テンセントが開催したSFイベントに、「三体」作者の劉慈欣が出席をして話題になっている。多くの人が注目しているのが「三体」の映画化とゲーム化がどのように進むのかということだ。テンセントが行うという見方が強まっていると龍loongが報じた。
「三体」の作家がテンセントと急接近
中国SF作家、劉慈欣(リュー・ツーシン)が著した「三体」は世界的なヒットとなった。2006年から中国のSF雑誌「科幻世界」に連載され、2008年に出版。さらに、2014年に英訳が出版されると、ネビュラ賞やヒューゴー賞など国際的なSF小説の賞を受賞した。米国の映画監督ジェームズ・キャメロンは、劉慈欣との会見で愛読者であることを明かすなど、映画化、ゲーム化が誰が行い、どのように進むのかも話題になっている。
テンセント傘下の「騰訊互動娯楽」(テンセントインタラクティブエンターテイメント)は、SF映画とSFゲームに関するイベントを開催し、劉慈欣が出席をしたことから、テンセントによって映画化とゲーム化が行われるのではないかと囁かれ始めている。
劉慈欣がゲーム用に書き下ろした9000字の脚本
劉慈欣は、テンセントとコラボをするために、新作の小説「雷霆戦機」を書き下ろした。
テンセントと劉慈欣の結びつきは古い。劉慈欣が「三体」を連載している最中で、話題にはなっていたが、まだ今日にようには有名でない頃、テンセントは社内セミナーに劉慈欣を招いた。当時、劉慈欣はテンセントのことをよく知らず、SNS「WeChat」を運営している会社ぐらいの認識しかなかった。
「三体」が書籍として出版されると、テンセントの創業者の馬化騰(マー・ホワタン、ポニー・マー)は、自ら劉慈欣に連絡を取り、小説をどのようにゲーム化するかについて複数回にわたって議論をしたという。
しかし、壮大な物語である「三体」をゲーム化するのは難しいという結論に達した。そこで、劉慈欣はゲーム化されることを前提とした脚本「雷霆戦機」を執筆した。9000字余りの短編だが、科学の発展が皮肉にも悪意のある異星人の発見につながるというストーリーで、劉慈欣の世界観が反映されている。「ゲームと小説はまったく違うものですが、共通しているのは想像力です。ですので、SFを魅力をじゅうぶんに伝えられると感じました」と、劉慈欣は述べている。
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▲雷霆戦機の公式プロモーションビデオ。劉慈欣自身が出演して、ゲームの世界観を語っている。
劉慈欣は「三体」のゲーム化に意欲
劉慈欣自身は、映画化よりもゲーム化に意欲を持っているようだ。映画の特殊効果も技術があがってきているが、ゲームの方がより魅力があふれるものが作れると感じている。
ネットでは批判的な意見や残念がる意見もある。「三体」の世界観に夢中になっていて、安易に映画化やゲーム化に走ってほしくないと感じている人たちの声だ。しかし、劉慈欣自身は、自分の世界観を表現するのに、小説だけではなく、映画やゲームの特殊効果を利用することで、より伝えられるようになると考えているという。
しかし、壮大な「三体」の映画化、ゲーム化は簡単ではない。小説の熱狂的なファンが世界中にいるため、中途半端なことをすれば批判にさらされることになる。すでに「三体」は、作者の劉慈欣の手を離れ、多くの愛読者の所有物になっている。映画版「三体」、ゲーム版「三体」に触れらるのはもう少し先のことになりそうだ。