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低俗と言われてもやめなかった椰樹集団のライブコマース。今では大人気に

ココナッツジュースの老舗「椰樹集団」がライブコマースを行ったところ、多くの人から女性の性を商品化している、低俗だという批判を受けることになった。しかし、椰樹集団はそのテイストを変えず、続けたところ、今では多くの人に受け入れられるようになったと首席商業知慧が報じた。

 

レトロなパッケージのココナッツジュース「椰樹椰汁」

中国で有名な飲料「椰樹椰汁」(イエシュー)。中身はさっぱり味のココナッツジュースで、子どもから大人まで飲まれている。1998年創業で、もはや定着をしているジュースのひとつだ。椰樹では昔から広告に女性を起用してきた。身体の線が見えるぴったりとしたアオザイを着た女性が体をくねらせて椰樹の缶を持っているというもので、なんとも言えないレトロ感がある。

サイトのデザインもレトロ感がある。製品のパッケージにもレトロ感がある。

▲椰樹集団の元々の広告は、南国をイメージする女性が謎のポーズを取っているというもの。このポーズを見れば、誰もが椰樹集団だとわかるようにまでなっている。

▲椰樹椰汁。中身はさっぱり味のココナッツジュースで、夏場の飲み物としては美味しく、冬はホットでも飲むことができる。

 

ライブコマースで顰蹙を買い炎上する

この椰樹が202210月にライブコマースに進出をした。その時、使ったビジュアルが、ピチピチのノースリーブシャツにショートパンツの美女が集団で、単純なダンスを繰り返すというもので、これが炎上をした。

椰樹としては以前からこういうテイストでプロモーション活動を行なっていて、そのままライブコマースでも使っただけなのだが、「性的表現としてギリギリだ」「女性を商品として扱っている」という批判が寄せられ、「低俗だ」とする声が多かった。ライブコマースを配信しているショートムービープラットフォーム「抖音」(ドウイン)にも苦情が殺到し、ライブコマースが一時中断される事態にまでなった。

性的表現がギリギリというわけではない。露出度だけで言えば、もっと過激な映像が抖音にもいくらでもある。しかしながら、踊りもクラシックなもので、登場する美女の化粧の仕方もレトロで、なんとなく大昔のキャバレーやカラオケを想像させる。見ていて、女性が商品として扱われている感じがして、確かにもやもやするところがある。

しばらくはこのプロモーションを続けていたが、あまりに批判的な声があるために女性に今風のトレーニングウェアを着させるなどの修正を行なっていった。

▲椰樹集団の初期のライブコマース。女性が延々踊り続けるというもので、低俗だという苦情が相次いだ。

▲椰樹集団の養成学校の生徒募集広告。安くない給料がもらえ、「車と家と高給で、美男美女があなたを追いかける」というコピー。

 

女性がダメなら男性を登場させる

20233月になって、事件が起こる。椰樹はライブコマースで、女性だけでなく、筋肉ムキムキの男性チームも登場させ、男女混合で踊らせたのだ。

これが大受けとなった。男女混合で踊らせているのだから、「女性の性の商品化だ」という批判は通用しなくなる。「女性の性を商品化していると批判がございますので、平等に男性の性の商品化も行いました」と開き直っている感じもする。案の定、SNSでは、パッケージの女性の不思議なポーズを真似た自撮り写真をあげる人が増加した。

観客を入れたライブコマースでは、多くのファンが集まるようになった。女性ダンサーも男性ダンサーも人気となり、みんな一緒に写真を撮りたがるのだ。低俗と言われ、女性の性を商品化していると言われ、フェミニズムが叫ばれる現代で、椰樹は昔からやってきている自分たちテイストのプロモーションを貫いたところ、受け入れてもらうことができた。

▲女性の性の商品化だという批判を受けた椰樹集団は、男性ダンサーも起用することで、自分たちのテイストを維持した。

▲椰樹集団のライブコマース担当者は、メディアの取材に「平等に尊重しています。美しさを尊重しています」と答えた。

 

再び成長をし始めた椰樹集団

椰樹集団は、2024年の社内仕事始めで、2023年の総販売量は前年同期比10.26%70万トン、売上は3.08%増の50億元以上にまで増加したことを発表した。さらに、20241月の売上は、前年度同期比20%以上増加するなど好調が続いている。

2023年、椰樹は抖音で114回のライブ配信を行い、そのうち99回で商品を販売した。平均視聴者数は28万人、総売り上げは50万元から75万元程度だと推定されている。

独自のセンスと独自のプロモーションで、定番商品だった椰汁が再び注目され、販売も上向きになっている。

▲2013年以降、他の飲料が登場し、昔ながらの椰樹の売上は伸び悩んでいた。しかし、ライブコマースを始めた2022年以降、営業収入が再び増加をし始めた。

▲観客を入れたライブコマースを行うと、ファンが集まり、ダンサーは異常な人気ぶりとなる。