末末很会喫は、同僚がアリババに転職をしたため、アリババを訪問した。その時に社食を利用し、そのレポートを公開している。アリババの社食は先端テクノロジーが使われているのかと思ったら、意外に普通だったという。しかし、数は多く、環境もよく、働くのにはいい環境だと感じたという。
キャンパス内に設置されている5つの彫刻
アリババのキャンパスは広大で、来訪者はしばしば迷子になる。そのため、キャンパス内に、5つの彫刻作品が飾られ、そこが来訪者との待ち合わせスポットになっている。末末很会喫は、アリババに転職した元同僚と「愚人の船」の彫刻の前で待ち合わせをした。岩に乗り上げたボートで、乗員は懸命にオールをかいている。無駄な努力を象徴した彫刻だ。
アリババ内には至るところに顔認証機器が設置されている。門から中に入る時も顔認証、マスクをもらうときも顔認証、社食で食事をするのにも顔認証が必要になる。訪問客はビジターカードが使えるが、オフィス練に入ることはできない。
▲5つある彫刻のひとつ「愚人の船」。岩に乗り上げているのにオールを漕いでいる。無駄な努力を皮肉った彫刻。
▲アリババキャンパスの案内図。広く迷いやすいので、ランドマークとして5つの彫刻が設置されている。待ち合わせスポットになっている。
意外と普通だったアリババの社食
アリババの社食は2万人の従業員が利用する。末末很会喫は、アリババの社食なので無人テクノロジーなどが使われているのではないかと期待したが、意外と普通で、大学の学食のような印象だったという。料理を受け取るのに長い行列もできている。
料理はさまざまなものが揃っていて、セルフサービスのコーナーもある。ショッピングモールのバフェテリアを大きくした感覚だ。
ただし、アリババのグループワークツール「釘釘」(ディンディン)を使うと、料理の予約ができる。忙しい人はあらかじめ予約をして、並ばずに料理をとっていくようだ。どの料理も15元から20元と価格は、外の半額以下になっている。
▲2号棟の最も大きな社食。先端テクノロジーが使われているわけではなく、意外に普通。行列もできる。雰囲気は、ショッピングモールのバフェテリア。
▲社食で食べた焼臘双拼飯。17元(約290円)。どのメニューも外の飲食店の半額ぐらいの感覚だ。
5号棟の社食が静かでおすすめ
2号棟の社食が最も大きいが、5号棟にも規模は小さいが社食がある。窓の外には桜の木が植えてあり、春にはのんびりと食事を楽しむことができる。
また、カフェもあり、ここでは1ヶ月58元(約980円)で飲み放題のドリンクサブスク制度が用意されている。
5号棟の社食はスイーツが充実をしていて、午後に軽い打ち合わせをしながらお茶をするのに適している。スイーツは5元(約80円)からと価格も安い。
▲5号棟の社食の前は桜並木になっており、春には美しい光景が広がる。
▲5号棟の社食で提供されるスイーツのセット。お茶をしながら、打ち合わせをすることも多いという。
CEOと直接対話ができるジュース会
この5号棟の社食では、張勇(ジャン・ヨン、ダニエル・チャン)CEOの「ジュース会」が不定期に開かれているという。張勇CEOと従業員がジュースを飲みながら、アリババの課題について、ざっくばらんに話し合う会だ。
その時に飲むジュースも用意されている。会の名前である「老逍果汁会」(Juice with Daniel)ブランドのジュースだ。アリババでは、従業員同士を実名ではなく、花名で呼ぶ習慣がある。ダニエル・チャンCEOの花名は、逍遥子(シャオヤオズで、部下からは尊敬を込めて「老逍」と呼ばれている。
▲張勇CEOとの対話集会「ジュース会」で提供されるジュース。専用の老逍果汁会というブランドのジュースが用意されている。
▲意外なところにカフェが点在している。店舗によってはドリンクサブスクを提供している。
エンジニアにとって社食のある企業は憧れのひとつ
この他にも小規模のイートコーナー、カフェがあちこちにあり、アリババの従業員でもすべてを把握している人は多くないという。多くの人が忙しく、時間がないために、いちばん近い社食ですませてしまう人がほとんどだという。
すべての社食、カフェを制覇するには1週間はかかるという。中国のテック企業でも、中小規模になると社食がない企業の方が圧倒的に多い。以前は、近くの飲食店に食べにいっていたが、現在ではフードデリバリーを注文する人が増えているという。社食がある企業で働けるというのは、エンジニアの間でも憧れのひとつになっている。
キャンパス内には小川が流れ、緑地も整備され、その中にも仕事をしたり、打ち合わせができるスペースが用意されている。エンジニアたちは、高い報酬だけでなく、仕事の環境でも企業を選ぶようになっている。
▲緑地部分には打ち合わせスペースが用意され、そこで仕事をすることもできる。