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ド派手な中国都市の夜景は、中国人はうるさく感じていないのか。変わり始める中国の夜景

中国の都市の夜景と言えば、原色と電飾があふれたド派手なイメージがある。しかし、近年は中国人からも派手な夜景に対する苦情が寄せられるようになっている。中国の都市の夜景は変わり始めると央視網が報じた。

 

カラフルすぎる中国の夜景は、中国人も不快に感じている

中国の都市の夜景と言えば、原色があふれるカラフルなもので、それが中国の名刺にもなっている。外国人はあのどぎつい夜景を見ることで中国を感じる。しかし、そこに住んで毎日見ている人は、誰もが、あの夜景はうるさいとも感じているはずだ。

近年は、カラフルな夜景に対する苦情が地方政府に寄せられることも増えている。上海市政府のサイトには投書箱というコーナーがあり、上海市民であれば、どのような苦情、提案、質問でもできるようになっている。この投書箱への投稿は、上海市の適切な機関が必ず返答をすることになっている。

ここに、2023年6月7日に、上海の観光地区である外灘(ワイタン)の照明に関する提案があった。原色が多く、それは「土味」(田舎風)であり、白色を基調にしたロンドンやニューヨークのようにしていくべきではないかという内容だ。これに上海市緑化景観局が回答し、照明が派手になればなるほど、一流都市としての風格は下がっていくという認識を投稿者と共有した。

すでに、上海市は2017年に「上海市観照明総体規則」を公表していて、外灘などの地域は1900ケルビンから3300ケルビン(電球色)、人民広場、万博跡地などは3300ケルビンから5300ケルビン(白色)、浦東空港、上海駅などは5300ケルビン以上(青白色)などと、地域ごとに照明の色を統一するガイドラインを設定している。

上海市の現在の夜景。原色があちこちに使われている。これでも以前から比べると、派手さはだいぶ抑えられるようになっている。

上海市政府の公式サイトに、市民から夜景について提案があった。原色を使った夜景は田舎味で、一流都市の風格に欠けるというものだった。

 

拡散した素顔版上海の映像

昨年8月には、ある人が製作した「素顔版上海」のショートムービーが広く拡散をした。上海の夜景を修正して、灯りをすべてLED風の青白色にしたものだ。多くの人が、これこそ世界の一流都市の顔だと、今までの極彩色の夜景を変える時期に来ていると感じた。

▲上海の夜景を青白色のLEDライトに変換をした映像。これこそ一流都市の風格だとネット民から広く支持された。

▲北京のオフィス街の夜景は、原色を使わないようになっており、洗練されたものになってきている。

 

ドライバーからも苦情がある街路樹の電飾

特にネット民から指摘されたのが、街路樹にも電飾をつける都市が多いことだ。ドライバーからは運転しづらいと評判が悪い。このような意味のないことに、大きな税金が投入されていることにも無駄遣いだという声があがっている。また、中国は電力が不足がちであり、意味のない電飾はやめるべきだという声もある。

▲街路樹があると電飾をつけたくなる。しかし、ドライバーたちからは運転がしづらいと評判は悪い。

▲通路があると提灯をつけたくなる。歩行街では悪くない電飾だが、うるさい、多すぎると感じる人も増えている。

 

渡り鳥のために電飾をやめる深圳市

深圳市では「光害」についても議論が進んでいる。深圳市は渡り鳥の通過地になっているが、高層ビルが派手な電飾をするために、鳥がビルに衝突をする例が増えている。そのため、渡り鳥の経路を調査して、そのエリアのビルの電飾をシンプルなものに規制する計画が進んでいる。

中国が経済発展をするにつれて、ビルの照明はどんどん明るく、どんどん派手になっていった。それは中国の経済成長を象徴するものであり、多くの市民が好ましい夜景として捉えてきた。しかし、中国ももはや途上国ではない。そろそろ、厚化粧をやめて、素顔の美しさを考える時期になっている。