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混乱する二輪車通行帯。電動自転車、電動スクーター、リアカー、キックボードに無人カートまで

二輪車通行帯が混乱をし社会問題となっている。歩道と車道の他に二輪車通行帯が整備されている道が多いが、多様な交通ツールが登場しているのが原因だ。また、無免許で乗れるものも多く、交通ルールも徹底されていないと海報新聞が報じた。

 

さまざまな乗り物が登場し、混乱をする二輪車

中国の都市交通が新たな問題を抱えている。中国の大通りは、「車道」「二輪車道」「歩道」と3種類に分離帯で分かれているため、自動車、自転車、歩行者それぞれが安全に通行をできる環境が整っていた。

しかし、二輪車の領域にさまざまな新車両が登場し、二輪車道が混乱を起こしている。この二輪車道は正式には「非機動車道」。つまり、エンジンを搭載していない車両を指す。そのため、電動低速バイク、電動自転車はモーターは搭載しているが、エンジンは搭載していないので、非機動車道を通行しなければならない。

特に問題になるのが、電動自転車だ。建前上はペダルのついた自転車であり、電動は補助なのだが、実質的には電力で自走することができ、時速は25kmまでに制限されているものの電動スクーターとして利用している人がほとんどだ。

さらに、お年寄りが主に使う電動三輪車=代歩車、さらには宅配の無人カート、電動キックボードなど、さまざまなものが登場している。

非機動車道は、実質的には「自動車と歩行者以外のすべての交通ツール」が通る道になっていて、ここで大きな混乱が起き始めている。

▲左側が二輪車の通行帯で、右側は二輪車の駐車帯。しかし、通行帯は一方通行であるため、駐車帯を逆走する二輪車もいる。本来は、反対側の通行帯を通行するか、降りて手押しで歩道を通らなければならない。

▲最近ではキックボードなども登場して、二輪車通行帯の混乱に拍車をかけている。

 

交通違反を含むマナーの問題も

今年2022年7月末、北京市人民代表大会常務委員会は、「北京市非機動車管理条例」実施調査報告を行い、その内容をウェイボーの公式アカウントで公開をした。その中では、2つの問題が指摘をされた。

ひとつは非機動車の駐車設備などに不備があり改善が必要なこと。もうひとつは交通違反が常態化をしており、遵法意識を高める必要があることが提起をされた。

北京市人民代表大会常務委員会は、二輪車の問題の調査をし、交通違反の常態化が問題であることを指摘した。

 

ルールが定着しない問題交差点

北京市の南側、第三環状道路の龍家窯橋は渋滞の原因となる交差点として有名で、交通管理部門の重点地点にもなっている。そのため、非機動車が交差点を通過するときに通行すべきゾーンを色分けして表示する、非機動車専用の信号を設けるなどの整備が行われている。

しかし、ルールを守らない非機動車が続出をしている。赤信号の場合、停止線の手前で停止をしなければならない。しかし、青信号になって進むには、右折車と交錯する煩わしさがあるため、交差点の中のゾーンで信号を待ってしまう。しかも、横方向の非機動車通行ゾーンにまで広がって待っているため、横方向の非機動車はゾーンの外を迂回して通行しなければならない。

▲赤いペイントが二輪車の通行帯。二輪車は本来手前の停止線内で赤信号を待機しなければならないが、右折車(赤信号でも右折可)のじゃまになるため、交差点の中で待つ習慣が生まれている。

 

電動自転車の免許不要が原因とも

このような原因の根本にあるのは、非機動車が免許不要で運転できるという点だ。そのため、交通ルールを正式に学んだことがない人も多く、周りを見て運転をするため、ルール遵守がいい加減になっていく。かといって、非機動車に免許を必要とするようにすると、市民が気軽に移動ができなくなる。

非機動車は気軽な交通ツールであるため、よく売れることから、メーカーもさまざまな新しい非機動車を発売する。近年では、電動キックボードも見かけるようになっている。この、次から次へと新しい非機動車が登場することが、さらに混乱に拍車をかけている。

二輪車帯は本来は一方通行。この場合は、手前から奥にしか進むことができないが、逆走する二輪車が後を立たない。道路の反対側の二輪車通行帯に渡るのが面倒だからだ。

 

無人カートが混乱に拍車をかける

もうひとつの問題が、宅配やフードデリバリーなどの無人カートだ。自律的に走行をし、障害物を認識して安全停止をするが、安全への配慮から時速5km程度で走行をする。しかし、非機動車道が狭いところでは、道を塞いでしまい、通行の妨げとなっている。これを無理に追い越そうとして、転倒をする二輪車も見られるようになっている。

▲最近問題になっているのが無人カート。幅が広く、速度が遅いため、無理に追い越そうとする二輪車が事故を起こす。また、自動車通行帯にはみ出て追い越そうとする二輪車もいる。

 

多様化する二輪車に追いつかない交通行政

問題は、速度や幅の異なる非機動車がひとつの道に混在をしていることだ。自転車ですら、速度の遅い実用車と健康のために乗るクロスバイクでは、速度がまったく異なっている。このため、北京市では2019年から自転車の高速道路とも言える自転車専用道路の整備を始めているが、高架道路にする必要があり、すぐには整備は進みない。

非機動車道を複数に分割することも考えられるが、そのためには車道を減らすしかなく、交通渋滞を悪化させてしまう。唯一の救いは、死亡事故などの重大事故につながるケースが少ないことだが、このまま放置をすると、都市内の移動に支障をきたすことになり、頭の痛い問題となっている。

北京市では自転車専用道を整備し始めているが、高架にせざるを得ない区間が多く、なかなか整備は進まないのが現状だ。