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ケンタッキーフライドチキンが寺院を建立?話題になるKFCのユニークな店舗たち

KFCが珠海市に寺院を建立したと話題になっている。寺院風の店舗だが、その再現度の高さから集客にもつながっている。KFCはユニークな店舗を各地につくることで集客につながっていると三個設計師が報じた。

 

中国になじむ努力を続けたKFC

ケンタッキーフライドチキン(KFC)は、中国で最も成功したファストフードチェーンだ。1987年という早い時期に、北京市前門に1号店を開設して以来、中国全土に約3000店を展開している。

そもそもがフライドチキンそのものが、味付けは大きく異なるものの調理法としては中華と通じるものがあった。そのため、変わった味付けの中華料理と捉える人もいて、中国人には馴染みやすかった。

さらには牛肉粥や油条、四川風の辛い味付けの鶏肉飯など中華メニューも充実している。子どもたちはハンバーガーやチキン、ソフトクリームを食べ、大人は中華風メニューを食べることができ、ファミリーで行くことができ、さらには間食にも食事にも利用できる。積極的に中国化をすることで、中国人消費者の間に浸透をしてきた。

▲1987年のKFC1号店の開店セレモニー。当時は「米国式田舎鶏」という触れ込みだった。調理法は中華だが、味は新鮮ということから、瞬く間に受け入れられていく。

▲ケンタッキーは中華メニューも豊富。親はこのような中華メニューを食べ、子供はチキンやハンバーガーを食べることでファミリーで行けるファストフードになっている。また、食事としても間食としても楽しめるため、非常に人気がある。

 

テクノロジーにも積極的に取り組むKFC

さらに、KFCはマーケティングにも力を入れており、アニメやゲームとのコラボもたびたび行わる。

さらには先端テクノロジーを取り入れることにも積極的だ。2017年にはアリババと共同で、顔認証だけで食事ができる有機レストラン「KPro」を開店している。また、会員カードを磁気カードからスマホ化をしたのも早く、いち早くARを取り入れたゲームによるキャンペーンなども行っている。また、ドローン配送、無人カート配送などにも積極的に取り組んでいる。

西洋のファストフードでありながら、味はどこか中華風であり中高年の心をつかみ、テクノロジーを活用したプロモーションで若い世代を取り込んできた。

杭州市の開店したKPro。アリババと提携して、アリペイ顔認証だけで購入、注文ができるレストランとして話題になった。2017年という早い時期で、顔認証決済そのものがまだ珍しかった時代だ。

▲KFCと天猫が行ったARキャンペーン。スマホカメラで覗くと、天猫のキャラクターが見えるので、これを捕まえるとポイントが貯まるというもの。

 

寺院を建立したKFC

そのKFCが寺院をつくったと話題になっている。もちろん、本物の寺院ではなく、珠海市香山湖公園店で、寺院を模した店舗。しかし、その出来が精巧すぎて、寺院を買い取ってKFCが店舗を開いたかのようだ。周辺には中国庭園まで広がっている。

▲珠海市香山湖公園店。寺院の中に出店したのではなく、新たな店舗として建てた。その精巧ぶりが話題になっている。本物の寺院だと勘違いをして、参拝をする人もいる。

 

次々とSNSで紹介されるユニークなKFC店舗

この香山湖公園店が話題になると、SNSでは寺院だけではないと、全国のKFCファンがご当地店舗を次々と紹介する事態になり、それがまた話題を呼んでいる。

その中でも、多くの人の目を引いたのが、内モンゴル自治区のオルドス響沙湾店。モンゴル独特のパオの形をしている。

内モンゴル自治区のオルドス響沙湾店。パオの形をしている。風が吹くとほんとうに砂嵐に襲われる。

 

また、江蘇省蘇州市の中国獅子森林花園店は、近隣の蘇州の建築に合わせたデザインになっている。

蘇州市の中国獅子森林花園店。近隣の庭園建築に合わせた外観になっている。

 

西安市大雁塔北広場店では、陝西歴史博物館の協力により、唐時代の建築を模したデザインになっている。

陝西省西安市の大雁塔店。古都らしく、中国の伝統建築の風格を取り入れている。

 

この他、アニメ、ゲームなどとのコラボ店舗は随時開いている。上海マンハッタン店ではグーグルとのコラボ店も開かれた。

上海市マンハッタン店では、グーグルとのコラボが行われた。

 

ユニークな店舗が集客につながっている

このようなユニークなデザインのKFCは、スマホの撮影地としても人気が出ている。自撮り写真を撮り、SNSにアップする、いわゆる「映える場所」になり、集客にも大きな効果をあげているという。

KFCが中国で人気を得ているのは、美味しいということがいちばん大きな理由だが、このようなプロモーション上の工夫を積極的に行なっていることも大きい。