中華IT最新事情

中国を中心にしたアジアのテック最新事情

中国スマホゲームの進む2つの方向。海外進出とミニプログラムゲーム

まぐまぐ!」でメルマガ「知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード」を発行しています。

明日、vol. 149が発行になります。

登録はこちらから。

https://www.mag2.com/m/0001690218.html

 

今回は、ミニプログラムのゲームついてご紹介します。

 

中国で、今、「羊了個羊」(ヤンラガヤン)というゲームが爆発的な人気になっています。北京簡游科技が開発したこのゲームは、9月に公開されると9月13日には百度バイドゥ)の検索ワードの1位となり、9月16日にはウェイボーで関連ツイートが25億件を突破しました。あまりの人気に、サーバーが6回も落ちるという現象まで起き、今では無数の類似ゲームが登場しています。

 

https://www.youtube.com/watch?v=MaM5YqDA-Po

▲中国で爆発的な人気になっているミニプログラムゲーム「羊了個羊」

 

ヤンラガヤンは、昔からあるタイル消しゲームです。重ねて並べられたタイルから同じ絵柄のタイルを3枚見つけると消すことができます。絵柄が可愛いという他、特に変わったところがありません。ところが、このヤンラガヤンにはハマる要素が仕込まれていたのです。

第1面はチュートリアルも兼ねているため、攻略できない人はまずいないほど簡単です。しかし、第2面が難しいのです。どうやっても最後はタイルが取れない状態となり、簡游科技では成功率は0.1%だと公表しています。この、どうやっても突破できない第2面をなんとか突破しようとみな夢中になりました。そして、運よく突破した人はその画面をSNSで紹介します。これがまた人気を呼ぶという好循環を生みました。

 

このヤンラガヤンでユニークだったのは、SNSでさまざまなことが議論されたことです。例えば、「実は第2面というのはどうやっても突破できなくて、簡游科技は第3面を現在開発している最中だ」というフェイクニュースが流れました。もちろんそんなことはないのですが、この話がうなづけるほど第2面が突破できないのです。

さらに面白い仕掛けが仕込まれていることも判明しました。あと数枚で解けるというところまでたどり着いてみると、なんとタイルの数が中途半端で3枚組をつくることができず、どうやっても解けない状況があるのです。「これはバグだ!」ということで、その画像がネットを駆け巡りました。

簡游科技はノーコメントですが、意図的にこのような絶対に解けない面構成を入れて、プレイヤーを悔しがらせ、再度チャレンジさせる演出だったようです。

このような周辺情報もヤンラガヤンが人気になった理由のひとつです。第2面がほとんどの人が解けないほど難しいのは、開発者の能力が低いか、手抜きをしているからで、ランダムにタイルを積んでいるからだと主張する人がいました。すると、ある人が、タイルをランダムに配置した場合の成功率を計算し、実際はそれよりも大幅に低いのだから、実はタイルの配置は難しくなるように考え抜かれていると反論しました。手抜きのゲームなのか、実は巧妙に計算されたゲームなのか、その論争は今でも続いています。いずれにしても、第2面はあと一歩のところまでは行くのですが、最後の最後で手詰まりになることがほとんどで、これがハマる理由になっています。

 

また、ある人が「WeChat広告助手」(WeChat内での広告管理ツール)の画像を貼り、ヤンラガヤンの広告収入を公開しましたした。それによると、9月14日の1日の広告収入は468万6466.36元(約9500万円)、9月の広告収入は2564万6847.25元(約5.2億円)となり、多くの人が驚きました。すると、わずか数時間後にはテンセントの馬化騰(マー・ホワタン、ポニー・マー)CEOが、「これはPSですね」(フォトショップで加工したフェイク画像という意味)とコメントしたことも話題になりました。

このようなゲームの面白さだけでなく、話題が豊富だったことも、ヤンラガヤンの認知が広まり、多くの人が遊ぶことになり、大ヒットゲームとなりました。このような現象が起きたのも、WeChatミニプログラム上のゲームであったことが大きく影響しています。

今、ゲーム関係者はミニプログラムに注目をして、ミニプログラムのゲームが増えてきています。このようなゲームは、ミニプログラムが中国語では「小程序」であることから小遊戯(ミニゲーム)と呼ばれています。

 

ミニプログラムについては、その仕組みや小売業に対する効果などの観点で、このメルマガでも数回にわたって取り上げています。

「vol.007:ミニプログラム活用で新規顧客を獲得する店舗小売」では、ミニプログラムを活用して集客を図る店舗小売についてご紹介しました。

「vol.092:テンセントの壁が崩れ、ネットのオープン化で何が変わる?異なる流量戦略を持っているWeChatとアリペイのミニプログラム」では、WeChatのミニプログラムとアリペイのミニプログラムの戦略の違いについてご紹介しました。

今回は、ミニプログラムがゲームでも活用されるようになっり、ゲーム企業がどのようにして収益化を図ろうとしているのかをご紹介します。

 

続きはメルマガでお読みいただけます。

毎週月曜日発行で、月額は税込み550円となりますが、最初の月は無料です。月の途中で購読登録をしても、その月のメルマガすべてが届きます。無料期間だけでもお試しください。

 

先月発行したのは、以下のメルマガです。

vol.144:クーポン設計のロジックと、ウーラマの行動経済学を活かしたユニークなキャンペーン

vol.145:Tmallがわずか15ヶ月で香港から撤退。アリババも通用しなかった香港の買い物天国ぶり

vol.146:WeChat以前の中国SNSの興亡史。WeChatはなぜここまで強いのか?

vol.147:中高生の消費、10の意外。意外にお金を持っている05后のお金事情

vol.148:内巻と平とは何か。日本社会も無関係ではない成長した社会に起きる長期疾患