ホワイトカラーが昼食や夕食にファストフードを利用することが多くなっている。しかし、聞こえるのは、ファストフードですらもはや「高い」という声だ。ファストフードは本当に高いのか。消費支出統計から紅星資本局が比較をした。
ファストフードは高くなっているのか
中国のファストフードは、かつては間食だったが、今では朝、昼の食事として、さらには夕食、夜食としても利用されるようになっている。「消費者中国ファストフード消費行動嗜好」(ユーロモニター)によると、ファストフードの職業別利用者の統計では46%がホワイトカラーになった。
このような傾向が生まれたのは、KFCやマクドナルドといった西洋ファストフードだけでなく、「郷村基」「大米先生」「老郷鶏」などの中華ファストフードの店舗が増えていることが関係している。
中華ファストフードは、以前の「早い」「安い」から、「早い」「健康」「うまい」に焦点が移っている。ホワイトカラーがファストフードを選ぶのは、美味しくて早いからだ。その分「安い」が犠牲となり、ホワイトカラーでもファストフードを高いと感じるようになっているという。紅星資本局では、ファストフードがほんとうに高いのか、検証をしてみた。
可処分所得の半分を占めるファストフード代
紅星資本局では、上海市で人気の3つの中華ファストフードから、昼食または夕食の人気メニュー(主菜+副菜+スープ+ご飯)を選んでみた。
すると、いずれの中華ファストフードも40元から50元の間となった。1食分を45元として計算してみる。
月に出勤日が22日だとすると、月に990元となる。これが昼と夜に食べているとすると、月にかかる費用は1980元となる。これは上海のホワイトカラーにとってどのくらいの負担感覚になるのだろうか。
上海市政府が発表している2022年の上海市民の可処分所得は年に8万4034元であり、月にすると7003元ということになる。
また、上海市民の消費支出(可処分所得からローン返済、貯蓄などを引いたもの)は年4万8111元で、月にすると4009元になる。月に4009元しか使えないのに、昼食代と夕食代が1980元というのは半分近くになる。これは決して安いとは言えない。
成都市でも可処分所得の半分に
同じ計算を四川省成都市でしてみる。成都市では20元から30元の間になったため、25元として月22日として計算すると、昼と夜にファストフードを利用した場合、月にかかる費用は1100元となる。
成都市の統計によると、2022年の年の可処分所得は5万4897元で、平均支出は3万2171元となる。ここから月の平均支出は2681元となり、ファウトフードにかかる費用の1100元というのはやはり半分近くになる。
希望する価格は30元以下、実際は40元以上
ネットでは「月2万元以上の給料がないと中華ファストフードを食べるのは厳しい」という声が多い。地方政府の統計によると、上海市の2022年の食品・酒・タバコの平均消費は1228元であり、成都市の場合は818元になる。ここに上海市では1980元、成都市では1100元のファストフード代金というのはかなり厳しい出費となる。
「2022年中国飲食業界発展現状及び市場調査分析報告」(iiMedia)によると、2021年の全国のホワイトカラーが中国ファストフードに対して「受け入れられる価格帯」を尋ねると、最も多いのは20-30元で45.1%となり、次は10-20元で38.2%となった。
優待クーポンがあるから行けるファストフード
では、どうして、ホワイトカラーたちは、毎日ではないにしても、中華ファストフードに行って食事をしているのか。この価格差をさまざまな優待クーポンが埋めている。つまり、中華ファストフードはクーポン配信をやめることができない。しかし、定価で買ってくれないと利益が出ないというジレンマに悩まされている。中華ファストフードは、もう一度「安さ」というファストフード本来の強みを追求せざるを得なくなっている。