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窓が大型ディスプレイに。北京地下鉄が試験運行するスマート列車

北京地下鉄6号線に、スマート列車が登場して話題になっている。透明な窓が駅侵入時に大型ディスプレイに変わる、画像解析が行える防犯カメラなどが搭載されている。3年から5年で、営業運行することを目指していると北京社区報が報じた。

 

地下鉄の窓がディスプレイに

北京市内を東西に走る北京地下鉄6号線に、スマート列車が登場して話題になっている。

最も目を引くのは、55インチサイズの窓が、停車駅が近づくとディスプレイとなり、到着駅の3D構造図が表示される。走行時は透明で、普通の窓として外の風景が透けて見えている。

このスマート列車は、北京地下鉄と交控科技が2019年10月から共同研究している「首都スマート地下鉄」研究開発のひとつの成果。「スマート列車乗客サービスシステム」(T-IPSS : Train-Intelligent Passenger Service System)と呼ばれ、北京地下鉄6号線で試験運行が始まっている。

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▲窓ディスプレイ。通常は普通の窓。駅侵入時には駅の構造案内図が3Dで表示される。現在地下鉄6号線で、試験運用されている。

 


车窗变“魔镜” 北京地铁六号线“上新”

▲走行時は普通の窓で外が見えるが、駅に近づくと大型ディスプレイに変わる。

 

車内では防犯カメラで混雑度を計測

車内には、広角カメラが設置され、画像認識により乗客数を把握し、車両ごとの混雑度を把握する。この情報は、到着駅のディスプレイに反映され、乗車位置の車両の混雑度、冷房の強い/弱いなどの車両内情報が表示される。

また、画像認識により、倒れている人、救助のために手を振る人も認識し、司令室に警告を発する。

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▲車内に設置された広角カメラでは、画像解析により乗客数を計測。車両ごとの混雑度などを駅ホームのディスプレイに表示する。

 

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▲車内カメラは、倒れている人も認識できる。急病、事件と判断し、自動的に司令室に通知される。

 

3年から5年で、スマート列車に

現在は試験運用であるため、具体的な運用がいつから始まるかは未定だが、北京地下鉄では3年から5年のスパンで、北京地下鉄の車両を順次スマート列車に置き換えていきたいとしている。

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▲T-IPSSを搭載した地下鉄車両。現在、6号線で試験運用中。3年から5年で、スマート列車を営業運行していくという。