インキュベーター「創新工場」のデモデーが開催され、高い評価を受けたのが「方仔写真館」。写真からその人そっくりのブロック組み立てフィギュアを人工知能技術を使って生成するというもの。すぐにでもビジネス化が可能だという評価を受けたと量子位が報じた。
創新工場のデモデーで話題になった「方仔写真館」
元マイクロソフトアジア研究所、グーグル中国などに在籍をした李開復(リ・カイフー)は、現在、スタートアップインキュベーター「創新工場」を率いている。若いテック系起業志望者を集め、支援をし、投資をするというビジネスだ。
その創新工場のデモデーにあたるのが、DeeCampだ。2018年から開催され、今年2020年で3回目となる。その中から登場した「方仔写真館」(ファンザイ)が話題になっている。
▲アップルのティム・クックCEOの写真から人工知能が設計したフィギュア。
▲写真から特徴をとらえたブロックフィギュアを生成できる。世界にひとつだけのフィギュアが作成できる。
人工知能がその人そっくりのブロックフィギュアを作る
方仔写真館は、人物の写真からその人の特徴を抽出し、それをレゴのような積み木フィギュアに変換してくれるというもの。27個の部品を設計し、それぞれの形、色などが人工知能によって決定される。
李開復は、すぐにビジネス化が可能なアイディアだと絶賛し、最優秀賞を与え、10万元(約155万円)の賞金を授与した。
▲肌や髪の毛の色、その時にきている服の柄なども再現される。
▲人工知能は、頭部、胸部、腰部、足などのパーツに分けて特徴を抽出し、ブロックのサイズ、形状、色などを決定していく。
▲写真から本人の部品ごとの形状、色、服などの特徴を抽出し、各部品を設計していく。
背景にあるのは爆発的な盲盒ブーム
その背景にあるのは、近年の中国での盲盒(マンフー、ブラインドボックス)のブームがある。盲盒はシリーズキャラクターフィギュアだが、箱を開けてみるまで、どのキャラクターが入っているか分からないというもの。みな、自分のお気に入りキャラクター、レアなキャラクターを当てようと、よく売れている。
方仔写真館が生成するフィギュアは、この盲盒と同サイズであり、世界にひとつのフィギュアが作れることから、盲盒好きの若者の心をつかむことができそうだ。
基本は、自分の写真を送信して、それを人工知能が解析をして、ブロックを設計するというものだが、有名人など人の写真に基づいてブロックを生成することもできる。自分なりのキャラクターシリーズを揃えることも可能になる。
▲中国では、この数年、盲盒がブームになっている。さまざまなフィギュアシリーズだが、開けてみるまでどのフィギュアが入っているか分からないというもの。
街中に撮影ブースを設置する構想も
方仔写真館は、すでにビジネス化に向けて準備中だ。構想では、街中に撮影ブースを設置し、その場で撮影からブロック生成を行う方式と、ウェブやアプリなどで写真を送信して、ブロックを配達する方式の2つが検討されている。海外への対応は明らかにされていないが、国内でのビジネスが順調であれば、当然、海外対応も考えられることになる。
中国で過熱する盲盒ブームが、人工知能テクノロジーによって、次の段階に進むかもしれない。
▲現在の構想では、オンラインサービスの他、街中に撮影ブースを設置し、その場で写真を撮り、ブロックフィギュアを生成できるようにすることも考えられている。
▲方仔写真館の開発メンバー。DeeCampで高い評価を受け、現在ビジネス化に向けた作業を行なっている。