「まぐまぐ!」でメルマガ「知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード」を発行しています。
明日、vol. 217が発行になります。
登録はこちらから。
https://www.mag2.com/m/0001690218.html
今回は、中国のテック企業の現状についてご紹介します。
調査会社「胡潤」(フールン、https://www.hurun.net/)は、中国の長者番付を毎年発表していることで有名ですが、「中国企業500強」を発表することでも有名です。この企業ランキングを見ると、上位10位のうちのほとんどがテック企業またはネット企業です。具体的にはテンセント(2位)、アリババ(3位)、バイトダンス(4位)、ファーウェイ(5位)、美団(7位)、アントグループ(8位)となります。中国は、台湾は中国の一部という主張であるため、1位は台湾の積体電路製造(TSMC)ですので、非テック企業は寧徳時代(CATL、6位)、BYD(9位)、平安保険(10位)の3社だけになります。と言っても、寧徳時代はEV用のバッテリーメーカーであり、BYDはバッテリーから自動車まで製造するメーカーです。平安保険は中国のフィンテックをリードする企業です。つまり、テック企業の定義にもよりますが、テクノロジー志向の企業が上位を占めていることになります。この状況を見れば、多くの学生が理系を専攻しようと思うのも当然です。
このようなテック企業は、このメルマガではたびたび登場し、読者のみなさんも名前はよく耳にしているかと思います。しかし、どのような企業であるかは意外にわかりづらいものです。というのは、中国の企業の特徴として、ひとつの事業があたるとそれをコア事業にして展開をしていくため、どのテック企業も現在では幅広い事業を手掛けるようになるからです。
例えば、アリババは淘宝網(タオバオ)というECからスタートをして、それと関連がある決済システム「アリペイ」が大きなビジネスになりました。また、膨大なトランザクションを処理するためにクラウド事業も大きくなっています。ECの関連で、今では白菜などの生鮮食料品も扱い、映画のチケットや旅行商品なども扱うようになり、生活関連の電子版総合百貨店のようになっています。アリババの今の事業だけをみてしまうと、広大な事業ドメインを持っている大企業に見えてしまいます。
しかし、アリババのコア事業はECとクラウドの2つです。前回の「vol.216:アリババが新小売事業を売却か?業績好調な新小売を売却する理由とは」でもご紹介したように、非コア事業の売却を検討するようになっています。もう一度、原点の姿に戻って身軽になろうとしているのです。これはアリババだけのことではなく、今テック企業の多くで原点回帰が大きなキーワードになっています。
テック企業を理解するには、今現在の姿だけではなく、原点は何なのか、コア事業とは何なのか、その企業の本質とは何なのかをイメージしておくことが重要になります。
そこで、今回は主要テック企業の2023年の状況をご紹介するとともに、その企業のコアとは何かという視点でもご紹介をしていきたいと思います。
紹介をすべきテック企業をリストアップしたところ18社にもなってしまいました。そのため、1社あたりに割ける分量は少なくなってしまいますが、全体を俯瞰できるようにしたいと思っています。少し長くなりましたので、お時間がなければ、気になる企業だけ拾い読みしていただければと思います。
もし、特定の企業についてもっと深掘りしてほしいというご要望がありましたら、このメールに返信をしてご一報ください。準備の時間をいただいた上で、次回以降のメルマガのテーマにしたいと思います。
2023年はコロナ禍が完全に終息をした年になります。コロナ禍は、どこの国でもそうですが、非常事態でした。中国のテック企業も例外ではなく、軒並み業績があがり、株価があがりました。非ネットの現業はコロナ禍で打撃を受けることになりましたから、オンライン購入が増え業績があがり、投資資金も可能性のあるテック企業、ネット企業に集中をしたからです。
2023年は、このコロナ禍バブルから平常運転に戻す年になりました。そのため、2020年、2021年から比べると現在の企業価値はどのテック企業も下がっていますが、2019年と比べると増えている企業もかなりあります。2023年は、テック企業が企業価値を減らしてリストラ旋風が吹き荒れましたが、これはテック企業の凋落が始まったと捉えると誤まることになります。コロナ禍でバブル的に膨らんだ企業価値を平常運転に戻す作業をしていると見た方が正しいのではないかと思います。後ほど、2019年からの企業価値の推移をご紹介しますので、ご自身の目で推移を確かめてみてください。
この平常運転に戻す作業の過程で起きているのが、創業者の復権と原点回帰です。典型的なのがアリババの創業者、馬雲(マー・ユイン、ジャック・マー)です。ジャック・マーは、2019年9月にアリババから完全引退をしました。しばらくの間は、アリババから完全に離れ、日本や香港、東南アジアなどに滞在をしていました。ところが、コロナ禍が終息をして平常運転に戻るフェーズが始まると、大株主としての影響力を活かし、アリババに対してさまざまなメッセージを送るようになります。
昨2023年9月には、アリババの社内に向けて「タオバオに戻ろう、ユーザーに戻ろう、インターネットに戻ろう」というメッセージを送ります。これは原点であるタオバオに戻るという意味で、ここでアリババはコア事業をECとクラウドの2つに定め、そのコア事業とシナジー効果のない事業の整理が始まりました。
これはアリババだけのことだけでなく、他のテック企業でも創業者の意見が重視され、原点に戻るということが起きています。
ということで、今回は、主要18テック企業の2023年の状況と今後についてご紹介をしていきます。
続きはメルマガでお読みいただけます。
毎週月曜日発行で、月額は税込み550円となりますが、最初の月は無料です。月の途中で購読登録をしても、その月のメルマガすべてが届きます。無料期間だけでもお試しください。
今月、発行したのは、以下のメルマガです。
vol.214:2023年小売マーケティングの優れた事例集。消費者への誠実さが求められる時代に
vol.215:BYDのEVは欧州市場で成功できるのか。スイスUBSの衝撃的なレポート
vol.216:アリババが新小売事業を売却か?業績好調な新小売を売却する理由とは