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若年失業率21.3%の衝撃。副業に走る若者たちはどのくらい稼げているのか?

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今回は、中国の若者の副業についてご紹介します。

 

日本でも、副業が以前から話題になり、コロナ禍により副業に興味を持たれている方も増えているのではないでしょうか。副業はメリットしかありません。最大のメリットは、副収入が得られるということです。それが生活できるほどの額になるか、お小遣い程度になるかは別として、生活費以外で自分の自由に使えるお金があるということは精神的に大きな余裕を持てることになります。

もうひとつのメリットは自分の多様性を広げられるということです。本業とは異なる仕事をすることで、視野が広がり、異なるコミュニティーの人たちとのつながりが生まれます。

もちろん、時間が取られ忙しくなる、副業は失敗をすることも多い、中には詐欺的なものもあるという問題はあります。しかし、そのような問題がクリアできるのであれば、得られるものは大きいと思います。

 

中国でも副業は「副業」(フーイエ)と呼ばれ、ニュアンスも大体日本語と同じです。しかし、以前は「兼職」(ジエンジー)と呼ばれていました。本来の意味は兼業ですが、当時はネットを使ったデータ入力など内職的なものが多かったため、イメージをよくするために「兼職」という少し難しそうな言葉が使われたのだと思います。

しかし、同時に兼職詐欺も多発しました。「ネットを使って、1日3時間で、月収⚪︎⚪︎元」などと甘い言葉で誘って、始めるには登録料が必要だと言ってWeChatペイなどで送らせ、そのまま逃げてしまうというのが基本パターンです。

この兼職詐欺があまりにも横行したために、兼職という言葉は次第に使われなくなり、最近では副業という言葉が多く使われるようになっています。

 

副業と兼職はイメージだけでなく、内容も大きく変わってきています。兼職は内職のイメージが強く、よくあるのはデータ入力やECのやらせレビュー書きなどが一般的です。自宅試着員というものも話題になりました。本部から洋服が送られてくるので、それを着て自撮り写真を撮り、SNSなどに投稿するというものです。あるいは、これはほとんどが詐欺ですが、借金をする兼職というものもありました。ある消費者金融が実績をあげたいという依頼を受けて、そこで一定額の借金をするというものです。借金をしたら、そのお金を本部に送金し、本部の方で返済をし、その代わりに報酬が送られてくるというものです。もちろん、借金したお金を転送した段階で本部とは連絡が取れなくなり、報酬も送られてこず、自分の借金だけが残るというパターンです。

兼職はその多くが、本部が仕事を用意し、ノウハウも提供し、その仕事をするというものです。そこに詐欺がつけ込む隙がありました。しかし、今の副業は、このような“本部”に頼るのではなく、自分で仕事をつくるものが多くなっています。いちばん人気なのはセルフメディア運営です。SNSでフォロワーを獲得して、広告案件やタイアップ案件を獲得しようというものです。日本で言えば、ユーチューバーやインフルエンサーにあたるものです。

次に人気なのが、ECショップの開店です。アリババの淘宝網タオバオ)は、個人でも簡単に開店することができるため、商品の仕入れルートさえ確保できればすぐにでも始められます。また、屋台も人気です。地方政府の販売許可証を取得すれば、テーブルに商品を並べるだけで始めることができます。

このように、どこかの本部に頼るのではなく、自分だけで始めることができるため、詐欺に遭うこともありません。

 

もちろん、それで生活がしているのか、少なくともかかった経費以上に稼げるのかは別の話です。この辺りについても、後ほど調査データをお見せします。

若者の間で、副業がブームと言えるほど注目されている理由の最大のものが、高い若年失業率です。前回の「vol.186:「フードデリバリー」「音楽サブスク」「電子書籍」の利用率が減少。その背後にある共通因子とは何か」でもご紹介しましたが、16歳から24歳までの若年失業率が、2023年6月には21.3%という高いものになり、社会問題になっています。若者の5人に1人が失業というのですから、ただごとではありません。

しかし、国家統計局は、大したことではないとはさすがに言っていませんが、若年失業率の悪化を過大評価すべきではないと主張をしています。一方、民間の経済評論家、大学教授などの専門家の間では、対策を必要とする状況だと意見が対立をしています。

これは、社会問題を隠したい政府と、問題を指摘したい民間という対立ではありません。国家統計局の主張もそれなりに理があるもので、それなりに納得できる部分もあるのです。民間の専門家も、国家統計局の主張を理解した上で、それでも若年失業率がかつてないほどの上昇トレンドにあることを問題にしています。つまり、問題隠しなどということではなく、双方ともに専門家同士の高いレベルの議論をしています。

そこで、今回は、まず中国の若年失業率について、国家統計局と専門家がどのような主張をして、何が問題だとされているのかについてご紹介し、それから若者がどのような副業を選んで、どのくらいの経済的利益を得ているのかを調査データを使いながらご紹介したいと思います。

今回は、高い失業率により、副業が進む若者経済についてご紹介します。

 

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vol.184:爆速成長するドリンクスタンド「蜜雪氷城」。その考え抜かれたBtoBtoC型フランチャイズの仕組み

vol.185:中国富裕層の10の真実。彼らはどう稼ぎ、どう悩み、どこに旅行をしたいのか

vol.186:「フードデリバリー」「音楽サブスク」「電子書籍」の利用率が減少。その背後にある共通因子とは何か