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若者はスーパーには行かない。店舗からデリバリーヘ。食料品、日用品小売の業態転換が静かに進行中

若者のスーパー離れが目立つようになっている。コロナ禍をきっかけに、食料品、日用品は買いに行くものではなく、届けてもらうものになりつつある。小規模スーパーは、デリバリー専門のダークストアに転換するところも現れていると深燃財経が報じた。

 

買い物に行かなくなっている若者

ある週末の昼、90后(90年代生まれ、20代)の小雨さんの家に、友人がきて、一緒に食事をとることになっていた。9時半に起きた小雨さんは、着替えてスーパーに行く時間を考えて、結局、デリバリーサービスを使い、近所のスーパーから野菜や肉、果物、飲料などを届けてもらった。29分で配達してくれるという。

若者はどんどんスーパーや菜市場に行かなくなっている。スーパーも、セールを開催している時を除けば、来店客はどんどん減っている。若者がスーパーに行かなくなっている。

 

トップ100社のうち62社が減収のスーパー業界

その影響でスーパーの業績も低下をしている。ユーロモニターの統計によると、中国のスーパーの市場規模は3兆元を超えているが、成長力は乏しくなっている。2018年から2021年までの年平均成長率は2.6%でしかなかった。特に大規模スーパーだけに限ると、年平均成長率は-0.4%になる。

中国チェーンストア経営協会が発表した「2021年中国スーパートップ100」ランキングによると、1位はウォルマート、2位は永輝(ヨンホイ)、3位は大潤発(ダールンファー)とおなじみの顔ぶれが並んだが、100社のうち62社が減収となり、減収企業は2020年の2倍近くになった。

▲中国チェーンストア経営協会が発表したスーパー100強のうちのトップ10社。全100社のうち62社が減収となった。

 

品揃えが変わり映えしない実店舗スーパー

北京市でネット企業に勤める辛昕さん(仮名)は、スーパーの愛好者だった。「毎週土曜日には必ずスーパーに行っていました。マイバッグを持って、商品を見ながら買うのが楽しみだったのです」。

いつもイヤホンをつけて、音楽を聴きながら、商品を見て買うのを楽しんでいた。「週に一度の息抜きと娯楽になっていました」。

しかし、今では、スーパーに行かなくなり、デリバリーを利用するようになっている。コロナ禍により外出を控えたい気持ちが働いたこともあるが、大きな理由はスーパーの品揃えが変わり映えがしないことだ。スーパーに毎週行っていた辛昕さんは、スーパーに並んでいる商品を覚えてしまい、どの商品がどこにあるのかもわかるほどになっていた。その一方で、新しい商品はほとんど陳列されない。スーパーに楽しみのために行っているのに、その楽しみが少ないのだ。一方で、デリバリープラットフォームを見ると、毎日のように知らない商品が表示される。辛昕さんは、毎週土曜日には自宅でデリバリーアプリに、息抜きと娯楽を求めるようになっていた。

最近、スーパーのレジに並んでいたら割り込みをされ、それでケンカになってしまった。その悪い体験以降、辛昕さんはスーパーにほとんど行かなくなってしまった。

▲典型的なスーパー店舗は、若者に刺さる店舗体験が提供できていない。品揃えが変わらず、新鮮な体験がなく、若者はしだいにスーパーに行かなくなっている。

 

デリバリー活用で商圏を広げるローソン

コンビニ「ローソン」は2018年からデリバリー企業「美団」(メイトワン)と提携をして、売上は10%増加した。しかし、重要なのはこのデリバリー注文をする人と従来からの来店客の重複率は10%以下であるということだ。つまり、店舗にくる人とデリバリー注文をする人は別の人であり、デリバリー対応で伸びた10%の売上は純増であるという点が重要だ。店舗にくる人がデリバリーに切り替えて、売上のカニバリズムが起きるのではなく、デリバリーという新しい販売チャネルを獲得することができた。

コンビニの場合、商圏というのは店舗から500mから1kmが限界で、意外に小さい。しかし、デリバリーの配達エリアは3kmから5kmであるため、新規出店をすることなく、より広い商圏を獲得できる。コンビニは点から面で市場をカバーできるようになる。

▲多くのスーパーがデリバリーに対応をし、デリバリー注文は盛況だ。個人経営のスーパーでは、店舗からダークストア方式に切り替えるところも現れている。

 

実店舗スーパーで失敗し、デリバリーで成功する一鳴さん

2021年、北京市に住む一鳴さん(仮名)は、北京市朝陽区に800平米のスーパーを開店した。開店に必要な費用は94万元ほどだった。しかし、客が入らず、商品が売れないため、生鮮品の鮮度が悪化をし、ますます売れなくなるという悪循環に入り、半年後、70万元以上の損を出して閉店をした。

閉店後も常連客のWeChatグループが生きていたため、常連客が住んでいるマンション近くに100平米ほどの倉庫を借り、そこに野菜や果物、日用品を運び、WeChatで注文をとり届けるビジネスを始めた。配達の範囲は半径600m程度だが、それ以上の距離の場合はデリバリー企業に依頼をする。スーパーよりも10%から20%は価格を安くできるので好調だった。

これがうまく行ったため、一鳴さんは倉庫を5か所まで増やし、1つの倉庫に4人を配置し、2人にWeChatのグループを管理させた。朝陽区の百子湾地区の1ヶ月の売上は17万元で、1万元から2万元が利益になるという。

店舗だけのスーパー、コンビニは中高年の顧客は確保しているものの、先細りであることが見えている。新しく若者層を取り込むことができないからだ。若者層は日用品ですらデリバリーを好むようになっている。スーパー、コンビニの業態変化が静かに進行している。