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SNSで世に出たパロディ絵画作家。挿絵画家から、広告でも使用される人気アーティストに

夏阿という挿絵画家の作品が話題になっている。SNSで発表することで人気となり拡散され、今ではアリババや京東などから広告制作の依頼がくる人気アーティストになったと有書知道が報じた。

 

ネットで拡散して有名になった挿絵画家

ある挿絵画家の作品が、ネットで話題になっている。「假画大師」とも呼ばれるが贋作作家ではない。中国画の手法で、古典に題材をとった絵を描くが、そこに現代的なユーモアを入れるため面白いと評判なのだ。

この30代の画家、夏阿(シャーア)の作品は、ネットで画像として拡散をし、人気となり、夏阿は作品の売れる人気画家となった。

▲夏阿の自画像。

 

記念撮影をする劉備関羽張飛の3人

夏阿の作品で最も有名なのは、三国志の桃園の誓いをモチーフにしたものだ。後に蜀を建国する劉備関羽張飛の3人が兄弟の契りを誓い合うという三国演義の冒頭の名場面だ。

夏阿の作品では、この三人の英雄がカメラマンを呼んで記念撮影をしている。しかも、現代の若い女性がしがちなポーズをしているところが、愛らしく、人気となった。

▲夏阿を有名にした「桃園の誓い」。

 

蕭何、月下に韓信を追う

また、「蕭何、月下に韓信を追う」の故事を題材にした作品も話題になった。韓信は、後に漢を立てる劉邦の元で頭角を表した英雄の一人だ。当初、劉邦のライバルである項羽の元にいたがまったく評価をしてもらえず、劉邦の元に走ったが、そこでも評価をしてもらえない。唯一評価をしてくれたのが、劉邦の片腕である蕭何だった。韓信はいつまで経っても重要な役職を与えられないことを嘆き、深夜に逃亡をしてしまう。蕭何はこれに驚いた。劉邦が天下を取るには、韓信の才能が絶対に必要だと考えていたからだ。

あわてた蕭何は韓信を追いかけ、追いついて、「今度、韓信が評価されなかったら、私も漢を去る」とまで言って、連れ戻した。蕭何は、韓信のことを国士無双だと言って劉邦に推薦し、「あなたが漢中の王として一生を終えるなら韓信は必要ないが、漢中を出て天下を取るには韓信が不可欠だ」と言って推挙をした。劉邦は半信半疑で上将軍に就けたが、ここから劉邦の天下取りが始まっていく。

夏阿の手にかかると、自転車に乗って逃げる韓信を自転車で追いかける蕭何の図となる。

▲「蕭何、月下に韓信を追う」の故事を現代的にアレンジをした作品。

 

たった20騎で曹操軍に対峙した長坂坡の戦い

長坂坡の戦いをモチーフにした作品も有名だ。三国演義の中で、劉備曹操軍に攻められ、敗走をしたことがある。妻を失い、嫡男も失いかけるという大敗走だ。この時、しんがりを務めたのが張飛で、長坂付近の川にかかっている橋を切り落とし、追撃軍の前に仁王立ちになり、わずか20騎で対峙した。数万とも言われる追撃軍は、その姿に恐れをなし、また伏兵がいる罠であることを不安に思い、手出しをすることができず、足止めをされてしまった。これにより、劉備は逃げることができた。

これも夏阿の作品になると、張飛がショベルカーに乗り橋を壊そうとしている図になる。

三国志の名場面のひとつ、長坂坡の戦い。

 

SNSで拡散したことが人生を変えた

夏阿はこのような作品をSNSなどで公開をしていて、販売をしているわけではない。しかし、40万人のファンを獲得したことで、アリババや京東などから広告使用のオファーがくるようになった。現在では、アーティストとして活動をしている。SNSがなければ、夏阿は挿絵画家を続けていくしかなかったはずで、インターネットがさまざまな人の人生を変えることになっている。

▲アリババの創業者、ジャック・マーもモチーフにされている。

諸葛孔明をモチーフにした作品。孔明があらゆることを見渡せるのは、ネットで調べていたからだというもの。

三国志の名場面のひとつ、劉備関羽張飛の3人が、赤兎馬に乗った呂布と戦う場面。