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無印良品そっくりの中国雑貨チェーン「メイソウ」が上場準備に。しかし、前途は多難

日本のダイソー無印良品ユニクロのテイストを取り入れた中国の雑貨チェーン「メイソウ」が米国と香港で上場する準備を進めている。しかし、知的財産関連の裁判を多数抱え、その前途は多難だと全天候科技が報じた。

 

日本雑貨だと勘違いさせる「メイソウ」が上場準備へ

あの「メイソウ」が上場の準備を進めている。昨2018年1月から準備を始め、米国と香港で上場をし、10億ドル(約1060億円)の資金を調達する計画だという。

メイソウは、全世界に3600店舗を展開する中国の雑貨チェーン。日本でも数店舗を展開していたが、現在では東京・高田馬場店のみ営業しているようだ。海外で見かけたら、日本人でも日本の雑貨チェーンだと間違えて入ってしまう。なぜなら、10元均一を基本に販売するというビジネスモデルはダイソーのそれであり、品揃えや店舗設計は無印良品のそれであり、ロゴデザインはユニクロのそれであるという、日本の雑貨チェーンと勘違いをさせる仕掛けになっている。

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▲メイソウの店舗。日本の無印良品とよく似ている。中には、無印良品だと勘違いして購入している人もいたという。当初は「日本発の雑貨チェーン」であると勘違いさせるプロモーションを展開していたからだ。

笑いごとでは済まなくなっているメイソウの急成長

メイソウが創業したのは2013年で、この時は日本の実在するデザイナー三宅順也氏と中国の起業家、葉国富氏が共同創業をしたことになっている。日本の高品質の日用雑貨を低価格で提供するという触れ込みだった。

当時は、日本の高品質な製品が安く購入できると人気になり、また、日本の無印良品と勘違いをして買う人もいたが、すぐに販売している製品の99%が中国産であることが報道されるようになった。

ダイソー無印良品ユニクロなどの露骨なパクリチェーンであり、時折、日本でもお笑いネタとして報道されていたが、その勢いは止まらず、笑いごとでは済まされなくなっている。

日本の無印良品は、2018年3月から11月までの中国での売上が前年同時期よりも9%下落したことを発表した。2017年前後から急速に売上が悪化をしている。

一方で、メイソウは現在世界79都市に3600店舗を展開、売上は170億元(約2500億円)、従業員数は3万人を突破している。

無印良品が中国市場で苦しんでいる理由のひとつが、このメイソウの躍進が影響していることは間違いない。

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▲メイソウの出店国。世界79都市に3600店舗を展開していると、メイソウの公式サイトには書かれている。

 

10元均一で品質はそれなり。それが受ける

メイソウ躍進の理由は3つある。ひとつは、品質もよりも価格を重視して、10元均一を基本にしたことだ。中国人もメイソウの品質に満足をしているわけではなく、無印良品の方がはるかに品質がいいことはわかっている。しかし、「ちょっと1回使ってみたい」という日用雑貨を買うのであればメイソウで買い、そして使ってみると、問題ない品質であることがわかる。高品質のものを消費者に知ってもらうには、地道なプロモーションを続ける他なく、時間がかかる。次々と新しい商品が登場する中国では、まずメイソウで買ってみるという消費習慣が生まれやすい。

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▲右がソニー製のワイヤレスイヤフォン、左がメイソウ製。よく似ているが、価格は1/10。しかも品質は劣るものの、そこまでひどくない。多くの人がメイソウ製で満足してしまう。

 

下町の人の流れが多い場所に戦略的に出店

もうひとつの理由が、出店場所の戦略だ。第1号店は、広州市の広州北駅の歩行街だった。さらに上海の南京東路、北京の西単、蘇州の観前街などに出店をしている。このような場所は、人の流れが異常に多い商店街だが、銀座のような高級感はなく、渋谷のような最先端感はない。下町の気取らない商店街で、歩きながら食べられる軽食やタピオカミルクティーのような店、低価格の雑貨、洋品店が並ぶような場所だ。特に、学生はこのような街にきて、買い食いをして低価格商品の買い物を楽しむ。つまり、人の流れが大きくて、かつ価格に敏感な人が集まる場所を選んでいるのだ。メイソウでは、出店場所を決めるには相当に時間と手間をかけるという。

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▲右がイニスフリーのフェイシャルパック。左がメイソウ製。イニスフリーのものは10元だが、メイソウ製は4.9元。

 

毎月500件の新商品を投入し、新鮮さを演出

3つ目の理由が、次々と新製品を投入することだ。メイソウでは7日間を1つの単位として、売れ行きを見て、商品を入れ替える。毎月500件の新商品が店頭に並ぶという。そのため、いつきても新しい商品が見つかる発見がある店になっているのだ。

 

価格は1/10のそっくり商品が並ぶ

しかも、ここでも、パクリとも言えるそっくり商品が並ぶ。例えば、ソニーが発売している1000元以上もするイヤフォンそっくりの製品が、わずか100元で購入できる。もちろん、消費者はそれがソニー製品ではないことはわかっているし、品質面でも相当に劣っていることは買う前から想像できる。しかし、あまりの安さにまずはメイソウの製品を買ってしまう。それで使ってみると、そんなに悪くない品質なのだ。

つまり、「有名な製品そっくり→ものすごく安い→使ってみるとそんなに悪くない」という3ステップが、メイソウの強みとなっている。ビジネス手法としては、決して褒められたものではないが、これに対抗していくのは極めて難しい。無印良品は現在のところ、効果的な対抗策を打ち出せずにいる。

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▲右がシャネル製の香水、左がメイソウ製。これも価格はメイソウ製が圧倒的に安い。

 

ノルウェー発」と勘違いさせる新ブランドがパクられた!

メイソウを運営する名創優品は、新しいブランド「NOMe」(ノーム)の出店を始めている。ノルウェー発のファッション雑貨ブランドであるという触れ込みだが、当然、ノルウェーとはなんの関係もない。消費者にノルウェーブランドだと勘違いさせる誘導はしているが、自身ではノルウェーブランドだとは一言も言っていないというものだ。無印良品をしっかりと研究してメイソウを立ち上げたのと同じように、ノルウェーの既存ブランドをしっかりと研究したのだろう。

ところが、ほぼそっくりの「NÕMe」という店舗が登場した。商品も酷似をしている。つまり、模倣手法のメイソウが展開していたノームの模倣が登場したのだ。これに対して、名創優品は、昨年3月に訴訟を起こしている。

実は、名創優品のノーム関係スタッフが、別会社に引き抜かれて展開をしたものがNÕMe。模倣の模倣が生まれるという常識では理解し難い事態になっている。

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▲上が名創優品が展開しているノーム。下がパクられたノーム。いずれも「ノルウェー発」という触れ込みだが、ノルウェーの企業とはなんの関係もない。

 

中国メディアですら上場を危ぶむコピー&ペースト商法

創業者の葉国富の資産は82億元(約1200億円)となり、湖北省で最も若く成功した経営者になっている。今回の上場が成功すれば、中国でもトップクラスの富豪になることは確実だ。

しかし、そのビジネス手法は「Ctrl+C+V」(コピー&ペースト)手法とも言われ、権利侵害で200件以上の訴訟を抱えている。すでに名創優品は中国を代表する小売企業になっているが、中国メディアさえ、この状態でほんとうに上場できるのだろうかと疑問を投げかけている。

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