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弱いつながりの強さ。アリババ、ピンドードー、バイトダンス、シャオミの創業者は弱いつながりをどう活かしたのか

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今回は、「弱いつながりの強さ」についてご紹介します。

 

「弱いつながりの強さ理論」という言葉を一度はお聞きになったことがあるかと思います。1973年に社会学者のマーク・グラノベッターが「The Strength of Weak Ties」という論文で発表した理論です。簡単に言えば、「有用な情報は強いつながりよりも弱いつながりからもたらされる」というもので、古い理論でありながら、SNS時代を迎えると、SNSでのつながりがいかに重要なのかということを論じるときにたびたび引き合いに出される考え方です。

ラノベッターは、米ボストン在住のホワイトカラー282人を対象に、就職先、転職先を見つけるのに役に立った情報をどのような人から得たのかを調査しました。すると16.7%の人は会う頻度が高い、つまり強いつながりの人から得ていました。一方、83.4%の人はあまり会うことがない、つまり弱いつながりの人から得ていました。また、この弱いつながりから得た情報に基づいて就職した人の方が、その後の満足度も大きいことがわかりました。

これはなんとなく生活実感とも符合します。強い結びつきとは頻繁に会う人のことで、具体的には家族や同僚が一般的です。そういう人に「どこかいい転職先ないかな?」と尋ねても、あがってくるのはよく知っている企業の名前ばかりになります。どうしても同じ業界内の企業の名前があがってくることになりがちです。

しかし、会う回数の少ない友人やSNS上での知人に尋ねると、「業界はまったく違うけど、こういう人材を募集している。あなたに合うかもよ」という意外な企業を紹介してくれるかもしれません。

もちろん、実際にアプローチをして面接を経ないとなんとも言えませんが、ひょっとしたら、自分では普通だと思っているスキルが、異なる業界では非常に高く評価をされ、まったく異なる業界で新鮮な気持ちで働けるということになるかもしれません。

 

つまり、いつも同じメンツで固まっていても、有用な情報はもたらされず、SNSなどの弱い結びつきから有用な情報は入ってくるのだという理論です。

しかし、この「弱い結びつきの強さ」理論は、SNS時代になって少し誤解をされているようです。それは「強い結びつきよりも、弱い結びつきが重要」だと考え、濃い付き合いをしないようにして、すべてSNSでつながろうとするような誤解です。あるいは社内で「飲み会や社員旅行はやめて、社内SNSだけでつながるようにしよう」という誤解もあります。

この理論は、結びつきを弱くした方がいいという話ではなく、従来軽視されていた弱い結びつきが実は大きな働きをすることがあるという話です。つまり、強い結びつきは強い結びつきとして重要で、同様に弱い結びつきも重要だという話です。

 

中国の起業家たちは、この弱い結びつきと強い結びつきの扱いに非常に優れています。特にアリババの創業者、馬雲(マー・ユイン、ジャック・マー)は達人の域に達しています。

中国はもともと強い結びつきをベースにした国でした。親戚や地元の仲間です。いつも一緒に行動し、成功したリーダーは自分の服や腕時計、車を子分たちに譲ります。子分たちもリーダーの髪型や服装、行動を真似をします。側から見ると、同じような格好をした集団が歩いてくるように見えます。誰かが起業をすると言えば、親戚が出資をするというのがあたりまえのことでした。その代わり、成功をすると、出資者である親戚たちの面倒を一生見続けなければなりません。三国志に登場する劉備曹操孫権がまさにそのような強い結びつきの人たちでした。

一方、ジャック・マーを筆頭とするテック企業の起業家たちは、このような強い結びつきだけではなく、弱い結びつきも使って人生を切り開いていきました。ここが従来の起業家と大きく異なる点です。

 

今回は、グラノベッターの「弱い結びつきの強さ」理論とはどういうものであるかをご紹介し、さらにジャック・マーなどの中国の起業家が、この弱い結びつきをどのように活用したのかをご紹介します。難しい話はほとんどなく、読み物のような感じになると思いますので、お気軽にお読みください。

 

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