中華IT最新事情

中国を中心にしたアジアのテック最新事情

わずか9年でグローバル企業に成長したバイトダンスの17の小さなストーリー(下)

わずか9年で、北京の知春路のマンションからグローバル企業に成長したバイトダンスの公式アカウント「「字節范児」(バイトダンサー)が、創業9周年を記念して、17の小さなストーリーを公開している。

 

わずか9年で、マンションの一室からグローバル企業に

北京市の知春路のマンションからスタートした字節跳動(ズージエティアオドン、バイトダンス)は、ニュースキュレーションアプリ「今日頭条」、ショートムービー「抖音」(ドウイン、TikTok)などの成功で、わずか9年で、世界200都市に270ヶ所のオフィスを持つまでに急成長した。

そのバイトダンスの、WeChat公式アカウント「字節范児」(バイトダンサー)が、創業から現在までの17の小さな物語を公開している。

 

最初の広告

2013年、バイトダンスは最初の広告主を獲得した。ミネラルウォーターを販売している怡宝だった。そのため、バイトダンスは怡宝のミネラルウォーターを購入して、社員に提供している。

国美電器の北太平庄店は、最初の位置情報を利用した広告主となった。北太平庄店から5km以内にいるユーザーだけに広告を配信をしたのだ。

このような広告システムは当時まだなく、広告のたびにコードを書く必要があった。これが今日頭条やTikTokの広告システムの元になっている。

f:id:tamakino:20210512112025j:plain

▲バイトダンスの最初の広告主は、ミネラルウォーターの怡宝。それ以来、バイトダンスは社内で怡宝のミネラルウォーターを使っている。

 

最初の利用者からのフィードバック

バイトダンスでは自分たちが作るプロダクトが最高だとは思っていない。そのため、利用者からのフィードバックを重要視している。2013年9月、今日頭条は最初のフィードバックをもらった。「今日頭条アプリを開いたときには、新しいニュースを読みたいのに、以前開いた時の画面が表示されていた。それがアップデートをしたら、開いたらすぐに最新のニュースが表示されるようになっていた。ありがとうございます」というものだった。

 

最初のリクルート活動

2014年の夏から秋にかけて、バイトダンスは各大学に出向き、企業紹介をするリクルート活動を初めて行なった。それは、ある投資機関が主催したもので、数十社が共同で行うものだった。

翌年にも参加を打診されたが、バイトダンスはすでに成長していて独自でリクルート活動を行えるようになっていため、2年目から単独でリクルート活動を行うようになった。現在では、年間を通してリクルート活動を行い、毎年数千名のインターン実習生を受け入れている。優秀な学生を集め、バイトダンスに新しい風を入れる重要な業務になっている。

 

最初の創作者

2014年初め、今日頭条の創作者アカウント「頭条号」の第1号に、「郝聞郝看」が登録をした。今日頭条の中で、ニュース解説やコラムを発表する創作者だ。頭条号は当初、なり手が少なく、社員は自分の知り合いなどに「人工知能によるリコメンドとはなにか」「今日頭条とはどのようなサービスか」というところから説明して、誘いをかけた。このような努力により、頭条号は軌道に乗ることができ、現在では多くの人が文章を発表している。

f:id:tamakino:20210512111957p:plain

 

最初の創作者大会

2015年9月、バイトダンスは最初の頭条号の創作者大会を開催した。この時のことを創業者の張一鳴はよく覚えている。「かなり大きな会場を準備したのですが、会場の前には大量の創作者が押し寄せました。慌てて、第2会場を用意したのです」。これをきっかけに、今日頭条はニュースをシェアする場所から、ニュース解説や意見表明などの創作をする場所にもなっていった。

 

最初の振り返りミーティング

2015年12月に最初の「バイトダンス面対面」を実施した。これは創業者の張一鳴が社員と対面をして、2ヶ月間の目標と達成度、そして次の2ヶ月の計画を発表するものだ。

バイトダンスがまだ数十人の頃、毎週金曜日に「金曜茶会」を行なっていた。1週間の業務を振り返り、重要事項について話し合うミーティングだ。これが現在の「面対面」の元になっている。

 

最初の海外オフィス

2017年10月末、スタッフが東京行きの飛行機に乗り、バイトダンスの最初の海外オフィスとなる物件を探した。22の候補の中から選んだのは、新宿にある三角形のビル「新宿住友ビル」だった。最初は三角形のビルの一辺に並ぶようにして仕事をしていたが、すぐに業務が拡大し、結局、ワンフロアをまるまる借りることになった。現在、世界中の30の国、200の都市に270ヶ所のオフィスがある。

 

最初のリモートワークツール

バイトダンスが使っているリモートワークツール「飛書」(フェイシュー)は、2017年12月にリリースされた。それまで既存のリモートワークツールを使っていたが、数万人の社員の要求を満たすことができず、自分たちで開発をした。飛書はバイトダンス内部のリモートワークツールとしてだけでなく、現在では多くの企業で採用されている。バイトダンスでは、1年間に数千万件の書類が飛書でやりとりされ、もし仮にこれをA4用紙に印刷していたとしたら、その高さはチョモランマの海抜に等しくなる。

f:id:tamakino:20210512112008p:plain

 

最初の公益プロジェクト

2016年の春節、今日頭条資訊センターは、失踪した老人を家に返すプロジェクト「頭条尋人」プロジェクトを始めた。

バイトダンスが社会貢献を考えた時、既存の考え方を捨て、バイトダンスの理念に従うことにした。それは「とにかくやろう、やってみれば問題解決の方法は見つかる」というものだ。それから5年、1万5346の家庭の家族の団欒を取り戻し、バイトダンスは交易活動の幅をさらに広げている。

 

最初のバイトダンス基金

新型コロナの感染拡大が始まり、医療関係者が前線に赴く中で、バイトダンスは自分たちに何ができるかを考えた。2020年1月25日、バイトダンスは「中国赤十字基金会バイトダンス医療従事者人道支援基金」を設立し、総額は4.46億元(約74億円)になった。1年間で、前線で働く医療スタッフ3735人を支援した。

 

最初の本格的なリモートワーク

2020年春節、新型コロナの感染拡大を受けて、大規模なリモートワークを始めた。しかし、社員からは「洗濯機の上でコードを書いた」「タンスをデスク代わりにした」などの声が聞こえてきた。しかし、それは、「在宅勤務の不満」ではなく、各自の創意工夫として共有された。バイトダンスでは、自主性と高効率を実現することが奨励されている。

さらに、リモートワークツール「飛書」があったため、社員はリモートでの働き方にすぐに慣れることができた。

f:id:tamakino:20210512112017p:plain