中国宅配企業「順豊」が、無人配送計画に使う中型ドローンを公開した。貨物ユニットは外侮に装着をし、飛行中に切り離して落下させるというものになる。このドローンが、人民解放軍の空軍で使われているドローンと同型ではないかと晨曦科技が報じた。
無人化へ突き進む中国の宅配物流
中国の物流は、無人化への道を進み始めている。宅配企業「順豊」は、ECサイト「京東」と共同で、すでにドローン宅配を一部始めている。また、トラックの無人運転配送も試験段階に入っている。将来的には、農村部は完全無人配送にし、都市部も期間物流は無人化し、最後の宅配部分を人間が行うことで、コストの低減とサービスの向上を両立させようとしている。
ドローン専用飛行場を経由する大がかりな計画
その中でも大がかりな計画が、京東と順豊が共同で行っているもので、四川省に185カ所、陝西省の100カ所のドローン専用飛行場を建設する計画だ。主要空港までは貨物飛行機で荷物を運び、空港からドローン専用飛行場までは中型無人ドローンで運る。ドローン専用飛行場から各戸までは小型ドローンで運ぶというものだ。
順豊は、この中型無人ドローンをメディアの前にお披露目した。
貨物ユニットは300m上空で切り離し
その姿は、ドローンというよりも無人飛行機だ。翼長20m、機体長10m、重量3トンで、1.2トンまでの貨物を積載することができる。巡航速度は、最高時速250km、6000m上空を最大3000km飛行することができる。
貨物室は、ユニットとして腹部に装着することができ、飛行中に切り離すことができる。ユニットにはパラシュートが装着されていて、着地をする。高度300mのところから切り離し、30秒後にユニットは着地する。順豊では、当面は化粧品などの小さい商品の配送から利用をしていく予定だという。
▲メディアの前に公開された順豊の中型ドローン。1.2トンの貨物を積載することができ、空港とドローン専用飛行場の間を担当する。
▲貨物ユニットは、腹部に装着をし、切り離して落下させる。
▲翼長は20m。時速は250km。最大巡行距離は3000km。人民解放軍の探査用ドローンとほぼ同型であると報じられている。
軍用機と共通化することで生まれる双方のメリット
多くのメディアが指摘しているのが、この無人飛行機は、軍用機の転用ではないかということだ。腹部に装着をする貨物ユニットの代わりに、爆撃弾や探索レーダー装置などを装着すれば、軍用に転用することができる。
それもそのはず、この無人ドローンを開発した四川騰盾科技は、新興の飛行機メーカーだが、中国人民解放軍の空軍にも製品を納入しているのだ。同じドローンのしようを変えて、軍用と民生用の両方に納入することで、軍用としてはコストが大きく下がり、民生用としては信頼性が大きく向上できる効果が見込めるとメディアは論評している。
▲人民解放軍の空軍に納入された四川騰盾科技の無人機。順豊で採用されたドローンもほぼ同型であると考えられている。