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田起こしから収穫までのすべての工程が自動化された京西稲スマート農場。作業員はスマホ片手に見ているだけ

北京市郊外の京西稲スマート農場で、自動化技術が大幅に取り入れられ、田起こしから収穫までのすべての作業が自動化をされ、収穫量は30%増加したと北京日報が報じた。

 

無人化された京西稲スマート農場

北京市海淀区上庄鎮にある京西稲スマート農場でも、刈り入れ時期には収穫機が田んぼを忙しく動き、稲を刈り取っている。しかし、人は乗っていない。田んぼの横にいる作業員がスマートフォンタブレットで操縦をする無人運転の収穫機なのだ。京西稲スマート農場では、田起こし、田植え、管理、収穫のすべてが自動化をされている。これにより、今年の収穫量は昨年から30%増加した。

▲ありふれた収穫期の田んぼの風景。しかし、作業をする人はわずか1人だ。京西稲スマート農場では、すべての作業が自動化をされている。

 

肉体労働が0になったスマート農場

2022年4月、海淀区上庄鎮政府と中関村の博創聯動科技は共同で、京西稲農場のスマート化を行なった。これにより、京西稲農場は、司令室ですべての指示を出し、現場には監視員がいるという従来とはまったく異なった農場の風景となった。人の肉体労働はすべてなくなっている。

湿度、害虫、気候、生育の4つを常にモニターし、田んぼの管理が自動化できるだけでなく、最適環境を維持することで、稲の収穫量や品質をあげることも期待できる。

無人収穫機はあらかじめ設定されたルートに従い収穫を行う。作業員は見ているだけでかまわない。

 

1人で27haの農地の管理が可能

2022年の収穫量は田んぼによって900斤から950斤(475kg)の間で、平均してスマート化以前の30%増となった。

京西稲スマート農場の技術責任者、孫祥明氏によると、405ムー(27ha)を1人で管理をすることが可能で、1ムーあたりの人件費を630元ほど減少させる。農業の最大の問題である人手不足を解消する決め手になるという。

無人運転の収穫機は、農場の管理システムによりリモート制御され、スマートフォンタブレットからも操縦が可能です。あらかじめ設定されたルートで収穫を行い、毎秒6kgの稲を収穫することができます。1時間で15ムーの田んぼの収穫作業ができ、天候が多少悪くても、夜でも作業が可能です」。

この京西稲スマート農場はモデル農場であり、ここで検証されたテクノロジーが一般の農場にも導入されていくことになる。

▲作業員は、手元のスマートフォンで、始動、停止などの操作を行う。設定通りの作業が進んでいれば、作業員は特にやることはない。