中国中車株洲電力機車は、無人運転の高速リニア鉄道を2020年3月までに開通させることを公表した。すでに試験車両が完成し、試験走行をする段階に達していると観察者網が報じた。
時速200kmの無人運転リニアの試験が始まる
3月に開催された全国人民代表大会で、中国中車株洲電力機車(CRRC)の周清和董事長は、無人運転のリニア高速鉄道を2020年3月に開通させることを明らかにした。最高時速は時速200kmで、都市交通に投入する。すでに試験車両を製造し、走行試験を行っているという。
▲無人運転高速リニアの試験車両。最高時速200kmの無人運転を目指している。
▲試験走行中の無人運転高速リニア。すでに試験運転も行われ、2020年3月の開通を目指している。
登坂能力が高いリニアは都市交通に向いている
中国が都市交通のリニア鉄道に注目している理由は、高速であるとともに、その登坂能力だ。CRRCの第3世代リニアモーターカーでは、100mで4階建ビルの高さを登坂する能力がある。またカーブでの速度も上げることができ、アップダウンやカーブが多くなる都市交通に向いている。
総延長50kmから200km程度の都市交通あるいは近郊鉄道に向いている。この無人リニアは、すでに30都市に投入する計画が進んでいる。
▲無人運転高速リニアの車両。ドイツ製の第1世代、国産低速の第2世代とすると、無人高速リニアは第3世代にあたる。市内交通や都市間交通に利用される。
第1世代はドイツ製。第2世代は国産低速リニア
中国はリニア鉄道の導入を以前から進めている。2002年には、上海市と上海国際空港浦東空港の30kmをわずか8分で結ぶリニア鉄道の営業運行を開始している。この時は、ドイツから技術輸入をした。そのため、導入コスト、運営コストが高く、運営元の上海市軌道交通に大きな負担を与えてしまっている。
これがきっかけになって、中国独自のリニア鉄道の研究が始まったが、速度を追求するよりも、その登坂能力、高速でのカーブ走行能力に注目をし、中低速リニアとして都市交通に応用する方向に進んでいった。
2016年には長沙市で長沙リニア快線を開通。時速100kmで18kmの路線を運行している。また、2017年には北京市で北京地下鉄S1線が開通。時速100kmで10.2kmの路線を運行している。
▲上海市内と上海浦東空港を結ぶ上海トランスピッド。最高時速は431kmと高速だが、ドイツから輸入したため利益が出ない。この反省から、リニア開発の国産化が進んだ。
▲長沙のリニア線。最高時速100kmの低速リニア。
▲北京地下鉄S1線を運行している低速リニア。時速100kmで10.2kmの路線を運行している。
第3世代は高速無人リニア。海外展開も
このような都市交通向けの中低速リニアに、無人運転機能を搭載した第3世代のリニア鉄道の運行が目前となっている。
CRRCは、中国各都市での営業運行を目指すとともに、すでに海外への輸出も積極的に考えているという。この中低速リニアが将来、中国の重要な輸出製品になるかもしれない。
▲リニアの技術開発の歴史をまとめた「すごいぞ我が国」の報道。中国では地下鉄などでもATO運転(自動運転、無人運転)が進んでいる。
- 作者: マーク・オーブンデン,ナショナルジオグラフィック,鈴木和博
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