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スマホを振ると、注文したライドシェアの車がフラッシュをする。ライドシェアの難点を解消した曹操出行

ライドシェアはスマホで呼ぶことができ、タクシーよりも利便性が高くなっているが、難点は自分の注文した車がどれなのかがわかりづらいことだ。曹操出行は、スマホを振ると車のヘッドライトがフラッシュする「智能灯語」の機能を実装して、この問題を解決したと大河報が報じた。

 

質が向上しているライドシェア

中国ではもはやタクシーよりもライドシェアを利用する人が多い。ライドシェアと言っても、ぼろぼろの自家用車を持ち込んでいるような人は少ない。相互評価の仕組みがあり、低評価をつけられると、乗客が回ってこなくなるからだ。ある程度のグレードの車を使い、車内の清掃もきちんとやる。そうしないとすぐに乗客を回してもらえなくなる。

また、以前起きたような運転手による犯罪の不安も、今は多くの人が気にしていない。痛ましい事件が起きた後、多くのプラットフォームが運転手の身元確認を厳格化するようになり、顔認証で本人確認をしないと乗務ができないようにしているプラットフォームもある。

タクシーも同じプラットフォームの中から呼び出せるが、ライドシェアの方が価格が安い。タクシーは、辺鄙な場所にいて、ライドシェアの待ち時間が長い時ぐらいしか使わなくなっている。

▲現在地と目的地を入力すると、さまざまな価格のライドシェア、タクシーが一覧表示さっる。価格はあくまでも推定だが、ほぼこの価格通りになる。「拼車」(相乗り)にするとさらに安くなる。

 

注文した車を見つけるのが難しいライドシェア

ただし、ライドシェアには大きな問題がひとつある。それは予約をした車をどうやって見つけるかという問題だ。タクシーの場合は、駅や空港などの大きな施設ではタクシー乗り場が整備されている。街中で空車を見かけた時は、手を挙げれば止まってくれる。しかし、ライドシェアの場合は、スマートフォンで予約をした車を見つけなければならない。これがかなり面倒になる。

自分が待っている場所は予約時に位置情報として運転手に伝えられるが、大きな施設付近では、測位衛星の信号が乱れて、必ずしも正しい位置が伝えられるとは限らない。位置情報が数十mずれただけでも、どの車が自分が予約した車なのか探すのは簡単ではなくなる。

このような場合、運転手と通話をして位置を確認し合うが、言葉で細かい場所を伝えるというのは意外に難しい。特に旅行や出張で知らない街にきた時は、地元の運転手にとってわかりやすく伝えるのは難しく、出会うまでに手間取るというのはライドシェアあるあるになっている。

ようやく出会えると、運転手が電話番号の下4桁を尋ねてくるので、それを告げることで、お互いに正しい相手であることを確認し、乗車し、あらかじめ指定してある目的地に向かって出発することができる。

 

スマホを振ると、車のライトがフラッシュする

ライドシェアプラットフォームである「曹操出行」(ツァオツァオ)は、この問題を解決するために、予約アプリ、ミニプログラムに「智能灯語」と呼ばれる機能を実装した。この機能は、現在、専用車とプレミアム車に搭載されている。

この機能は実にシンプルだ。自動車が到着したというプッシュ通知を受けたら、スマホを振る。すると、それが信号となって、予約した車のヘッドライトが2回フラッシュするというものだ。これで、自分の車がすぐに見つけることができる。

▲ライドシェアの車が待ち合わせ場所に到着すると、この表示が出る。スマホを振ると、車のヘッドライトがフラッシュして、すぐに見つけることができる。

 

アプリからエアコンの温度も調整できる

曹操出行はこのような乗客に向けたサービスに力を入れている。例えば、専用車では、乗客が自分のスマートフォンから、車内のエアコンの温度や風量を変えられる機能がある。また、ワンタップで60秒間で車内の空気をすべて入れ替えることができる機能も用意されている。

ライドシェアはタクシーよりも安いのが相場になっているが、原理的にはタクシーもライドシェアもかかるコストは変わらない。つまり、ライドシェアは利益率が非常に低いビジネスになっており、薄利多売をしなければ利益を出すことができない。そこで、各プラットフォームが力を入れているのが専用車だ。専用車はタクシーよりも高くなるが、ハイヤーレベルのサービスが提供される。ここに力を入れることで、ライドシェアは利益率を高めようとしている。その中で、曹操出行は乗客が自分のスマートフォンから、車のさまざまな操作、設定ができるインテリジェント機能を開発している。ライドシェアはタクシーのアウトレットではなく、タクシーをアップグレードしようとしている。