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網紅式旅行で成功した重慶市。インバウンド旅行客再獲得のためにやっておくべきことを重慶に学ぶ

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今回は、観光都市としての町おこしに成功した重慶市についてご紹介します。

 

今、中国人の、特に若い世代に「中国の中で行ってみたい都市は?」と尋ねると、必ず重慶が上位に挙がってきます。後ほど紹介しますが、重慶は「8D魔幻都市」と呼ばれ、サイバーパンク人気なども手伝って、一度は行ってみたい都市になっているのです。

しかし、この人気が出たのは、2018年以降のことです。2018年に突如として重慶がクローズアップされ、人気の観光都市となりました。ショートムービー「抖音」を見ていると、重慶からのライブ中継をしている人も多く、それを見ていると、平日であってもすごい人出です。マスクをしている人はまだまだ多いですが、人数だけを見れば、完全に重慶の観光は復活をしています。

 

しかし、中国すべての観光が復活しているわけではありません。重慶のように完全復活をしているところもあれば、まったく復活の兆しが見えずに苦しんでいる地域もあります。

このメルマガをお読みくださっている読者の中にも観光関係者の方がいらっしゃるかもしれません。日本の観光の復活度合いは、HISの夏休みの予約数発表によると国内が例年の9割、海外が1割程度だそうで、国内は確かにだいぶ賑わってきました。しかし、観光関係者の方はインバウンドの復活をやはり期待されていることと思います。

今、中国も日本も入国に関しては厳しい制限があり、特に中国は未だに入国後の隔離期間を設けています。中国人も海外旅行をしたら、帰国をする時に隔離対象となってしまいます。そのため、観光旅行で海外に行こうと考える人はまずいません。

しかし、日本も入国基準を緩め始めましたし、中国もいつまでも国を閉ざしているわけにはいきません。このまま新型コロナが終息に向かうのか、いつ海外旅行に自由に行けるようになるかは、誰にも断言ができませんが、観光関係者にとっては小さな希望の光が見え始めたというところだと思います。

そこで、今回は、中国の国内旅行がどうなっているかをご紹介し、その中で、突如として強力な観光都市として人気になった重慶市についてご紹介します。重慶市の事例は観光地として何をすべきかを学ぶためのヒントになると思います。

 

まず、基本状況を確認しておきましょう。国家統計局の統計によると、2021年の国内旅行者数は32.46億人となりました。この数字だけ見るとすごく大きな数字ですが、延べ人数であるため年に3回旅行をすれば3人とカウントされます。ピークは2019年の60.06億人なので、半減に近くなっています。最悪の2020年は上回ったものの、回復には程遠い状態です。

▲中国の国内旅行者数の統計。2021年は32.46億人と2019年の半分程度と回復が遅れている。国家統計局の統計より作成。

 

では、今年2022年は順調に回復が進んだでしょうか。ご存知の通り、今年4月から上海が大規模なロックダウンに入り、北京、深セン、広州という大都市も規模は異なりますが部分的ロックダウンをする事態となりました。

中国の旅行の季節は、年3回あります。年初の春節、5月の労働節を挟む五一黄金週、10月の国慶節の十一黄金週です。今年の5月の五一黄金週は、このロックダウンの影響をもろに受ける形になりました。

万聨証券研究所の調査によると、五一黄金週(4月30日から5月4日)の旅行者数は1.6億人となり、2021年から30.2%の減少となりました。コロナ前の2019年の66.8%になります。

▲2021年の五一黄金週の人出は過去最高を記録。しかし、2022年になって再び感染が拡大し、終息気分が吹き飛んでしまった。「旅行市場の冷え込み、キャンプのみが好調」(万聨証券研究所)より引用。

 

と言ってもグラフを見ていただくとわかりますが、それほど悲観する数字でもありません。なぜなら、2021年の五一黄金週は過去最高の旅行者数だったのです。コロナ禍がほぼ終息したと思われた空気が広がり、国内移動に関しては医療や教育関係者を除いて制限が解除され、多くの人がリベンジ消費として旅行を楽しんだからです。

2022年の五一黄金週もこの過去最高の2021年と比べると見劣りがする数字ですが、2018年とほぼ同じであり、四大都市がロックダウンをしている中であることを考えると、かなり旅行熱が高まっていると考えていいのではないでしょうか。

 

ただし、旅行の中身は大きく変化をしています。みなさんがご想像されるように、安近短の傾向が非常に進みました。

特に際立ったのが、アクセスが悪い秘境系の景観地の不振です。日本でも人気がある四川省九寨溝は、成都市から飛行機で1時間、またはバスで10時間。そこから専用のEVバスに乗って、ようやく到着します。原生林の中にさまざまな色彩の湖沼がある、この世のものとは思えない絶景が広がります。

非常に厳しい保護地区となっていて、1日4万1000人しか入ることができません。そのため、入場予約をとるのも難しい人気観光地となっていました。ところが、今年の五一黄金週の初日である4月30日は、入場者数がたった1149人でした。おそらく九寨溝の最低記録ではないかと思われます。行った方は、静かで神秘的な九寨溝を満喫されたと思いますが、多くの人が飛行機やバスに乗る時間が長い観光地を嫌ったようです。

その他も水墨画の世界が広がる安徽省黄山風景区は前年比-77.25%、四川省峨眉山は-45.37%、江蘇省環球恐竜城景区は-62.82%と厳しい結果となりました。

 

一方、キャンプの人気が2020年以降高まっています。キャンプ場の予約数は昨年比で2.53倍となり、今年の五一黄金週では、キャンプだけでなく、「キャンプ+花」「キャンプ+キャンピングカー」「キャンプ+コンサート」など、複合型に人気が集まっています。近隣のキャンプ場にマイカー、レンタカーで行き、休日を過ごすというのが定番になってきました。特に、子どものいる家庭でこの傾向が進んでいます。

キャンプ用品は、キャンプ場でなくても、公園や自宅でも使えるものが多いため、キャンプ用品の販売額は2021年の3倍にもなっています。

 

コロナ禍により、中国の旅行は安近短の傾向が進んだだけでなく、アクセスの大変な自然景勝地が避けられ、近場で自然を満喫できるキャンプに人気が集まる傾向が出てきています。

ここで多くの人が気になるのが、このような傾向はコロナ禍による一時的なもので、完全終息をすれば以前と同じように自然景勝地にも人が行くようになるのか、それともこれは不可逆的な変化であり、完全終息をしてもこの傾向が続くのかということです。

もし、この傾向が続くのだとすると、中国人はあまり海外旅行に出かけなくなるかもしれません。いったいどうなるのか。それはもちろん誰にもわかりません。しかし、現在の旅行の傾向をさらに深掘りすることで、どのような場所であれば中国人は足を運んでくれるのかが見えてきます。そこで、今回は重慶市を例として考えてみたいと思います。

今回は、重慶市が網紅都市になるまでをご紹介します。

 

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