香港と大陸の通行制限が解除されて以来、香港市民が深圳に入境する例が増えている。いったい香港市民は深圳に何をしに行くのか。物価高に悩む香港市民は、深圳で消費をするようになっていると端庄優雅大件事が報じた。
香港市民が中国に日帰り入境する
2023年2月6日から、香港と大陸の間の通行制限が全面解除された。それ以降、目立ったのが香港市民が深圳などに日帰りで遊びにいく姿だ。最盛期には1日60万人の香港市民が中国に入境したこともある。現在は落ち着いたものの、毎日20万人の香港市民が中国に入境している。いったい香港の人は中国に何をしに行っているのだろうか。
深圳の歯医者に通う香港市民
通行制限が解除されて真っ先に人気になったのが歯医者だ。出入境検査場のある羅湖口岸の中国側には無数の歯医者があり、香港市民はその歯医者に通っている。実は、コロナ禍以前から中国側の歯医者に通っている香港市民は少なくなった。それがコロナ禍の間、通えなくなっており、通行が解除されると真っ先に歯医者に通う人が押し寄せた。
わざわざ深圳の歯医者に通う理由は2つある。ひとつは安いからだ。だいたい香港の歯医者の半額ぐらいで済むという。もうひとつの理由は待たされないということだ。香港は歯医者の数が人口に比べて十分でないため、予約をとって行っても1時間2時間待たされるのは当たり前のことになっている。しかし、深圳の歯医者であれば出入境の手続きに時間は取られるものの、予約をしておけば待つことなく治療をしてもらえる。
通行制限が解除され、最初に香港市民が向かったのは歯医者だった。
人気になっている香港大学深圳病院
これは、歯医者だけでなく、通常の病院も同じだ。持病の治療に深圳の病院に通う人が増えている。特に深圳市の海園一路には香港大学の深圳病院があり、そこに通う人が多い。香港では病院が不足をしていて、予約をしないで行くと12時間待たされたなどという話も報道されている。しかし、香港大学深圳病院では予約をしておけば待たされることなく、治療や検査もシステム化されているので、待ち時間がほとんどなく診察も終わる。治療にかかる費用も香港の半分以下だ。
人気のケーキを買いに行く
さらに多いのが、中国で続々と登場するスイーツを中心とした食品ブランドを買いに行くことだ。特に鮑師傅(バオシーフー)のミートパイやケーキが香港で人気となり、香港には店舗がないために、多くの人が深圳で購入し、香港に持ち帰る。
スーパーに買い物に行く
香港市民を悩ませているのが物価高だ。香港はほとんどの日用品を輸入に頼っているため、国際的な物価上昇の影響をすぐに受けてしまう。一方、中国は食品に関しては価格上昇を抑える政策が取られるために、物価上昇は比較的抑えられている。そのため、香港から深圳に行き、スーパーで買い物をして帰る人も現れている。
自分の部屋を借りる
深圳に部屋を借りる人も増えている。香港は狭いために住居費が世界一高いと言われる。そのため、親と同居をしている若者で自分の部屋がある人は非常に稀だ。独立をして部屋を借りたいと思っても、若者の給料ではなかなか借りられない。
そこで深圳に部屋を借りる人が増えているのだ。さすがに深圳から香港の職場に通うのはたいへんだが、香港でもコロナ禍以降リモートワークを推奨する企業が増えている。そのような企業に勤めていれば、深圳に住んでも仕事をすることができる。家賃は1/3から1/4の感覚だという。
銀行に行き口座を開く
また、深圳の銀行も香港市民で混雑をしている。中国の銀行口座を開設するためにだ。中国の銀行口座があれば、中国内でアリペイやWeChatペイが使えるようになり、買い物が圧倒的に便利になる。深圳のショッピングモールも、香港市民で賑わっているという。
以前は、中国から香港に行き、電子製品やブランド品を買う人が多かったが、現在では香港から深圳に行き、日用品を買う人が増えている。中国と香港の関係性が変わりつつある。