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脳波でドローンを制御する。念じるだけで3台のドローン制御に西安市西北工業大学が成功

西北工業大学の研究チームが、脳波でドローンを制御するシステムを開発した。このシステムが発展をすると、人間は無意識にさまざまなものを操作できるようになり、操縦技術を習得することなくさまざまなものの操作ができるようになると陝西都市快報が報じた。

 

ドローン編隊を脳波で制御する

陝西省西安市の西北工業大学の謝松雲教授の研究チームが、ドローン編隊を脳波で制御することに成功した。操縦者は専用の脳波測定装置を頭に被り、操縦する方向を念じるだけで、脳波でドローンを制御することができる。

すでに3台のドローンを空中静止させて、一斉に上下を反転させることまでできるようになっている。

▲実験では、3台のドローンを空中静止、同時に1回転させるという操作に成功した。

 

9つの視覚を見つめて方向を指示する

この操縦の仕組みの原理は非常に単純だ。操縦者はディスプレイに表示される9つの四角を見つめる。この9つの四角が操縦用の十字キーの役割を果たす。操縦者は、ドローンを移動させたい方向の四角を見つめる。

この9つの四角はそれぞれ異なるサイクルで明滅をしている。操縦者が特定の四角を見ると、その明滅サイクルとシンクロした脳波が発生する。この脳波を測定することで、操縦者の意図を読み取るわけだ。

▲操縦者は右の9つの四角を十字キーに見立てて、操縦したい方向の四角を見つめる。四角はそれぞれ異なる周期で明滅しているため、それに同期した脳波が発生する。

▲西北工業大学の謝松雲教授の研究チームは、脳波による制御システムを開発している。操縦者に脳波センサーを取り付け、これでドローンを操縦する。

 

AIが人間の命令意図を解釈して安定操縦を実現

しかし、これだけでは微細な操縦は難しい。なぜなら、人間は疲労をしたり、雑念が浮かんだりして、脳波の信号が安定をしないからだ。これだけで、ドローンを安全に飛行させるためには、極度の集中が要求される。

そこで、謝松雲教授のチームでは、AIと人が協調をして操縦をするシステムを開発した。例えば、ドローンの飛行中、操縦者が障害物を避けるために左に移動させようとした時、AIは障害物を認識し、障害物を避けられる分だけ左に進路を変える。操縦者の指令が短すぎる、あるいは長すぎる場合でも、AIが安全な飛行を保証する。

これで、非常に複雑な環境の中でも、ドローンを安全に飛行させることが可能になった。

▲脳波センサーは非接触であり、操縦者の皮膚などを傷つけることはない。

 

脳波による操縦はユニバーサルな操縦法

謝松雲教授はドローンの操縦だけでなく、さまざまなものを脳波で操縦、制御するシステムの開発を目指している。なぜなら、現在は、脳波による操縦は、ある程度の時間のトレーニングをしなければならないが、AIと協調させることで、人間は無意識での操縦が可能になるからだ。例えば、自動運転の自動車に乗車中、突然人が飛び出てきた場合、人間が「左に避ける」と無意識に考えるだけで、自動車のAIは左に避ける方向での回避策を演算して実行をすることができる。

電動車椅子に乗る高齢者、障害者は、操縦にとらわれることなく移動をすることができるようになる。家電製品が制御できるようになれば、リモコンも不要になり、暑いと感じたらエアコンがつき、まぶしいと感じたらカーテンが閉まる住宅も可能になる。応用範囲は広い。

▲研究チームでは、脳波により自動運転車を操縦することにも成功している。棒のような障害物を出しても、操縦者が意識をすることで避けることができた。

▲脳波によりレーシングゲームの操縦にも成功をしている。

▲シミュレーターの中で、スーパー内のピックアップロボットの操縦にも成功している。