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新型コロナとの戦いは、当初から長期戦になるとは言われていたものの、ここまで長引くのかと辟易している方も多いでしょう。しかし、この戦いはまだまだ長引くことを覚悟しておくべきかもしれません。
なぜなら、感染者数を押さえ込んだら終わりではないからです。常に無症状感染者が潜在をしているため、気を緩めると再び感染拡大が始まります。さらに、感染を完全に押さえ込んだとしても、経済が復調するのには時間がかかります。しかも、感染の再拡大をにらみながらの復興ですから、小刻みなステップをひとつひとつクリアしながらの復興になります。
2003年のSARSでは、7月にWHOから終息宣言が出されましたが、中国の経済活動が「元通りになった」と多くの人が感じられるようになったのは、その1年後だったと言われます。
中国は現在、最後の終息作戦を展開中ですが、最後の最後で一進一退が続いています。2020年3月中旬には、新規感染者数が全国で50名以下になり、ほぼ終息が見え、9月には、北京の人民大会堂で、感染防止に貢献した科学者、医療関係者の表彰式典が行われ、事実上の終息宣言をしました。
しかし、それ以降も、健康コードによる行動制限や長距離移動の自粛は続いています。また、無症状感染者は断続的に確認されていますし、小規模なクラスターが発生することもあります。
▲中国の新規感染者は、3月には激減をし、6月頃には市民の不安感は薄れた。9月には中国政府が終息宣言。しかし、完全終息の手前で一進一退が続いている。
このような小規模クラスターが起きると、コロナ対策チームが急行し、その地区を封鎖、住民、関係者全員にPCR検査を行うという方法で、掃討作戦を展開しています。
そのために、PCR検査バスも製造され、活用が始まっています。商業車メーカーの蜀都客車やEVメーカーのBYDが開発をしています。バスの中で、検体採取、PCR検査ができ、その結果はセンターに5G通信で送信できるというものです。検査能力は1/10のプール方式(10人分の検体を混ぜて検査をする)で、最大1日に2万人分となり、最速2時間で検査結果が判明します。
小規模クラスターが発生すると、その規模に合わせて、このPCR検査バスが複数台急行し、広場や駐車場などを検査会場として住民全員を検査していくということを行います。
それでも、まだ完全終息にはいたりません。暖かくなり、湿度もあがれば感染力が抑えられるため、春、夏には完全終息になるかもしれませんが、SARSの経験から経済が完全回復をするのはその1年後、2022年の春か夏頃になると見る必要があります。今年2021年の冬は、再拡大のリスクも否定できず、まだまだ長い戦いになりそうです(当然、中国政府は2022年2月の北京冬季五輪を“新型コロナに打ち勝った証”の大会にする予定でしょう)。
しかし、だからと言ってため息ばかりついているわけにもいきません。目の前の感染予防も大切ですが、新型コロナの完全終息後のための準備もしなければなりません。
そこで、多くの方が気になっているのが、完全終息の後、ビジネスは元に戻るのか、それともまったく違ったものになっていくのかということです。感染拡大によって、人の消費行動が大きく変わるのは当然です。しかし、それが完全終息後も新日常として定着をしていくことになるのか、それともコロナ以前に戻るのか、そこの読みが難しいところです。
例えば、感染拡大でライブハウスの多くが苦しむことになりました。中には、ネットを使ったライブ中継を始めたところもあります。これは感染拡大に対する対応です。では、完全終息後、再び以前のようにライブハウスに人が集まるのでしょうか、それともネットライブ中継の方に進んでいくのでしょうか。
2003年のSARSの時は、中国では国内旅行が成長期にありました。と言っても、団体旅行が主体で、典型的なのは地方都市の団体が、北京に行って、天安門や毛主席記念堂を参観するといった修学旅行的な旅行が主体でした。それがSARSの感染拡大によって途切れます。
完全終息から1年後、再び旅行にいく人が増え始めますが、そこで注目をされたのが日本でした。日本はSARSの感染が0で、元々清潔好きで、衛生環境も図抜けて優れていることから国内よりも安心できる旅行先として注目されるようになったのです。しかも、北京や上海の沿岸部の都市からであれば、内陸部の成都や重慶に行くよりも近いのです。また、団体行動をする団体旅行ではなく、個人旅行が伸びていきます。
終息後に旅行業は復調し、以前よりも成長をすることができましたが、消費者のニーズは以前とはまったく違ったものになっていました。
小売業もSARSで変わりました。SARSで路面店が苦しむ中、アリババの淘宝網(タオバオ)や店舗からECに転換をした「京東」(ジンドン)などが急速に成長しました。当初は、外出を控えたい、人との接触を避けたいというニーズからでしたが、完全終息後も利用する人が増えていきました。それは、自宅に配送してくれるという利便性に多くの人が気がついたからです。
しかし、この頃から、都市内に大型ショッピングモールの建設が始まります。それまで、中国には商城と呼ばれるモールはたくさんありました。しかし、その多くが通路は狭く、小さな商店がひしめいていて、日用品を格安で販売するというものです。新しいショッピングモールは、開放的で通路も広く、ブランドものなど非日常の製品が販売されています。
つまり、日用品はECで便利に買えるようになった反面、「買い物を楽しみたい」というニーズが強くなり、ショッピングモールが成長していくことになります。
感染拡大→非接触系ビジネスという単純な図式だけでは、コロナ完全終息後のビジネスを読むことはできません。
生鮮食料品をスーパーなどにスマートフォンで注文すると、数時間で自宅まで届けてくれる「到家サービス」は、新型コロナの感染拡大機に爆発的に伸びました。しかし、終息をした現在ではさすがに感染拡大期ほどの成長はしていません。
中国ニールセンが美団、ウーラマ、京東到家などの利用額を集計した統計では、2019年12月から2020年3月(感染拡大期)には20%もの成長をしましたが、2020年3月から6月(終息前期)には6%成長に落ちています。
感染拡大期には到家サービス以外の選択肢がほぼない状態になりましたが、終息期になれば他の選択肢も利用できるようになります。つまり、感染拡大期と終息期では、消費者の消費行動が変わってくるのです。
この「終息後の消費行動はどうなっていくのか」という問いに正確に答えられる人はどこにもいません。では、中国の「コロナ前」「感染拡大期」「終息後」それぞれの消費行動はどう変化しているでしょうか。
すでに消費行動の変化について、いくつものキーワードが浮かび上がってきています。「内食化」「飲食の小売化」「健康消費」「精緻生活」「新品消費」「内循環」などです。
今回は、新型コロナ終息後の消費行動がどのように変化をしているのか、中国の状況をご紹介します。
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