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スマホ化する電動自転車。ファーウェイのハーモニーOSに対応した電動自転車XC3

バイクメーカー「新日」からハーモニーOS対応の電動自転車が登場した。スマホと連動するだけでなく、Bluetoothヘルメットとも簡単に連動することができる。庶民の足、電動自転車のスマホ化が進んでいると電動車風雲が報じた。

 

最も普及している移動ツールは電動二輪

中国で庶民の足となっている電動自転車。日本のようなアシストタイプではなく、電力で自走する。ただし、あくまでも自転車という位置づけであるため、足で漕ぐためのペダルもついているが、使われることはほとんどない。時速は25kmまでに制限されているものの、実質的な低速電動スクーターだ。

運転免許不要で乗ることができ、都市によっては後部に子どもを乗せることが認められているため、庶民の足として定着をしている。この電動自転車と、時速50kmまでに制限されている電動スクーター合わせて保有台数が3.2億台に達し、自動車よりも多く、中国で最も普及している交通ツールになっている。

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▲バイクメーカー「新日」が発売したハーモニーOS対応電動自転車XC3。スマホやヘルメットと簡単に連動させることができる。

 

スマホ化が進む電動自転車にハーモニーOS対応車登場

この電動自転車の最近のトレンドが、スマートフォンとの連動によるスマート化だ。Bluetoothで接続をし、解錠、施錠などがスマホからできるというのは当たり前になりつつある。また、スマホを持って近づくと自動解錠、離れると自動施錠という車種も増えている。

その中で、電動バイクメーカー「新日」(シンリー、SUNRA、https://www.xinri.com/motor)は、よりスマート化を進めたXC3を発売した。華為(ファーウェイ)が開発したハーモニーOSに対応することにより、多彩な機能を実現することが可能になった。

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▲専用のスマホアプリにより、近づくと自動で開錠、離れると自動で施錠など数々の便利な機能が使えるようになる。

 

通話、音声命令ができるBluetoothヘルメット

近年の電動自転車は、Bluetoothによりスマホと接続をするものが増えてきたが、さらに多くの人が使い始めているのが、Bluetoothヘルメットだ。音声でスマホに命令を出すことができ、運転をしながら電話ができたり、ナビゲーションの操作ができる。

しかし、電動自転車ースマホーヘルメットという3点接続は、Bluetoothだけだと設定が難しい。マルチポイント接続にはさまざまな制限があり、詳しくないとうまく設定ができない、ペアリングが途切れると修復できないということが起きる。XC3では、ハーモニーOSに対応し、このような混乱が起きないようになっている。

一度、ペアリング設定をしておけば、電動自転車に近づくだけで、スマホがバイクとヘルメットに接続され、「小新同学」という音声アシスタントが使え、ヘルメットから音声命令を出すことで、電話をかけたり、受けたり、ナビゲーションを操作したり、音楽を流したりすることができる。

また、新日純正のBluetoothヘルメットには、後部に赤色LEDが備えられており、ブレーキをかける、バイクの方向指示器を操作すると、それに連動して、ヘルメットのLEDランプも点灯し、後方の車両に動作を伝えてくれる。

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▲LED搭載のヘルメット。加速度センサーが内蔵され、ブレーキをかけるとヘルメット後部のブレーキランプが点灯する。電動自転車のウィンカーに連動して、方向指示の点滅も行う。

 

スマホ以外に広がり始めたハーモニーOS

このようなことが可能になったのも、ファーウェイのハーモニーOSの存在が大きい。ハーモニーOSは、スマホOSとしてだけでなく、さまざま家電、デバイスが対応し、ハーモニーOS搭載のスマホとの連動を可能にする。

電動自転車の世界では「千人一車」時代から「千人千車」時代に移行したと言われる。以前は、大量生産された同じ車種を全員が使っていたが、現在はさまざまな車種が登場し、カスタマイズすることで自分だけの車になるという意味だ。その千人千車を実現するために、スマート化が重要だと考えられるようになっている。

XC3は、各ECで実質2999元(約5.4万円)から3900元程度で販売され、すでにヒット商品になっている。