読んでもけっこう読めると思います。

ということで、今回は、中国経済の今後の展望はどうなのか、清華大学の論文を読んでいきます。

 

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