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勢いのある種草ECに対抗するタオバオ。電子透かしを活用したユニークな独自手法を確立

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今回は、淘宝網タオバオ)の種草対抗策についてご紹介します。

 

タオバオは、アリババが運営するオーソドックスな検索型ECで、欲しい商品名を入力して、商品を検索し、価格や性能などを比較して、商品購入ページから購入をするというECです。

しかし、2010年頃から中国ではニュータイプのECが続々と登場しています。ひとつはピンドードーです。同じ商品を購入する人をSNSで探して、たくさんの人が同じ商品を買うようにすると、価格がどんどん割引されていくという仕組みで、ソーシャルECなどとも呼ばれます。

さらに2019年あたりから大きな存在になってきたのが、種草系ECです。種草(ジョンツァオ)については「vol.129:SNS「小紅書」から生まれた「種草」とKOC。種草経済、種草マーケティングとは何か」でご紹介しましたが、これがうまく消費者の心をつかみ、SNS「小紅書」(シャオホンシュー、RED)はECとしても大きな存在になってきました。さらに、ショートムービー「抖音」(ドウイン)、「快手」(クワイショウ)も種草の仕組みを導入することで、大きな売上をあげるようになりました。

 

このような新興ECにタオバオや京東(ジンドン)のような伝統的なECが押されて、苦しい立場に追い込まれています。この辺りの事情は、「vol.124:追い詰められるアリババ。ピンドードー、小紅書、抖音、快手がつくるアリババ包囲網」でご紹介しています。

しかし、さすがとしか言いようがありませんが、タオバオの逆襲が始まっています。このアリババ包囲網をひっくり返すほどのポテンシャルはありませんが、しぶとく抵抗をしているのです。その抵抗ぶりが、日本のECでも参考になる部分が多いため、今回は、このタオバオがどんな抵抗をしているのかをご紹介します。

 

その前に、まず「種草」とは何かを簡単に復習しておきましょう。

今、日本でも、YouTubeやインスタグラムで、さまざまな商品が紹介されています。見ていて、その商品が欲しいなと思うことも多いでしょう。その場合、商品名などを記憶して、アマゾンや楽天というECで検索をして探してみるというのが一般的だと思います。

しかし、服などの商品名や型番がはっきりしないものは探すのもたいへんで、似たものは見つかるかもしれませんが、紹介された商品そのものずばりは見つからないかもしれません。そこで、YouTubeの場合は、アマゾンや楽天のリンクを動画の説明欄に記載しているものもあります。また、インスタグラムの場合は、ECの商品ページへのリンクを記事につけることができます。

このようなリンクはアフィリエイトリンクになっていて、EC側ではどの投稿主からの流入であるかがわかる仕組みになっているため、投稿主には規定のアフィリエイト手数料が支払われます。

しかし、このリンク方式の問題点は、リンクをクリックすると、SNSとは異なる外部サイトが表示されるという点です。ランディングページがブログなどへの誘導であれば問題が起きることはありませんが、ECの購入ページなどでは問題が生じることがあり得ます。一定の割合で、返品、返金などの問い合わせ、商品へのクレームなどが発生しますが、多くの消費者がそのSNSに責任があると考えてしまいます。

仕組みがわかっていないと言えば確かにそうなのですが、消費者から見れば、SNSの中にいるつもりで購入をしてしまうことも多いのですから、SNSが知らんぷりというわけにはいきません。

そのため、例えば動画や記事をタップしたらすぐにランディングページが表示された方が便利でスムースなのですが、SNSとしては「リンクをしたら外部ページに飛ぶ」ということを明確にしておく必要があります。また、飛んだ先がECの商品ページであった場合は、そのECにログインをしなければ購入などはできません。

 

つまり、リンクで商品詳細ページに誘導をするといっても、ハードルをつくらざるを得ず、そのハードルにあたるたびに購入をあきらめてしまう離脱する人が生まれることになり、購入意欲のある人を効率よく購入に結びつけることが難しくなっています。

種草はこれを解決する仕組みで、SNS「小紅書」が始め、抖音、快手などのショートムービーが取り入れました。種草とは「作物を植える」という意味です。

写真、動画などの記事に小さなアイコンのような商品タグが表示されます。その記事で紹介されている商品に興味がある人は、商品タグをタップすると、商品詳細ページがポップアップ表示されて、そのまま購入までできるというものです。

現在、小紅書、抖音、快手ともに販売されている商品は、それぞれがEC機能を持ち、その商品を販売しているため、外部サイトに飛ぶということはありません。記事から商品タグ、商品詳細ページと滑らかに接続することで、商品に興味を持った消費者を効率よく購入に結びつけることができます。

 

小紅書で販売されている商品には3種類ありました(過去形を使うのは、現在は2種類に絞られているからです)。

1つは、自社仕入れ、自社販売の商品です。小紅書では主に海外製品を輸入して、中国国内の倉庫に保管をし、これを販売しています。小紅書の利用者で、種草収入を得たい利用者は、このような商品の中から自分で販売できそうな商品を選び、それに見合った記事を作成し、商品タグを入れて投稿します。この記事を読んで商品を買う人が出るたびに、一定割合の紹介料がもらえるというものです。

2つ目は、メーカー、ブランドが小紅書のアカウントをつくり、自社製品を販売するというものです。規模により1万元から50万元の出店料を支払う必要があり、なおかつ、月商1万元を超えた部分について5%の手数料が徴収されます。メーカー、ブランドは自社で記事を作成する、あるいは小紅書の投稿主に種草を依頼する形で記事を作成し、種草の場合は、その投稿主に規程の手数料を支払います。

3つ目が、タオバオなどの外部ECの商品です。販売業者が直接、あるいは投稿主に依頼をして、外部ECの商品のタグを埋め込み、先の2つの商品と同じようにポップアップされる商品詳細ページから購入することができます。

 

ところが、小紅書としては、外部のタオバオの商品を購入してもらうより、小紅書の内部の商品を買ってもらった方がいいわけです。そこで、小紅書だけでなく、抖音、快手も当初は外部ECの商品を購入できる仕組みにしていたのに、手のひらを返すように外部ECからの商品リンクを遮断するようになってきています。

これはタオバオの販売業者にとっては、販売チャンネルが減るという困った事態になります。そこで、タオバオはこのような販売業者を救うために、さまざまな対策を打ち出しています。

今回は、タオバオがリンク遮断に対して、どのような対策をしているのかをご紹介します。

 

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