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中国富裕層の10の真実。彼らはどう稼ぎ、どう悩み、どこに旅行をしたいのか

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今回は、中国の富裕層の10の真実についてご紹介します。

 

長者番付というと、毎年3月に発表される米国「フォーブズ」の世界長者番付が有名です。中国では調査機関「胡潤百富」(フールン、https://www.hurun.net/)が有名で、1999年から毎年10月に、中国の長者番付を発表しています。その2022年版がすでに発表されています。

▲胡潤2022年版の中国長者番付。ミネラルウォーター「農夫山泉」を販売している企業の鐘睒睒がトップとなった。バイトダンス、テンセント、ネットイース、アリババ、ピンドードーなどの創業者も10位に入っている。

 

読者のみなさんもご存知の企業ばかりが並んでいます。トップの鐘睒睒の養生堂は、傘下にミネラルウォーターの「農夫山泉」があります。コンビニや小さな売店でも置いていないことはまずない、飲料のトップメーカーです。長江実業はホテルなどの不動産を所有している不動産投資企業です。面白いところでは、泰英林の牧原食品があります。15万人が働き、毎年1800万頭の豚を出荷する巨大養豚業です。

 

中国の富裕層については、いろいろな人がいろいろなイメージを持っています。最近日本のメディアを賑わしているのは「中国にうんざりした富裕層が大挙して日本に移住を希望している」というものです。

もちろんそういう方もいるでしょう。しかし、私個人の感覚からは違和感を感じる話です。ひとつは、彼ら富裕層が移住を考えるのは、第一は子どもに高い教育を与えたいからで、米国が第一で、欧州が続き、その後にシンガポールや香港がくるというのが一般的です。少なくとも「日本の⚪︎⚪︎大学にうちの子どもを進学させたい」という人に出会ったことはありません。

と言っても、そう言う私自身も中国人富裕層をよく知っているわけではありません。面白いのは、富裕層ビジネスの話になると、私のような庶民が集まって、会ったこともない富裕層についてあれこれ考えるということになりがちなことです。文字通りの「群盲象を評す」状態になってしまうのです。

 

そこで、今回は、胡潤のデータを利用して、中国富裕層をデータから見てみようというのが主旨になります。胡潤では、富裕層に関するさまざまなレポートも発行していて、さまざまな角度から富裕層の姿を浮かび上がらそうとしています。資産データなどの統計情報だけでなく、アンケート調査も行い、富裕層の考え方や生活スタイルなどにも迫ろうとしています。

このようなレポートから、今回は10の事実をみなさんにお伝えしようと考えています。納得の事実もあれば、意外な事実もあります。もし、富裕層ビジネスに関わることがあるのであれば、基礎知識としてお役に立つのではないかと思います。

 

その10の真実とは次のようなものです。

1)コロナ禍でもお金持ちは増えている。

2)お金持ちは若くなっている

3)お金持ちは0.28%しかいない

4)お金持ちは南に多く、南北格差が広がっている

5)お金持ちは資産を自分で稼いでいる

6)お金持ちは普通の人よりも努力をしている

7)価値観が普通の人とかなり違っている

8)お金持ちは南の島のリゾートと欧州に行きたい

9)お金ができると悩みは減るが、新たな悩みも生まれる

10)ひとつの分野を掘り下げた人をロールモデルにしている

 

胡潤では、可処分資産600万元(約1.2億円)以上ある家庭を富裕家庭と呼んでいます。これは不動産資産を含まない資産で、現金やすぐに現金化ができる金融資産などのことです。野村総研では金融資産1億円以上の世帯を「富裕層」と定義をしており、ほぼ同じ定義であるため、後ほど中国と日本で比較をしてみます。

さらに胡潤では1000万元(約2億円)以上を高富裕家庭、1億元(約20億円)以上を超富裕家庭、3000万ドル(約42億円)以上を国際富裕家庭と分類をしています。

 

1)コロナ禍でもお金持ちは増え続けている

日本もそうですが、中国でも富裕層の数は増加をしています。もちろん、インフレにより資産価値も自動的に増えるので、富裕層の基準が同じであれば増え続けるのは当たり前のことで、この辺りは専門家による資産価値と物価の関係を考慮した研究を待つ必要があります。しかし、この長いコロナ禍を経ても富裕層の増加には日本も中国もまったく影響がなく、増加をし続けていることが驚きです。

▲富裕家庭はコロナ禍でも減らずに増えている。可処分資産1000万元から1億元の高富裕家庭が最も多く、80万5350戸になる。国際富裕家庭は4万5530戸。

▲超富裕家庭と国際富裕家庭だけを別グラフにした。超富裕家庭はやや減少しているが、資産が増えて、国際富裕家庭に昇格したのだと考えられる。

 

可処分資産を基準にした富裕層のデータは2020年のものまでしかありませんが、胡潤では、不動産を含む総資産が1000万元以上の世帯数も調査をしていて、こちらは2020年に198万戸であったものが、2021年には202万戸、2022年には206万戸と順調に増加をしています。しかも、この数年は不動産価値の上昇が止まったり、場所によっては下がることも起きているので、それでも増えているということは不動産以外の金融資産が膨らんでいることが窺われます。

お金持ちは増えている。コロナ禍でも増えている。これは間違いのない傾向であるようです。

今回は、胡潤が公開しているデータに基づいて、中国富裕層の10の真実をご紹介します。

 

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