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交通信号に引っかからない推奨速度を表示してくれるカーナビアプリ。渋滞解消の決め手になるか

アリババ系の地図アプリ「高徳地図」がグリーンライトナビゲーションの機能を搭載した。表示される推奨速度で走行すると、次の信号で止まらずに走り抜けられるというものだ。多くの人が利用することで、渋滞解消にも寄与すると新華網が報じた。

 

緑の波を教えてくれるカーナビアプリ

アリババ系の地図アプリ「高徳地図」(ガオダー)は、約360都市で「グリーンライトナビゲーション」の機能の提供を始めた。

高徳地図をカーナビとして使用している時、左上に現在の時速とともに、推奨時速が表示される。この推奨時速で走行すると、次の信号を青でうまく通過できるというものだ。この機能をうまく使うと、信号に引っかからずに進むことができ、運転が楽になるだけでなく、多くの人が利用することで、交通渋滞も解消ができる。

▲通常のカーナビ画面だが、対応地域(大都市の90%の路線)の走行中は、左上に推奨速度が表示される。この図では、推奨速度が25kmから60kmで、現在29kmで走っていることが表示されている。

 

交通信号をネットワーク化し連動させて運用する

車の速度を調整して、青信号で通過させるというアイディアは「グリーンウェーブ」と呼ばれ、交通渋滞の解消や緊急車両の到着時間の短縮などに活用をされている。

幹線道路などで、一定の推奨速度、例えば時速50kmで走行すると、青信号が連続するように信号の明滅時間を設定する静的なグリーウェーブは古くから世界各国で採用され、日本でも幹線道路で採用をされている。

しかし、交通渋滞の激しい中国の大都市では、このような静的なグリーンウェーブはほとんど役に立たない。なぜなら、交差点によって渋滞の状況が大きく異なるために、交差点ごとに状況を感知して明滅時間を動的に調整する必要があるからだ。交通監視カメラから直交する2つの道路の渋滞度を割り出し、渋滞を解消するように信号の明滅時間を調整する。

杭州市では、交通信号をネットワーク化し、交差点という点ではなく、杭州市中心部全体という面で機械学習をし、自動的に信号明滅時間を調整することで、渋滞の解消に成功をしている。ここでも、アリババのクラウドシステム「城市大脳」(City Brain)が活用されている。

 

交通信号データをAPI化して公開

ここまで大がかりなことはできなくても、各都市は、交通信号のネットワーク化を進めている。例えば、山東省煙台市では、市内の235路線の交通信号をネットワーク化し、明滅時間の自動調整+手動調整を行っているだけでなく、API化をし、高徳地図などの地図アプリに開放をしている。

このようなネットワーク化率は、二線都市までの大都市では90%を超えている。高徳地図のグリーンライトナビゲーションは、このような360都市の交通信号APIからデータを取得し、自動車の現在位置から青信号に間に合う速度を計算し、利用者に提示をしている。

▲こちらでは、推奨速度が50-55kmで、現在50kmで走行している。推奨速度で走行すると、次の信号を青で通り抜けることができる。

 

大都市の90%の路線で利用できるグリーンライトナビゲーション

もちろん、地方都市などで交通信号のネットワーク化、API化が進んでいない地域では利用することはできない。高徳地図では、グリーンライトナビゲーションが利用できる地域に入ると、自動的に推奨速度が表示される仕組みになっている。

また、渋滞などが起こり、推奨速度で走れない場合もある。しかし、交通渋滞や交通事故は、速度差のある車が混在して走行している時に発生する確率が高くなる。多くの人がこのグリーンライトナビゲーションを利用することで、安全な速度で全員が走るようになり、なおかつ到着時間が短縮され、さらに運転のイライラも起こらなくなる。

多くの人が利用をすれば、交通状況は大きく改善されることになる。