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中国茶カフェの新たな拡散アイテム。オリジナルバッグとグッズ。改造DIYも人気となり、大きな宣伝効果

ブームが終焉して経営が厳しくなっている中国茶カフェが、新たな拡散アイテムを発見した。ショッピングバッグやグッズで、その写真がSNSにあげられることで、集客に貢献していると中国飲品快報が報じた。

 

マーケティングツールとして注目されるショッピングバッグ

中国で乱立をする中国茶カフェ、コーヒーのカフェなどは、SNSでどれだけ拡散をし、多くの人の目に触れるかが大きなテーマになっている。そのため、どのチェーンもカップや店内インテリアのデザインを工夫をし、SNSにあげたくなる「映える」戦略をとっているが、それはどこのチェーンもしていることであり、その中で目立つのも簡単なことではなくなっている。

その中で、各チェーンが注目をしているのが「ショッピングバッグ」だ。それも、紙製のショッピングバッグがマーケティングツールとして有効であると認められ、各チェーンともユニークな紙製ショッピングバッグやグッズを開発している。

▲古茗が配布したガチョウの風船は、面白いアイテムとして持ち歩く人が増え、大きな宣伝効果をもたらした。

 

ガチョウの手提げ袋が大きな広告効果

きっかけとなったのは、6000店舗を展開する中国茶スタンド「古茗」(グーミン、GoodMe)が中秋節の間に限定配布をしたガチョウの手提げ袋だった。さらに空気を入れて飾れる室内グッズ、ストローなどもついて、39元以上の購入で、プレゼントをされた。これが大きな話題となった。

特に、ガチョウの風船は街を歩く女性が面白がって手に持ち、繁華街での広告効果が大きく、さらに、SNSでも広く拡散をした。ガチョウのバッグは布製のしっかりとしたつくりで、日常のエコバッグ代わりに使う人もいて、いまだに広告効果を発揮している。

▲古茗が配布をしたガチョウのグッズ。これが人気となり、街中でも持ち歩く人が現れ、大きな宣伝効果を発揮した。

▲話題になった古茗が配布したガチョウの風船。軽いため、窓などに貼り付けて飾りにすることができる。

 

ショッピングバッグの工芸コンテストも人気に

また、300店舗を展開する中国茶カフェ「楽楽茶」は、紙製のショッピングバッグを配布して、これも日常的に使われるようになっている。

さらに、大きかったのが、800店舗を展開する中国茶カフェ「奈雪的茶」が、今年2022年5月に、自社が配布する紙製のショッピングバッグのDIYコンテストをSNSで開催したことだ。ショッピングバッグを使ってさまざまな作品をつくってもらい投稿をしてもらうというものだ。

これが話題となり、カフェのショッピングバッグを改造して作品をつくることがちょっとしたブームになっている。

▲楽楽茶の紙製ショッピングバッグは、多くの女性が日常に使うバッグとして活用した。

▲喜茶がゲーム「原神」とコラボした時のカップやショッピングバッグを素材に使った工芸作品。

▲蜜雪氷城のショッピングバッグを使ったティッシュケース。

 

カフェのバッグで日用品をつくることがブームに

これがきっかけとなり、他のカフェのショッピングバッグを改造して日用品をつくり、SNSに投稿する人が続出している。

7200店舗を展開し、スターバックスを抜いたカフェ「瑞幸珈琲」(ルイシン、Luckin’ Coffee)は、SNS「小紅書」で、このような改造グッズを積極的に配信し、自分でもつくってSNSに投稿するファンが生まれている。

▲ラッキンコーヒーのカップやショッピングバッグを使った工芸作品。

 

カフェがねらう「5回の拡散」

カフェチェーンではSNSでの「5回の拡散」を設計することが常識になりつつある。

1次拡散:ドリンクを買った人がその写真をSNSにあげる

2次拡散:その写真に種草(商品タグをつけ、注文ページに誘導する)をつけてもらう

3次拡散:ショッピングバッグなどを改造した作品をSNSにあげる

4次拡散:改造の手法などを動画でSNSにあげる

5次拡散:改造作品の投稿に、店舗のリンクや種草をつけてもらう

 

ブームの終焉にともない、拡散手法が注目される

従来は、ドリンクの写真をSNSにあげてもらい、それを見た人が店舗にやってくるという1次拡散のみに頼っていた。それだけでも2019年頃までは大きな効果があり、店舗には長い行列ができることになった。

しかし、タピオカミルクティーのブームが一巡をすると、それだけでは拡散サイクルが回らなくなってきている。そこにこの紙製ショッピングバッグの改造が流行し、中国茶カフェは新たな拡散サイクルを確立しようとしている。