AIの小龍と呼ばれるAIトップ企業のひとつ商湯科技が子ども向けの将棋対戦ロボットを発売した。AIの小龍と呼ばれる4つの企業は、いずれも技術力は頭抜けているもののビジネス化の力が弱く、経営に苦労をしていた。消費者向け製品を開発することで、経営を安定させ、さらなる技術開発に集中しようとしていると光明日報が報じた。
AIの4つの小龍。ビジネス力に課題
中国には「AIの4つの小龍」と呼ばれる企業が存在する。いずれもAI技術が突出をした企業で、「曠視科技」(MEGVII)、「依図科技」、「雲従科技」(クラウドウォーク)、「商湯科技」(センスタイム)の4社だ。
このうちのセンスタイムは、香港中文大学のメンバーが中心になって創業された企業だ。コンピュータービジョン、ディープラーニングの分野で高い技術を持ち、スマートフォンメーカーに画像認識技術を提供するだけでなく、公共や企業向けに防犯カメラの画像解析技術を提供している。
4つの小龍に共通をしているのが、稼ぐ力が不足していることだ。法人にAI技術、ソリューションを提供しているものの、開発経費がかかるために黒字化に苦労をしている。さらにtoBの法人ビジネスであるために、ヒット商品が出て、爆発的に売上があがるということもない。4つの小龍は、その技術力が評価されながらも、toCの消費者向けビジネスに進出をして、稼ぐ力を高めることが必要だと見られていた。
子どもと将棋を対戦するロボットを発売
そのセンスタイムが、子ども向けの中国将棋ロボット「元夢卜SenseRobot」を発売した。「元夢卜」(ユエンルオボ)は、センスタイムが設立した新しいブランドだ。
このロボットは、子どもと将棋を指すことができる。リアルな将棋盤を挟み、ロボットは次の手を考えるだけでなく、アームを使ってコマを移動させる。ゲームを始める時は、ロボットはちゃんとコマを初期位置に揃えてくれる。ただし、時間はかかるため、人もロボットと一緒にコマを揃えることになる。
ロボットアームはコマを磁力で持ち上げて移動させるため、万が一子どもの手がコマとアームの間に挟まれても、ケガをしないようになっている。
将棋のコーチもしてくれるロボット
また、ただ中国将棋を指すだけでなく、指導モードもあり、人間が打った手を評価し、音声でコメントしてくれる機能もある。さらに、中国象棋協会と提携をし、初心者に一から教えるモードや、16級から13級までの認定試験を行うモードもあり、この認定試験に合格をすると、公式の級として中国象棋協会から認定されるようになっている。
さらに、終局から打てる詰将棋のようなトレーニングモードも備えられている。
▲科学系、デジタル系のメディア、配信主も注目をして、紹介動画が拡散している。
アプリではできない教育効果
同じことは、スマートフォンのアプリなどでも可能だが、子どもに対する教育効果はまったく違うという。ロボットと専用将棋盤は分離が可能であるため、ロボットとの対局の途中から人間同士で対局することや、人間の対局の途中からロボットと対局するというようなことができる。
専門家によると、実際の将棋盤を使って、実際のコマを手を使って動かすことで、より深い思考力を身につけることができ、集中力も高まるという。
16級から15級までの認定試験が内蔵された標準版が1999元、13級までの認定試験が内蔵されたPRO版が2499元(約5万円)で発売されている。