72歳の元木工職人が、木製のロボットを製作し、抖音と西瓜視頻が共同開催した無形文化展覧会に出展をして話題になっている。この木製ロボットを製作したのは、福建省の李石水さん。この李石水さんの日常が注目をされ、海外にまで紹介されたと騰訊網が報じた。
70歳近い人に何ができるの?ショックな一言
李石水さんは上級の学校に進むことができず、木工職人となり、長い間、息子と家族を養ってきた。息子が自立をし、結婚をし、経済的には余裕ができたが、李石水さんは仕事を辞めるつもりはなかった。
4年前にある工務店に勤めようと思ったが、「60歳以上の人は採用しない。もう70歳になろうというのに何ができるの?」と言われてしまった。ショックを受けたが、李石水さんは仕方なく引退生活を始めた。
最初は畑仕事をしていたが、やはり体力の衰えは隠すことができず、孫の世話をして暮らすようになる。
そして、新型コロナの感染拡大が始まった。外出することが少なくなった家族の中で、孫はストレスが溜まってむずがることが多くなった。そこで、李石水さんは孫のために木工職人の腕を活かして、玩具をつくることにした。
最初の作品はコオロギ車。孫は大喜び
こうして生まれたのが、コオロギ車だ。ありふれた推し車だが、コオロギの後ろ足が後輪に連動をして大きく動く。このコオロギ車で近所を散歩すると、村の人から声をかけられ、孫も大喜びだった。
カニ車とアヒル車も大好評
李石水さんも喜んだ。久々に自分の仕事が人に喜ばれたのだ。木工職人の魂に火がつき、二作目としてカニ車を製作した。これも大好評だった。さらにアヒル車も製作した。車輪にゴム製のシートがつけられ、走るたびにこれが地面を叩き、ペタペタと音がする。
国慶節には戦車を制作
さらに国慶節には戦車車も製作した。紙を丸めた砲弾が飛び出すという機構も備えられている。
近所の子どもたちのために筋斗雲車も制作
また、近所の子供たちからも人気者となり、西遊記シリーズも制作をした。三蔵法師が乗る白龍馬を模した車は走るたびに全体が上下振動をする。さらに筋斗雲の車もつくった。
釘を使わない木製ロボットの制作に挑戦
李石水さんの木工作品の特徴は、釘を1本も使わないことだ。これが評判となり、近所の家からも分けてくれ、売ってくれという声があがるようになった。そして、李石水さんは大作に挑戦をした。100以上のパーツから成り、すべての関節が稼働をする、高さ70cmの木工ロボットだった。
制作には1ヶ月かかり、完成後は、抖音などが主催をした無形文化展覧会に出品をした。
さらに木製戦艦も制作
これが評判となり、中央電子台のニュースが取材にくるほどになった。さらに、李石水さんは次の大作に取りかかり、木製ロボット「墨子」と、三国志時代の戦艦を製作した。それぞれ40日、60日の制作期間が必要だった。
息子がSNS配信をすると大人気に
息子の李躍金さんは、父の活動を多くの人に知ってもらおうと、WeChatのチャネルズでの発信を始めた。木工職人としての活動だけでなく、日常の孫との生活なども配信をした。多くの人が、手づくり玩具をつくるおじいちゃんと、それで遊ぶ幼い孫の関係に、幸福な家族の姿を見て、視聴者数がどんどん増えていった。
李石水さんの活動は、香港の英語メディア「サウスチャイナモーニングポスト」も海外に発信をし、同メディアの紹介ビデオはYouTubeにアップロードされ、115万回再生されるという人気になっている。
▲李石水さんを紹介したサウスチャイナモーニングポストの映像。
SNSで発信したことで幸せな人生に
李石水さんは自分の人生は幸せだという。息子の李躍金さんは1年のほとんどを遠くの洋服工場などに勤めるため家を空けている。しかし、今は、李石水さんの活動を配信する仕事をし、その広告収入などで家計が賄えるようになっている。家族がみな一緒に暮らせるようになったのだ。
李石水さんの悩みは、若い人が木工技術を学ぼうとしないことだった。しかし、それも自分の発信により、興味を持ってくれる人が増えている。李石水さんは、自分の作品をSNSで配信することで、どうしてお金が入ってくるのか、詳しいことは知らない。しかし、SNSが存在したことで、自分の木工技術により、家族が再び一緒に暮らせるようになり、家族や近所の子供たちを喜ばせていることに満足をしている。