米E-Inkと上海の交通系設備企業APEPは、上海市のバス停での路線表示などにE-Inkを採用することで提携をした。2018年5月より、上海市浦西地区の4カ所のバス停にE-Inkディスプレイが採用され、路線やバスの到着時間、天気予報などの情報を表示しているとcnBetaが報じた。
電子ペーパーを使ったバス停の路線表示
E-Inkは、アマゾンの電子書籍リーダーKindleにも採用されている省電力ディスプレイ。現在、モノクロ表示のみ、高速の書き換えは苦手などの欠点があるが、消費電力が少ない、自然光の下では目に馴染みやすい感覚などから、電子ペーパーの代名詞にもなっている。
上海市浦西地区の4カ所のバス停に、このE-Inkディスプレイ使った表示板が設置された。現在、試験運用中で、利用者の反応を見て、正式採用を決定する。
▲バス停スタンドの下半分が電子ペーパーになっている。電源は太陽光パネルから供給されるので外部電源不要。バス停を移動するときも簡単に移動できる。
電力は太陽光。外部電源必要なし
E-Inkディスプレイに表示されるのは、路線図や次のバスがどこまできているかの表示、到着時間、天気予報など。頻繁に書き換える情報はないので、E-Inkディスプレイに適している。一方で、ディスプレイが劣化しづらいことや省電力などのメリットがある。情報は4G回線で受信をして表示するが、電力はすべて太陽光パネルから供給できるため、設置工事時に外部電源の確保をする必要がない。
▲展示会で展示されたE-Inkバス停。さまざまなタイプのものが開発され、いずれも太陽光で動作するのが特長だ。
液晶よりも見やすい電子ペーパー
表示はモノクロのみだが、昼間の見易さは圧倒的だ。液晶ディスプレイのように反射をすることもない。視野角も広いので、斜めの位置にいても読むことができる。昼間の自然光下では、印刷のような自然な表示も好評だ。夜間は、前面から照明をあてる。
唯一の問題は、結露や雨水による故障だが、APEPによると、ディスプレイに防水加工を施したので、その点もクリアできているという。
▲バスの到着時刻を表示する表示。書換え速度が遅い電子ペーパーだが、バス停の表示であれば問題にはならない。
▲E-Inkの仕組みを解説したビデオ。自然光の下での表示は、液晶よりも見やすい。
バス停の工事が簡素化される
従来のバス停は、印刷による情報表示が基本で、これが次第に電光掲示や液晶掲示に移りつつあったが、外部電源の確保が意外に大きな問題になっていた。工事費の問題もあるし、場所によって外部電源を引くのに大掛かりな工事が必要なバス停もある。また、バス停の位置をなんらかの事情で移動する場合、電源工事からやり直さなければならない。しかし、外部電源を必要としないE-Inkであれば、トンネル内などの特殊な状況を除けば、E-Ink掲示に簡単に移行することができ、バス停の位置を変更する場合も、バス停設備だけを移動するだけでよくなる。
モノクロ表示という点が、少し見づらい、寂しいという意見もあるが、利用者からは水墨画のようで見やすいという意見もあるという。
E-Inkバス停はすでにロンドンでも採用されている。大きな問題が生じなければ、年内にも上海市での正式採用が決まる。
▲E-Inkバス停はすでにロンドンでも採用されている。
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