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電動自転車の雨除け、日除けは違反。しかし、今度は「着る風除け」の人気に頭を抱える交通警察

電動自転車は、自動車よりも普及をしており、中国の庶民の足となっている。しかし、雨や日差し、風が天敵で、取り付けるタイプの雨除け、日除けが流行したが、違反となり取り締まりが始まっている。すると、今度は着る風除けが登場して、交通警察は頭を抱えていると臨沂臨港が報じた。

 

自動車よりも普及をしている電動自転車

電動自転車は、中国の庶民の足となっている。電動自転車と言っても、日本のような電動アシスト方式ではなく、電力により自走をする。ペダルは一応ついているものの、使うことはまずない。時速は25kmまでに制限されているが、実質的な電動スクーターだ。それでいながら、建前上は自転車であるため、運転免許不要で乗ることができる。この電動自転車と時速50kmにまで制限されている電動スクーターを合わせ、保有台数は3.2億台となり、自動車の保有台数よりも多く、中国で最も使われている乗り物になっている。

▲電動自転車は免許不要で乗れることから、庶民の足となっている。

 

免許不要であるため、警察は取り締まりを強化

しかし、免許不要で乗れるということから、交通ルールに対する理解が浅い人もいて、以前から交通事故などの安全性が問題になっていた。そこで、各都市では規制を強めている。ひとつはナンバー登録制だ。交通違反をした場合は、警察官がナンバーを認識して、後から身元を特定して罰金を課すことができるようにした。これで交通ルールを遵守する意識を高める。また、運転者の安全を考えて、ヘルメットの装着も義務化された。

▲夏は日差しが暑いために、日除けを取り付ける人が続出する。危険であるため、道交法違反となる。

 

日除け雨除けの摘発が続く

さらに、昨年、力を入れたのが、雨除け日除けの摘発だ。電動自転車は便利な乗り物だが、自転車であるため夏は直射日光があたり暑く、雨が降ると濡れてしまう。そこに注目した業者はすぐに取り付けできる雨除け日除けグッズを発売し、これをつける人が続出した。

しかし、電動自転車や電動スクーターには基準に沿ったもの以外取り付けることは違反であるだけでなく、実際にも非常に危険で、交通事故も起きている。視界が遮られる、車幅が規定よりも広くなり接触をしやすいということもあるが、最大の問題は雨除けが電動自転車本体に固定する方式であるため、ハンドルの動きが制限されてしまうということだ。咄嗟の時に、適切な回避運転ができなくなる。

このような理由から、各地の警察では取締りを行い、雨除け日除けの撤去を進めていった。

▲交通警察では、視界をふさいだり、反応が遅くなることから危険だとして、取り締まりを行なっている。

 

着る風除けなら違反にならないとヒット商品に

しかし、冬になると、今度は風が直接体にあたって寒い。手もハンドルを握りっぱなしで冷たくなる。手袋をすればいいのだが、いちいちつけたり外したりが煩わしい。ということから、淘宝網タオバオ)や拼多多(ピンドードー)などのECでは、着る風除けが販売され、ヒット商品になっている。

着る風除けは、電動自転車本体に設置をしているわけではないので、違反にはならない。しかし、体につけるだけのものであればともかく、電動自転車ごと包んでしまような風除けはどう考えて危ない。各都市の交通警察は、路上で口頭注意をしたり、啓蒙活動を進めているが、違法であるという根拠がないために、強制的に外させることもできず頭を抱えている。

タオバオなどのECでは、着る風除けが売れている。