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香港の相対的貧困率23.6%の衝撃。貧困人口は165.3万人に。コロナ禍により急上昇

香港政府によると、香港の相対的貧困率は23.6%、貧困人口は165.3万人と、コロナ禍に入って急上昇をしている。特に問題なのは18歳以下の貧困率が27.0%と過去最高になったことだと正商参閲が報じた。

 

香港市民の1/4は貧困人口

香港政府が2021年末に発表した「2020年香港貧困状況報告」によると、香港の相対的貧困率が23.6%、貧困人口は165.3万人と過去最悪になった。2020年の新型コロナの感染拡大による影響が大きいと見られている。

香港の貧困線の定義も、国際的な基準を採用している。すなわち可処分世帯所得の中央値の半分が貧困線となる。コロナ禍により、仕事を失う人も多く、貧困率が上昇するのは避けられないとしても、香港の問題はコロナ禍以前の2018年から貧困率が上昇をしているということだ。

貧困率が上昇していることは、香港メディアでもしばしば取り上げられる。

▲香港の貧困率は上昇傾向にあるが、収入のみで判断をする相対貧困率という指標にも問題がある。政策の補助などをしてもなお貧困線以下に人口数は10%以下であり、近年は減少傾向にある。

 

資産家の高齢者も貧困人口にカウントされてしまう問題も

しかし、この相対的貧困は収入のみで貧困線を設定するため、高齢者の貧困実態をうまく反映していない。退職後の引退生活を送っている人は、不動産や金融などの資産を持っているが収入はなくなる。このような資産を売却せずに、静かに暮らしている場合は収入が少ないため統計上貧困に分類をされてしまう。

香港政府は2012年12月に貧困緩和委員会を設置し、貧困緩和政策の研究を行っている。この中で、資産状況も考慮した新たな貧困の定義が必要だと議論されているが、貧困実態をうまく表す指標を提案することはできていない。

相対貧困率は収入だけで判断をするため、資産はあっても収入がない高齢者は極端に高い貧困率を示す。問題は、18歳以降の貧困率が高いことだ。

 

18歳以下の貧困率は27%

香港でも問題になっているのは、未成年の貧困だ。18歳以下の貧困率は27.0%となり過去最高になった。

また、25歳から29歳の貧困率も今後大きな問題になる。貧困者10人のうち9人が学業を終えて社会に出ているが、7人近くが無職となっている。貧困者10人のうち3人は職を得ているが、それでも貧困線以下しか収入が得られていない。このうちの3割は専門学校、大学以上の高学歴者だ。

未成年、青年という若い層の貧困が拡大をするということは、将来の貧困率が増加をすることになるため、貧困が香港の大きな社会問題として暗い影を落とし始めている。

▲香港は土地が狭く、家賃が高いため、劣悪な住環境で暮らしている人は珍しくない。