広東省東莞市が注目を浴びている。南に深圳市、西に広州市があるという絶好の立地で、歩歩高やファーウェイなどが進出するだけでなく、アリババ、京東なども物流センターを置いている。これにより、2021年のGDPが西安市を抜き、広東省第4の都市になったと笨鳥科技が報じた。
注目されるネクスト深圳「東莞市」
広東省東莞(とうかん)市が注目を浴びている。電子製品の製造取引拠点の深圳市と、製造業と一大消費地である広州市の間に位置をし、近年、GDPが上昇し続け、広東省では深圳、広州に次ぐ第3位の座を佛山市と競い合っている。
深圳と広州という2つの大都市に挟まれているため、東莞のGDPは霞んでしまうが、今年東莞のGDPは、西安市のGDPを超えた。
深圳が数十年前は小さな漁村にすぎず、海外への窓口であった香港があり、その香港への窓口として発展してきたことを考えると、東莞がこの後、深圳や広州への窓口として発展をする可能性を多くの人が感じている。
歩歩高のお膝元にファーウェイも進出
元々、東莞は、深圳に近い生産基地として発展をした。1998年には市となり、同年に約6000社の香港企業が中国内地に工場や支社を設立したが、そのうちの約4000社が東莞を選んでいる。また、歩歩高(ブーブーガオ)が本社を置き、その関連会社であるOPPO、vivoも東莞を本拠地とするなどして発展をしてきた。
ファーウェイが建設した松山湖基地
東莞の将来を決定づけたのが、華為(ファーウェイ)が2014年9月に、東莞郊外の松山湖に約130ヘクタール(東京ドーム約28個分)の敷地に松山湖基地の建設を始めたことだ。
ファーウェイは、本部はあくまでも深圳としながら、研究基地として松山湖基地を設立し、最終的に3万人の社員が働くことになる。すでに「東莞松山湖基地新本部」という言い方が通用するようになっている。
▲ファーウェイ松山湖基地の空撮映像。最終的に3万人の社員がここで働くことになる。
アリババ、京東も東莞に物流拠点
2015年には、アリババが80億元(約1420億円)を投じて、東莞麻涌鎮に傘下の物流企業「菜鳥華南本部」を設置し、2020年にはアリクラウドが160億元、アリババが240億元を追加投資し、大規模な物流基地を構築している。
京東(ジンドン)も、華南電子商務運営センター、物流ハブセンター、ドローン無人カート本部、倉庫などを設置している。
中国4大経済圏のひとつとなる粤港澳経済圏
中国政府は、上海を中心とした長三角経済圏、北京を中心とした京津翼経済圏、成都を中心とした成渝経済圏、そして、深圳、広州、香港を中心とした粤港澳経済圏の4つを中国経済の中心的存在として位置づけようとしている。
粤港澳経済圏は、深圳、広州、香港が中心となり、それを佛山市、東莞市が補う形で発展をしていくと見られている。