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地図アプリはお宝の山。アリババ「高徳地図」のお金の稼ぎ方

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今回は、アリババの地図アプリ「高徳地図」のマネタイズ手法についてご紹介します。

 

スマートフォン利用者のほとんどが、地図アプリを毎日のように使うと思います。毎日のように使うアプリと言えば、SNS(連絡)、検索(調べもの)、ニュース、決済、地図あたりが中心で、その他、人によって動画、音楽、ゲームなどになるかと思います。

このように日常的にアクセスされ、日間アクティブユーザー数(DAU)の大きなアプリはその多くが大きな収益を上げています。広告を出すだけでも多くの人が利用をするため、桁違いの収益を上げてくれます。ところが、この中で、地図アプリだけはなかなか収益をあげられずにきています。

日本で多くの人が利用しているグーグルマップの場合、プロモートピンという仕組みがあります。これはグーグルマップに登録されている店舗が広告を出せるというもので、「イタリア料理」「カフェ」などのキーワード検索に対して、リスト表示の上位に表示されるというものです。

しかし、どの程度の効果があるのか、今のところよくわかりません。というのは、グーグルマップの利用者は、すっかり星の数(評価)を参考に選ぶ習慣がついているからです。将来は、利用者の行動習慣も変わっていくとは思いますが、現状では、利用者から見ると、リストの上位に強制的に表示されるじゃまな項目に見えています。

実際、店舗リストは評価の高い順に並ぶため、低い評価となってしまいリストの下位にしか表示されない店舗が、リストの上位に表示されることを目的にして広告を出しているようです。つまり、広告の効果をねらうというより、リストの中の順位を上げるMEO(Map Engine Optimization、地図検索最適化)の意味で使われているようです。おそらく、SEO/MEOの企業が、グーグルマップの検索で、大手であるのに評価が低い企業/店舗に対して積極的に営業をかけているのではないでしょうか。

 

この他、地図アプリのAPIを有料公開して、他企業に使用するというマネタイズ手法は初期の頃から行われています。店舗案内にグーグルマップを利用したり、地図ベースのサービスを開発企業に利用してもらうなどです。

また、最近では、レストラン予約サービス、ホテル予約サービス、モバイルオーダーサービス、デリバリーサービスにも連動をするようになっています。例えば、飲食店をマップで検索して、「席を予約」「オンラインで注文」などのボタンが表示されるようになりました。

しかし、残念なのは、ウーバーイーツなどの外部サービスに接続しているだけなのです。そのため、ジャンプ先でそのサービスのアカウントを作成し、ログインをしなければなりません。アプリにジャンプさせる場合は、まずそのアプリをインストールするところから始めなければならないのです。

おそらく今後は、裏側でグーグルアカウントでサインインするような仕組みを入れていき、スムースにサービスに接続をしていくようにするのだと思いますが、それにはもう少し時間がかかりそうです。

 

一方、アリババの高徳地図でも、同様の機能がありますが、接続はスムースです。高徳地図でレストランを見つけ、席を予約するという場合は、「予約」ボタンをタップするだけで席を予約することができます。モバイルオーダーをする場合は、「モバイルオーダー」ボタンをタップすると、メニューが現れ、注文ができ、決済まで終わらせることができます。すべて、高徳地図アプリの中で完結できるのです。

また、ルート検索をして、飛行機、高鉄(中国版新幹線)、特急列車、タクシー/ライドシェアが必要な場合は、ワンタップでチケットを購入し、決済まですることができます。出発場所と目的地は、高徳地図の方で自動設定してくれるため、非常に便利です。

また、目的地がテーマパーク、観光地、映画館、博物館などの場合は、高徳地図アプリの中でチケットを購入することができます。

つまり、高徳地図では、地図の中から移動に関連するサービスが利用でき、決済まで行えます。高徳地図アプリの中だけで、購入までが完結するのです。

さらに、店舗を検索すると、商品や割引クーポンなども購入できるようになっています。地図アプリが次第に物販のプラットフォームとしても機能するようになっているのです。

なぜ、グーグルは外部サービスに接続することしかできず、アリババはスムースに購入/決済まで結びつけることができるのでしょうか。その秘密は、アリババが2018年に設置をした「本土服務」事業部にあります。本土服務は英語ではLocal Consumer Seriviceと表記され、高徳地図を中心にした事業部です。この事業部で扱っているサービスを高徳地図に統合するということをおこなってきました。そのため、高徳地図が実体店舗、オフライン経済のプラットフォームになろうとしています。

今回は、高徳地図がどのようなサービスを提供しているのかについてご紹介します。

 

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