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北京の市営マンションが顔認証を採用。住民の安全だけではない、その目的

北京市の公共住宅が顔認証ゲートを導入し始めている。外部の人間が簡単に出入りできないため、住民の安全を確保できるが、もうひとつの目的は、契約者以外に又貸しするなどの不正を防止することであると新華網が報じた。

 

すべての公共住宅で顔認証ゲートを導入

北京市保障性住宅建設投資センターは、2018年12月27日より、北京市の公共住宅で顔認証ゲートの運用を開始したと公表した。すでに一部の住宅の入り口に顔認証ゲートが設置され、運用が始まっている。センターでは、2019年6月までに、すべての公共住宅で顔認証を導入する予定だという。

顔認証ゲートを運用するには、住民全員の顔データの収集が必要になる。契約者だけでなく、家族などの同居人の顔データも必要で、すでに入居者10万人以上の顔データを収集ずみだ。

顔認証ゲートは、集合住宅の入り口のところに設置され、登録済みの入居者には対しては自動的にゲートが開くが、訪問者に対してはゲートが開かない。管理人に連絡をし、訪問目的を告げた後にゲートを開けてもらう必要がある。見知らぬ人が勝手に入ることができないため、住民の安全が守られることになる。

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▲公共住宅に設置された顔認証ゲート。契約者は通過するだけで顔認証されるが、登録者以外の人が通過しようとするとゲートが閉じる。

 

又貸し不正が横行する公共住宅

しかし、この顔認証ゲートには、住民の安全以外にもうひとつの目的がある。北京市保障性住宅建設投資センターの王磊党委員会副書記は、「顔認証システムのもうひとつの目的は公共住宅の又貸しを防止して、社会資源を公平に利用する防火壁にすることです」と語った。

公共住宅は、立地がよく家賃が安いために誰もが利用したいと考える。すでに自分の家がある人であっても公共住宅を申し込み、上乗せした家賃で又貸しをして利益を得るケースが後を絶たない。規定によると、又貸し、又借りが発覚すると、5年間は公共住宅への申し込みができなくなるが、現実には又貸しが発覚することは稀であるために、公共資源の公平な利用の妨げになっていた。

顔認証システムには、契約者と同居者の顔データが登録されるため、又借りをした人は入れなくなり、このような不正を防ぐ効果がある。

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▲顔認証ゲートの状況はセンターで一括管理され、契約者以外の出入りを監視している。

 

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▲公共住宅の掲示に「又貸し、又借り、仲介の禁止」と書かなければならならないほど不正行為が広がってしまった。顔認証ゲートに登録ができるのは契約者のみなので、このような不正が一掃できると期待されている。

 

中国でも問題化し始めた独居老人問題

さらに、入居者の出入り履歴のデータも取得できるため、契約者が実際には使用していないという状況把握も可能になる。

また、中国でも独居老人の問題がクローズアップされつつあり、独居老人がゲートを通らない、つまり外に出ていないことも出入り記録から把握ができ、老人福祉にも寄与するという。

顔認証ゲートは、学生寮オフィスビルなどでも採用されし始めている。管理人が人力で、出入りする人の確認をするのは限界もあるため、顔認証ゲートは今後も拡大していくと見られている。

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▲中国の各都市では、住宅不足が大きな課題になっているため、高層住宅が次々と建設されている。家賃は1平米あたり40元前後と周辺相場の1/3から1/2程度。